派遣社員を抱える企業にとって、その勤怠管理は非常に重要な課題です。労働時間の正確な把握、残業代の適切な支払い、そして労働基準法の遵守は、企業の健全な運営に欠かせません。

しかし、派遣社員の勤怠管理には、労働時間の正確な把握やタイムカードの回収・管理など、さまざまな課題が存在し、これらに関して十分な対策が取られていないことが少なくありません。これらの問題を放置すると、労働基準法に違反するリスクが高まり、労使トラブルを招く可能性があります。

この記事では、派遣社員の勤怠管理における課題や、派遣元企業・派遣先企業がそれぞれに管理すべき事項、運用上の注意点などについて、わかりやすく解説します。

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派遣社員の勤怠管理とは

派遣社員の勤怠管理は、派遣元企業と派遣先企業が協力して、派遣社員の労働時間や出勤・退勤などの勤務状況を正確に把握し、記録、管理する必要があります。

派遣元と派遣先の双方が労働基準法や労働者派遣法により、派遣元と派遣先の双方がを遵守し、労働トラブルを防止するとともに、派遣社員の働きやすい環境を実現しなくてはなりません。

勤怠管理はなぜ必要?

勤怠管理は、法令遵守や労使トラブル防止などの観点から、適切に行う必要があります。労働基準法では、労働時間や休憩時間、賃金など、労働条件に関する規定が定められており、適切な勤怠管理を行うことで、これらの法令を遵守し、労働基準監督署の指導や是正勧告を受けるリスクを軽減できます。

適切な勤怠管理は、正確な給与の支払のために不可欠で、残業代未払いや時間外労働に関する労使間のトラブルなどを未然に防ぐことができます。

また、勤怠データを分析することで、労働時間と業務量のバランスを把握し、生産性を向上させるための施策を講じたり、個々の従業員の働き方を評価し、育成に繋げたりすることも可能となります。

派遣社員を巡る契約関係

派遣社員を巡る契約関係は、雇用契約と労働者派遣契約の二重構造で成り立っており、それぞれの契約において異なる責任と義務が存在します。

雇用契約

雇用契約は、派遣元と派遣社員の間で結ばれる契約です。雇用契約においては、労働基準法に従って労働時間や休日・休暇、賃金の支払いなど、さまざまな労働条件が定められます。

労働者派遣契約

労働者派遣契約は、派遣元と派遣先の間で結ばれる契約です。労働者派遣契約においては、労働者派遣法に従って、派遣社員の業務内容や職種、派遣期間、派遣元と派遣先の責任分担などが定められます。

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派遣元企業が管理すべき項目

派遣社員について、派遣元企業では、主に以下のような項目を管理します。

  • 賃金の支払
  • 36協定の締結と届出
  • 年次休暇の管理
  • 労働者災害補償保険
  • 健康管理

賃金の支払

賃金の支払いは、派遣元企業が最も重要視すべき項目です。労働基準法第24条により、賃金はその全額を毎月1回以上、一定の期日に支払わなければならないと定められています。

派遣元企業は、派遣先企業より情報提供を受けた派遣社員の正確な労働時間に基づいて、適切な賃金を支払う責任があります。

36協定の締結と届出

36協定とは、時間外労働や休日労働を行うために必要な労使間の協定のことです。派遣社員に対して時間外労働や休日労働を命じるためには、派遣元企業にて、36協定を締結し労働基準監督署に届け出ている必要があります。

よって、派遣先にて36協定の締結・届出がなされていても、派遣元にてこれが行われていない場合は、派遣社員に残業を命じることはできません。また、時間外労働の上限時間についても、派遣元の36協定にて定められた内容に従うことになります。

年次有給休暇の管理

年次有給休暇は、雇用開始から6か月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、賃金を保証しながら付与される休暇です。派遣元企業においては、付与要件を満たす限り派遣社員に対しても、等しく年次有給休暇を付与し、取得させる義務があります

労働者災害補償保険

労働者災害補償保険(労災保険)は、業務中に発生した労働災害に対する補償を提供する制度です。派遣社員も当然にこの補償の対象となり、派遣元企業は派遣社員が労災に遭遇した際、適切な補償を行う義務があります。

健康管理

派遣元企業は、労働安全衛生法に基づいて、派遣社員の健康管理に配慮し、安全で衛生的な労働環境を提供する義務があります。定期的な健康診断の実施や安全教育の実施、ストレスチェックの管理など、健康管理は派遣社員の健康と安全を確保するために重要です。

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派遣先企業が管理すべき項目

派遣先企業は、派遣社員に対して主に以下のような項目を管理します。

  • 労働時間
  • 休憩時間
  • 安全衛生管理
  • ハラスメント

労働時間

派遣先企業は、派遣社員の労働時間を適切に管理し、法定労働時間を超えないように管理する必要があります。また、派遣元の36協定に基づいて時間外労働を命じる場合でも、派遣元で定められた上限時間を超えないよう注意しなければなりません。

休憩時間

派遣先企業は、派遣社員に適切な休憩時間を付与する義務があります。労働基準法により、6時間を超える労働には少なくとも45分、8時間を超える労働には1時間以上の休憩を与えることが義務付けられています。

安全衛生管理

派遣先企業は、派遣社員が安全な環境で働けるよう、安全衛生管理を徹底する責任があります。労災や健康診断の実施などに関しては派遣元の責任ですが、実際に現場で指示を行い、設備管理を行うのは派遣先です。

