「健康管理時間」は、2019年4月から導入された高度プロフェッショナル制度に合わせて新たに規定された時間です。この健康管理時間は、通常の労働時間とどう違うのでしょうか?また、どのように計算すれば良いのでしょうか?

この記事では、健康管理時間の定義や計算方法、事業主として注意すべき上限などについて、わかりやすく解説します。

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健康管理時間とは

健康管理時間とは、高度プロフェッショナル制度(以下「高プロ」)の対象労働者の過重労働を防止するため、使用者が把握・管理すべき時間です。

具体的には、高プロ対象労働者が、事業場内にいた時間と事業場外で労働した時間を合わせた時間を指します。事業場内にいた時間のうち、休憩時間や組合活動時間を健康管理時間に含めるか否かは、労使委員会の決議によります。

高度プロフェッショナル制度とは

高度プロフェッショナル制度とは、高度な専門知識及び職業能力を有する労働者に対する完全成果型労働制です。労働基準法における労働時間や休日に関する規定が適用されず、基本的に実労働時間に関係なく残業代は発生しません。

そのため、対象業務や年齢要件が厳格に決められており、以下の業務に従事しかつ年収が1,075万円を超えている者が、個別に合意した場合のみ適用が可能です。

  • 金融商品の開発業務
  • 金融商品のディーリング業務
  • 市場動向等のアナリスト業務
  • 事業コンサルティング業務
  • 研究開発業務

健康管理時間の把握方法は?

原則的には、健康管理時間も労働時間と同様に、タイムカードやPCログなどの客観的な方法で把握することが求められます

ただし、事業場外の労働時間についてのみ、現実的に把握が不可能な場合に限り自己申告でも認められます。これはモバイル端末などの通信機器を用いての連絡が困難である場合などが該当するため、条件としては非常に限定的と考えるべきでしょう。

健康管理時間の上限超過の計算方法は?

健康管理時間には月当たりの法定基準が設けられており、具体的には以下の式により算出します。

月の暦日数 ÷ 7 × 40

当月の健康管理時間の合計(労使委員会にて休憩時間等を含めると決議した場合は、その時間も含む)からこの上限を差し引いた時間が、超過時間となります。

通常の残業時間の計算とどう違う?

一般の労働時間制においては、1日8時間・週40時間の法定労働時間を超過した時間を、時間外労働として計算します。

対して、健康管理時間は、日単位や週単位ではカウントせず、ひと月単位で見ていきます。ただし、これは集計のためのカウントはしないという意味であり、高プロ対象者の健康管理時間は、日々の把握・管理が必要ないという意味ではありません。

また、一般の労働時間制における休日労働は、時間外労働と別で集計しますが、健康管理時間は所定労働日の労働時間と休日労働の時間を区別しません。そもそも高プロ対象者には、休日労働という考え方が無いということでもあります。

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健康管理時間と事業主の講ずべき措置

高プロ対象労働者の健康維持のため、健康管理時間が一定の基準を超えた場合は、事業主は対応する措置を講じることが義務付けられています。

健康管理時間の把握

厚生労働省告示により、事業主は以下の時間について、PCログやタイムカード等による客観的な方法で健康管理時間を把握すべきとされています。

  • 日々の健康管理時間の始期及び終期
  • 1ヶ月あたりの健康管理時間の合計

健康管理時間が法定基準を80時間超過した場合

高プロ対象労働者の健康管理時間のひと月における超過が、80時間を超えた場合は、対象者の情報を産業医に提供しなければなりません。このひと月における超過は、さきほどご紹介した式の「月の暦日数 ÷ 7 × 40」時間をどのくらい超過したかで判断します。

健康管理時間が法定基準を100時間超過した場合

健康管理時間のひと月における超過が100時間を超えた場合、本人からの申し出の有無に関係なく、医師による面接指導を実施しなければなりません。これに違反した場合は、50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

また、超過が100時間を超えない労働者であっても、本人から申し出が合った場合は面接指導を実施するよう努めなければならないとされています(努力義務)。

高プロ運用にあたっての選択的措置

高プロを運用するにあたっては、次のいずれかに該当する措置を労使委員会の決議で定め、実施しなければなりません

  1. 勤務間インターバルの確保(11時間以上) + 深夜業の回数制限(1ヶ月に4回以内)
  2. 健康管理時間の上限措置(週当たり40時間を超えた時間が、1ヶ月につき100時間以内又は3ヶ月につき240時間以内とすること)
  3. 1年に1回以上の連続2週間の休日を与えること(本⼈が請求した場合は連続1週間 × 2回以上)
  4. 臨時の健康診断(週当たり40時間を超えた健康管理時間が月80時間を超えた労働者又は申出があった労働者が対象)

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健康管理時間についてよくある質問

健康管理時間の関して、よく寄せられる質問をQA形式でまとめました。

Q
健康管理時間の計算方法は?
Q
健康管理時間の平均は?

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高プロ対象者も勤怠管理システムで

高プロ対象者は、労働時間と賃金が切り離されている完全成果報酬型の制度であるため、給与計算のための労働時間の把握は不要です。

一方で、過重労働を防止するために健康管理時間の把握は義務付けられており、超過時間に応じた適切な措置を講じるためにも、適正な管理が求められます。

このように、結局は高プロ対象者といえども、通常の労働者と同じように勤怠管理システムを用いた客観的な勤怠管理が有効と言えるでしょう。

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