タイムカードによる勤怠管理を運用している場合、打刻忘れは避けて通れない悩みです。
頻発するようであれば人事担当者の負担は増え、業務効率が大きく落ちてしまいます。

この記事では、タイムカードによる打刻忘れが発生する原因と対応する改善策や常習者に対して課せられるペナルティの範囲、抜本的な見直し案について解説します。

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打刻忘れがあるとどうなる?

日々の出退勤時間を記録し労働時間を把握する方法として、タイムカードによる打刻があります。

タイムカードを導入している企業は多く、長年一般的な打刻方法として利用されてきましたが、打刻忘れや多様な働き方への対応から、近年では勤怠管理にタイムカードではなく、勤怠管理システムを利用する企業も増えてきています。

労働時間超過で会社が処罰される可能性も

そもそも打刻とは、出退勤時間を記録することで企業が従業員の労働状況を正しく把握し、労働時間に応じた給与を正確に支給するために行うものです。

2019年には働き方改革の一環として労働安全衛生法が改正され、従来は給与計算や法定帳作成に伴う付随義務に過ぎなかった労働時間の把握が、企業の義務であると明記されました。

労働時間把握義務に関しては、違反した場合の罰則規制はないため、把握を怠ったことで直接処罰されるわけではありません。

ただし、同時期に改正された労働基準法により時間外労働(残業時間)の上限が設定され、違反した場合には「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が課されることになりました。

よって、労働時間が正しく把握できていなかったために法定上限を超えてしまうことで、会社が処罰される可能性があるのです。

人事担当者に過度な負担がかかる

人事担当者は、遅刻・早退の状況や残業時間を把握、集計し給与計算を行う必要があります。
平常時でも担当者にとって負担が大きい集計作業ですが、打刻忘れが発生した場合にはさらに煩雑な作業が増えることになります。

具体的に挙げると、集計作業を始めるためには対象の社員に対して事実確認した上での修正作業が必要です。

また、あとから出退勤時刻を記載するにあたっては、その時刻が正しい時間なのかをパソコンのログなどを調べて客観的データとともに検証している場合も多く、集中的に過度な負担がかかることになります。

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打刻忘れが起こる原因とは?

打刻忘れが起きる典型的なパターンが、以下の3つです。

  • タイムカード打刻の習慣がない
  • 打刻機の設置場所が悪い
  • 打刻に時間がかかる

タイムカード打刻の習慣がない

「出退勤の際にはタイムカードを打刻する」という行動が全従業員に習慣化されていない場合には、打刻忘れが頻発しやすくなります。

特に、タイムカードによる勤怠管理の運用を始めたばかりであったり、新しく入社した社員でまだ打刻に慣れていなかったりする場合には、注意が必要です。

打刻機の設置場所が悪い

タイムカードを打刻するための打刻機の設置場所が悪い場合も、打刻忘れが発生しやすくなります。

たとえば、オフィスの隅や死角となるスペースに打刻機を設置してしまうと、つい打刻機の存在を失念してしまったり、わざわざ打刻しに行くのが面倒であとで打刻しようと思いそのまま忘れてしまったりすることにつながります。

打刻に時間がかかる

退勤時刻は定時退社や残業する人によってある程度ばらつきがありますが、出勤時間は打刻をしようとする人が集中します。

打刻機の行列を見て、「今は混んでいるから先に業務の準備をして、打刻をあと回しにしよう」と、ついそのまま打刻を忘れてしまうケースも珍しくありません。

また、各従業員のタイムカードが共有の場所に置いてあり探すのに時間がかかる、打刻するには各自がPCにログインしてから実施する運用になっている、といった場合にも打刻忘れが発生しがちです。

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打刻忘れを防ぐための対策

企業にとってリスクとコスト増となる打刻忘れを極力減らす方法としては、以下の3つが考えられます。

  • 声がけなど周知を徹底する
  • 動線に打刻機を設置する
  • 勤怠管理システムを導入する

声がけなど周知を徹底する

基本的な行動ではあるものの、朝礼などで打刻を忘れないよう声がけして、周知徹底することが大切です。
打刻がまだ従業員にとって習慣化されていない場合には、特に効果的です。

周知手段としては、他に貼り紙も有効です。
オフィスの入り口などの必ず通る場所や執務スペースの目立つ場所に「打刻忘れに注意」などのメッセージを貼るのもよいでしょう。

また、パソコンを起動した際にポップアップメッセージとして表示させるなどの対策も考えられます。

動線に打刻機を設置する

打刻機がオフィスの隅にある場合などは、設置場所を見直すことをお勧めします。

出社後、各自が執務スペースに向かうまでの動線上に打刻機を設置して、必ず打刻機が視界に入る環境を整えましょう。
設置場所を工夫するだけで、業務開始前に打刻するというアクションが自然に行えます。

