2024年5月31日の改正育児介護休業法公布を受け、2025年4月1日から段階的に新しい育児介護休業制度が施行されることになりました。

改正ポイントの1つに「柔軟な働き方を実現するための措置を講じる義務」があるように、事業主や人事労務管理者は改正内容をしっかり把握しておく必要があります。

この記事では、事業主や管理者の方向けに、就業規則への記載や運用上の注意点など、改正ポイントをわかりやすく解説します。

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育児介護休業法の改正ポイントは7つ

令和5年度の男性の育休取得率は46.2%を記録し、政府が重点的に進めてきた男性の育休対策は一定の成果が見られました。

こうした流れを受け、今回の改正は「子供の年齢に応じた柔軟な両立支援」を主な目的としています。ポイントとなるのは、以下の5つです。

  1. 柔軟な働き方を実現するための措置等の義務化
  2. 所定外労働の制限の対象範囲拡大
  3. 子の看護休暇の制度拡充
  4. 仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮
  5. 育児休業取得状況の公表義務の対象範囲拡大
  6. 育児のためのテレワーク導入の努力義務化
  7. 介護離職防止のための個別周知・意向確認、雇用環境整備等の措置義務化

ポイント1:柔軟な働き方を実現するための措置等の義務化|交付後1年6ヶ月以内の政令で定める日

事業主は、「3歳以上、小学校就学前の子を養育する労働者に関する柔軟な働き方を実現するための措置」として、以下の中から2以上の制度を選択して講じることが、義務化されました。

  • 始業時刻等の変更
  • テレワーク等(10日/月)
  • 保育施設の設置運営等
  • 新たな休暇の付与(10日/月)
  • 短時間勤務制度

上記措置を選択する際は、労働者側から意見聴取の機会を設けることとされており、労働者は事業主が選択した措置の中から1つを選択して利用できます。

また、事業主は選択した措置について、労働者に対して個別に周知・意向確認を行うこととされています。個別周知・意向確認の方法については今後の省令により定めるとされていますが、面談や書面交付等となる予定です。

ポイント2:所定外労働の制限の対象範囲拡大|2025年4月1日~

現行では、「3歳に満たない子を養育する労働者」が請求することにより、所定外労働の制限(残業免除)が認められていますが、2025年4月1日以降はこの範囲が「小学校就学前の子を養育する労働者」にまで拡大されます。

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ポイント3:子の看護休暇の制度拡充|2025年4月1日~

「子の看護休暇」が以下のように制度拡充され、名称も「子の看護等休暇」に変更されます。

改正前改正後
名称子の看護休暇子の看護等休暇
対象となる子の範囲小学校就学の始期に達するまで小学校3年生修了まで
取得事由病気・怪我
予防接種・健康診断
(左記に加え)
感染症に伴う学級閉鎖等
入園(入学)式、卒園式
労使協定締結により適用除外できる労働者1.引き続き雇用された期間が6ヶ月未満
2.週の所定労働日数が2日以下
左記の1.を撤廃し、2.のみとする
子の看護休暇変更点

なお、取得事由の詳細については、今後省令にて定めるとされています。

ポイント4:仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮|交付後1年6ヶ月以内の政令で定める日

本人または配偶者の妊娠・出産の申し出時、及び子が3歳に達する前に、労働者に対して「仕事と育児の両立」に関して意向聴取を行い、以下のような配慮を講じることが義務となります。なお、詳しい配慮の内容については、今後指針によって示される予定です。

  • 勤務時間帯にかかる配慮
  • 勤務地にかかる配慮
  • 業務量の調整
  • 労働条件の見直し

また、意向聴取の方法については今後の省令により定めるとされていますが、面談や書面交付等となる予定です。

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ポイント5:育児休業取得状況の公表義務の対象範囲拡大|2025年4月1日~

現行では、従業員数1,000人超の企業限定で、育児休業等の取得の状況を年1回公表することが義務付けられていますが、2025年4月1日以降はこの公表義務の対象が「従業員数300人超の企業」にまで拡大されます。

公表内容は、以下のいずれかとされています。

  • 配偶者が出産した男性従業員についての「育児休業等の取得率」
  • 配偶者が出産した男性従業員についての「育児休業等と育児目的休暇の取得率」

公表方法については、自社サイトのほか、厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」への登録など、インターネット等で一般の方が閲覧できる方法により行うことになっています。

ポイント6:育児のためのテレワークの導入が努力義務化|2025年4月1日~

事業主は、3歳に満たない子を養育する労働者がテレワークを選択できるよう措置を講じることに努めることとされています。努力義務のため強制力はありませんが、柔軟な働き方を実現するための措置にもテレワークが含まれているため、併せて意識しておきましょう。

また、3歳に満たない子を養育する労働者を対象とする短時間勤務制度につき、労使協定により利用が困難であるため適用除外とされた労働者への代替措置として、テレワークが追加されることになっています。

ポイント7:介護離職防止のための個別周知・意向確認、雇用環境整備等の措置義務化|2025年4月1日~

今回の改正の中で唯一の介護関連の改正です。労働者が仕事と介護の両立支援制度について十分に理解することで、介護の必要に迫られた際に制度を積極的に活用し、介護離職を防止することを目的としています。

事業主は、労働者が仕事と介護の両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備など、以下の措置を講じることが義務付けられます。

  • 介護の必要に迫られた旨の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認
  • 介護の必要に迫られる前の早い段階での両立支援制度等に関する情報提供
  • 研修、相談窓口の設置など、仕事と介護の両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備
  • 要介護家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう努める
  • 子の看護休暇と同様に、労使協定により適用除外できる労働者から「引き続き雇用された期間が6ヶ月未満」の要件を撤廃

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育児介護休業法に違反したら?

以下のような行為は、育児・介護休業法違反とされ、厚生労働大臣からの是正勧告対象となります。

  • 従業員からの育休の申請を拒否する
  • 育休を取得したことを理由に、降格・減給・配置転換などの不利益な取り扱いを行う
  • 「産後パパ育休期間中の就業を強制する」または「期間中の就業を拒否したことを理由に不利益な取り扱いを行う」
  • 「妊娠・出産・育児に対するマタニティハラスメントの相談を受けた」または「ハラスメントの実態を把握していた」にもかかわらず、有効な対応措置を講じなかった

是正勧告に従わない場合は、企業名と違反内容が一般に公表され、厚生労働大臣及び都道府県労働局長から求められた報告を怠った場合は、20万円以下の過料に処せられます。こうした措置は、企業のイメージダウンに直結し、取引先企業の撤退や大規模離職を招きかねません。

育児介護休業法の改正には、勤怠管理システムで対応

今回の法改正に伴い、就業規則の改定や運用の見直しが必要となってきます。取得状況公表の義務化などは、今後は中小企業にも適用されていく可能性があり、相応の対応が求められることになります。

しかし、こうした動きは、SDGsによる社会的イメージアップやESG投資などにつながるチャンスと捉えることもできます。

改正に合わせて勤怠管理システムを導入することで、勤怠管理を効率化でき、育休を取得しやすい職場づくりが可能となります。また、今後の法改正にも慌てることなく柔軟に対応できます。

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