そのため、危険箇所の表示、安全装置の設置などは派遣先の責任です。また、派遣契約の条件に含まれない危険性を伴う業務を行わせない、健康被害の恐れのある材料などは扱わない、などの注意も必要です。

ハラスメント

派遣先企業は、パワハラやセクハラなどのハラスメントを防止するための措置を講じる義務があります。ハラスメントは、労働者の心身に大きなダメージを与え、職場環境を悪化させる原因となります。

派遣先企業は、ハラスメント防止に関する規程を策定し、従業員への周知徹底を行うとともに、相談窓口を設置するなど、ハラスメントが発生しないよう、適切な対策を講じる必要があります。また、派遣労働者からハラスメント被害の申し出があった場合は、速やかに派遣元に情報共有する必要があります。

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派遣社員の勤怠管理の課題

派遣社員の勤怠管理には多くの課題があり、これを適切に解決することが派遣元および派遣先企業にとって重要です。特に、正確な勤怠状況の把握、タイムカードの回収・管理、そして派遣元と派遣先の間での勤怠管理方法の違いが大きな課題となります。

正確な勤怠状況の把握が難しい

派遣社員の正確な勤怠状況の把握は難しい課題の一つであり、これが不十分だと法令遵守や賃金計算などに影響を及ぼします。派遣社員の勤務場所は派遣先企業であるため、派遣元がリアルタイムで労働時間を把握するのは難しい場合があります。

「派遣元の36協定の上限を超える時間外労働は発生していないか」「休憩時間は、労働時間に応じて適切に取得できているか」など、派遣元と派遣先が適宜コミュニケーションを取りながら、確認する必要があります。

タイムカードの回収・管理の手間がかかる

派遣先の勤怠管理がタイムカードで行われている場合、派遣社員のタイムカードの回収と管理に大変な手間となります。締め日に全派遣社員からタイムシートを回収する手間だけなく、実際の勤務時間を派遣元が確認するまでにタイムラグが発生する可能性もあります。

タイムカード回収の後も、時間外労働が発生していないか、シフトに誤りがないかなど数多くの確認作業が発生します。また、タイムカードの情報を、給与計算のためにソフトに転記しなくてはならず、ヒューマンエラーが起きやすくなります。

派遣元と派遣先で勤怠管理方法が異なる場合がある

派遣元と派遣先で、それぞれ異なる勤怠管理システムやルールが採用されている場合、派遣社員の労働時間や休暇の整合性が取れず、、トラブルの原因となる可能性があります。また、勤怠管理システムを導入しているのが、派遣元もしくは派遣先の一方のみである場合、データ入力の手間も発生します。

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派遣社員の勤怠管理の注意点

派遣社員の勤怠管理は、派遣元企業と派遣先企業が連携して行う必要があり、それぞれに注意すべきポイントがいくつかあります。

派遣元企業の注意点

派遣社員が自己申告で勤怠を報告する運用の場合、虚偽申告や間違いが起こるリスクがあり、正確な勤怠管理が困難になります。残業代を多く受け取ろうとするなどの目的で、故意に労働時間を多く申告するケースや、記憶違いなどにより不正確な時間を誤って入力してしまうケースなどが考えられます。

そのため、派遣元企業は、自己申告のみに頼るのではなく、派遣先企業に適宜確認する、客観的なデータに基づいた勤怠管理システムを導入するなど、より正確な勤怠管理方法を検討する必要があります。

また、派遣元企業は、派遣社員の勤怠情報をリアルタイムで把握することが難しいため、派遣社員とのコミュニケーションを密に行い、トラブルを未然に防ぐ仕組みづくりも必要です。

派遣先企業の注意点

労働時間は、1分単位で正確に記録する必要があり、たとえば50分の残業時間を30分に丸めるなど、派遣労働者の不利になる形で、派遣先企業が労働時間を丸め処理を行うことは認められません

かりに、派遣元と派遣先との間の労働者派遣契約にて労働時間の丸め処理に関する取り決めがあったとしても、その条項は無効となるため注意しましょう。

また、派遣先企業は、タイムカードや出勤簿を最低5年間保管する必要があります。労働基準法第109条では、賃金台帳などの労働関係の記録を5年間(経過措置により当面は3年間)保存するよう義務づけられており、タイムカードや出勤簿などもこの保存義務に含まれます。

派遣社員の勤怠管理はシステム化が不可欠

派遣社員の勤怠管理には、派遣元企業と派遣先企業の双方が重要な役割を担っています。派遣元企業は、正確な賃金計算や年次有給休暇の管理、派遣先企業は労働時間の把握や休憩時間の付与などが求められます。

しかし、派遣社員の勤怠管理において、これらの管理を手作業で行うのは困難です。そこで、効果的な勤怠管理システムの導入が不可欠となります。適切なシステムを導入することで、リアルタイムでの勤怠情報の把握、データの正確な管理、法的なトラブルの回避が可能になります。

勤怠管理システムの選定は、複数の製品を比較し、自社のニーズに最も適したシステムを選ぶ必要があります。「勤怠管理システムの選定。・比較ナビ」であれば、派遣社員の管理に必要な案件を満たしている勤怠管理システムの中から自社に最もマッチングするシステムを探し出すことができます。

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