また、従業員数に対して打刻機が少なく、打刻に列ができてしまうような場合には打刻機の増設も検討しましょう。

勤怠管理システムを導入する

タイムカードによる打刻の場合は、周知や設置場所だけでは打刻忘れをゼロにすることは難しい面があります。

また、タイムカード打刻は打刻機のあるオフィスへの出社が前提となっているため、営業などで直行・直帰する場合は物理的に打刻ができません。

そこで、タイムカードによる勤怠管理自体を見直すことも検討すべきです。
勤怠管理システムには、ICカードで打刻をしないとオフィスに入れない、web打刻を活用し打刻のない従業員にアラート通知をするなどの機能を持つ製品もあります。

こういった他システム連携の可能な勤怠管理システムを導入することで、打刻忘れ防止だけでなく、人事担当者の事務負担軽減の効果も期待できます。

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打刻忘れに対するペナルティはどこまで可能?

打刻忘れが続くと、人事担当者に負担がかかるだけではなく、労働時間の把握という企業としても義務を果たすことができません。

いくら対策をしても打刻忘れが続く従業員がいる場合、何らかのペナルティを課すことも考えられます。

基本的に打刻忘れに対する罰金の定めは不可

労働基準法では「賠償予定の禁止」が定められており、労働者のミスや不手際に対して「あらかじめ罰金を定めておく」ことが禁じられています。

(賠償予定の禁止)
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

労働基準法第16条|法令検索 e-Gov

たとえば、「打刻忘れがあった場合には、罰金2千円とする」などと事前に就業規則などで定めておいても無効とされ、罰則の対象となる可能性があります。

なお、ここで禁じられているのはあくまでも「賠償予定」であり、現実に労働者の責任で生じた損害に対して賠償を求めることは禁じられていないため、混同しないようにしましょう。

打刻忘れを遅刻や欠勤扱いとすることも不可

「打刻をしていない」ことを「勤務していない」とみなして遅刻や欠勤扱いとすることは、認められていません。

実際に勤務をしている以上、打刻忘れを遅刻・欠勤とみなし賃金を支払わないことは、労働基準法の「賃金全額支払の原則」違反となります。

(賃金の支払)
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(以下省略)

労働基準法第24条|法令検索 e-Gov

労働期間を把握し、労働時間に応じた賃金を全額支払うことは企業の義務であり、タイムカードによる打刻は企業が選択した手段に過ぎません。

打刻忘れにより労働時間が把握できない場合は、その他の客観的な記録によって勤務時間を把握し、給与に反映させる必要があります。

例外的に減給処分が認められる条件とは?

打刻忘れを処罰対象とし、具体的に減給処分を課すためには、以下の2つの要件を満たしている必要があります。

1つ目は、就業規則上「打刻忘れは服務規律違反に該当し、処分の対象となる」旨が明記されており、この就業規則が従業員全員に周知されていることです。

この場合でも、一度の打刻忘れで即処分対象とするのではなく、本人に対し注意を促し改善を求めたうえでもなお続く場合にのみ減給処分とする、などの適正な手続きを踏むことが求められます。

2つ目は、減給の額は自由に設定するものではなく、労働基準法で定められた金額の範囲内であることです。

(制裁規定の制限)
第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

労働基準法第91条|法令検索 e-Gov

上記の通り、減給額は「一回の額が平均賃金の一日分の半額以下」かつ「総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一以下」である必要があります。

まとめると、打刻忘れに対する減給処分は、事前に就業規則等で処分対象となる旨が明記・周知されている場合に限り、法定金額の範囲内でのみ可能になります。

査定のマイナス要素とすることは可能

打刻忘れを減給処分とすることは簡単ではありませんが、賞与や人事考課の査定において、打刻忘れが多いことを理由にマイナス評価をつけ、賞与等に反映させることは可能です。

査定項目や運用は、事業主が裁量の範囲内で自由に定めているものになります。
出退勤時に打刻をすることを就業規則上の義務として定めている場合に、服務規律違反や勤務態度不良として査定でマイナス評価とすることは、問題ありません。

打刻忘れには勤怠管理システムが最も有効

打刻忘れがヒューマンエラーである以上、防止対策や打刻忘れ発生時の修正作業に労力をかけるよりは、打刻方法を抜本的に見直して勤怠管理システムを導入することをお勧めします。

勤怠管理システムには、さまざまな打刻方法を備えている製品があります。
営業による直行直帰や在宅勤務の有無などに応じて、自社にあった勤怠管理システムを選ぶことができ、不正打刻防止にもつながります。

有給休暇管理や給与計算が可能となる勤怠管理システムもあり、打刻忘れ防止だけでなく人事業務全般に渡って負担が軽減されます。

勤怠管理システムは、自社の状況やニーズをしっかりと把握したうえで、打刻方法やシステム連携の有無、機能や費用などを多角的に比較検討して選ぶことが重要です。

「勤怠管理システムの選定・比較ナビ」であれば、ピンポイントに欲しい機能を指定して自社に最もマッチングする勤怠管理システムを探し出すことができます。

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