従業員が介護休業を取得した場合、休業中の生活保障のため介護休業給付金を受給できます。この介護休業給付金の受給には、どういった要件や手続きが必要なのでしょうか?

この記事では、事業主や管理者の方向けに、従業員が介護休業給付金の申請を希望した場合の手続きや注意点について、わかりやすく解説します。

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介護休業給付金とは

介護休業給付金は、介護休業を取得し、休業中の賃金を受けられない労働者に対して、雇用保険から一定の金額を支給する制度です。

介護休業中はノーワークノーペイの原則に基づき無給扱いとする企業が多く、休業中の生活保障をすることで、いわゆる介護離職を防止することを目的としています。そのため、休業後の復職が前提となっています。

介護休業とは

介護休業は、要介護状態の家族を介護・世話をする労働者が、事業主に申し出ることにより取得できる休業制度です。

「要介護状態」とは、「負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」とされています。そのため、必ずしも介護保険法の要介護認定を受けている必要はありません。

基本的に、日雇い労働者以外であれば雇用形態に関係なく取得できますが、有期契約労働者については、取得予定日から93日を経過後も、6ヶ月以上雇用が継続する見込みがあることが必要です。

また、2022年4月の法改正により、「同一事業主に1年以上継続雇用されていること」という要件が廃止されました。なお、労使協定を締結することにより、以下の労働者については介護休業の対象から除外することが可能です。

  • 入社1年未満の労働者
  • 申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

対象家族1人につき、通算93日(労働日ではなく暦日で)まで、3回まで分割して取得可能です。日数及び回数は、対象家族が複数いる場合には、それぞれ別にカウントします。

労働者が取得希望日から介護休業を利用するためには、事前準備が重要です。企業側としても仕事の割り振りや担当変更など、業務体制の再編が必要になります。直前の申請は他の従業員に迷惑が掛かるため、早い段階から準備を進めておくよう周知しましょう。

介護休暇との違い

介護休暇は、要介護状態の家族を抱える労働者が取得する休暇制度という点は介護休業と同じですが、制度趣旨や取得日数などに違いがあります。

介護休暇は、長期の介護というよりは、ケアマネージャーとの面談や通院の付き添いなど、突発的・短期的な理由を前提とした介護のための休暇制度です。

1年度につき5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで取得可能で、半日単位や時間単位での取得も認められるのが特徴です。

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介護休業給付金の支給要件

介護休業給付金の支給要件は、以下のとおりです。

  • 雇用保険の一般被保険者であること
  • 要介護の家族を介護するための休業をしていること
  • 介護休業前の2年間に、11日以上就業した月が12ヶ月以上あること
  • 介護休業期間中の1ヶ月単位で、休業開始前の賃金の80%以上が支払われていないこと
  • 1支給単位(原則30日)あたりの就業日数が10日以下であること

有期雇用労働者の場合は、上記の要件に加え、介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに、その労働契約が満了することが明らかでないこと(介護休業開始後93日+6ヶ月以内に契約終了が予定されていないこと)が必要です。

また、介護休業給付金は原則30日を1支給単位として支給されますが、この1支給単位期間中に就労した日数が10日を超えた場合は不支給となります。なお、労働者からの申出により就労させることは差し支えありませんが、会社から休業中の就労を命じることは認められません。

介護休業給付金の申請期限

介護休業給付金は、休業期間中に並行して支給されるものではなく、休業終了後の一定期間内に申請することで支給されます

具体的な申請期限は、介護休業終了日の翌日から起算して2ヶ月が経過する日の属する月の末日までです。たとえば、介護休業終了日が1月20日であれば、1月21日から3月31日までに申請が必要です。

なお、数回(最大3回)に分けて取得する場合は、それぞれの介護休業ごとに申請が必要です。休業中に給付金が受け取れると誤解している労働者も少なくないため、賃金保障の点も含めて事前にしっかり説明しておくことが重要です。

介護休業給付金の支給期間

一回の介護休業につき、介護休業開始日から起算した1か月ごとの期間に区切って支給されます。この期間を「支給単位期間」と呼び、介護休業開始日から1か月以内に終了する場合は、その終了日までが支給単位期間となります。

介護休業の最長取得期間が93日であるため、最大3支給単位期間について支給されるという計算です。

介護休業給付金の支給額

介護休業給付金の支給額は、以下の計算式にて算出します。

休業開始時賃金日額 × 支給日数(原則30日)× 67%

休業開始時賃金日額とは、介護休業開始前6か月間の総賃金額を180で割った金額です。

会社から休業中の賃金が支払われる場合は、給付金と賃金の合計額が休業開始時賃金日額の80%を超えないように調整されます。たとえば、会社からの賃金が13%以下であれば満額支給、13%を超え80%未満であれば給付金を減額、80%以上であれば支給されません。

介護休業給付金の基本支給率 会社から支払われる賃金 最終的な支給額
67% 13%以下 満額支給
13%超~80%未満 合計80%となるよう調整
80%以上 不支給

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介護休業給付金の申請手続き

介護休業給付金の申請手続きは従業員本人がおこなうこともできますが、通常は会社側が対応します。申請期限のスケジュール管理や添付書類など、従業員にとっては業務以外の負担が増えることになるため、会社側で手続きするのが無難でしょう。

「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」の提出

管轄のハローワークに「介護休業給付金支給申請書」を提出しますが、その提出日までに「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」の提出が必要です。なお、二度手間となるため、通常は同時に提出するのが一般的です。

この書類は、休業開始以前の賃金支払状況などを記したもので、育児休業給付金の申請時にも必要になります。記載内容を証明できる出勤簿や賃金台帳などの書類を添付します。申請は電子申請でも可能です。

「介護休業給付金支給申請書」の提出

先に解説した申請期限までに、以下の添付書類とともに管轄のハローワークに対して提出(電子申請も可能)します。

  • 被保険者が事業主に提出した介護休業申出書
  • 介護対象家族の方の氏名、申請者本人との続柄、性別、生年月日等が確認できる書類
  • 介護休業開始・終了日、介護休業期間中の休業日数の実績が確認できる出勤簿やタイムカードなど
  • 介護休業期間中の賃金支払状況が確認できる賃金台帳など

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介護休業給付金についてよくある質問

退職後の受給可否や他の給付金との併用など、介護休業給付金についてよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。

Q
介護休業中に退職すると、介護休業給付金をもらえない?
Q
同じ介護対象者に対して、複数の家族で同時に介護休業給付金を受けられる?
Q
10日間の入院だと支給されない?
Q
前職で介護休業給付金を受けていた場合、再度受給できる?
Q
育児休業給付金と併用して受給できる?

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介護休業を活用して介護離職を防止しましょう

介護休業は労働者に認められた権利です。気持ちよく取得できると、従業員本人と会社双方にとってメリットをもたらします。従業員は介護に専念できるだけでなく、これまで積み上げてきたキャリアを失わずに済みます。

また、給付金申請手続きも、事業主が事前に流れや必要書類を把握しておくことで、従業員も安心して休業に入れます。

申請には、出勤簿や賃金台帳などの書類添付が必要ですが、勤怠管理システムを利用することで、客観的な勤怠実績が記録・自動集計できるため、申請時にも慌てずに用意することが出来ます。

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