従業員がインフルエンザに罹患した場合、会社としては感染リスクを考慮して出勤停止を命じる場合が多いと思われます。出勤停止期間については、法的な規定がないため、就業規則等に準ずることになります。

この記事では、従業員がインフルエンザに罹患した場合の出勤停止期間や有給・無給の判断について、使用者・管理者の方向けにわかりやすく解説します。

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インフルエンザの出勤停止期間に法的な決まりはない

幼児や児童がインフルエンザに罹患した場合、集団感染防止の観点から、幼稚園や学校への登園・出席停止期間基準が設けられており、それに従って一定の日数休ませることになります。

しかし、成人の場合はこうした基準がないため、従業員がインフルエンザに罹患した場合の出勤停止期間については、会社ごとに就業規則等に定めておく必要があります。

学校の出席停止期間基準について|早見表リンクあり

出勤停止期間を定める上で一つの参考になるのは、幼児や児童に適用する学校保健安全法施行規則第19条の規定です。

(出席停止の期間の基準)
第十九条 令第六条第二項の出席停止の期間の基準は、前条の感染症の種類に従い、次のとおりとする。
一 第一種の感染症にかかつた者については、治癒するまで。
二 第二種の感染症(結核及び髄膜炎菌性髄膜炎を除く。)にかかつた者については、次の期間。ただし、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めたときは、この限りでない。
イ インフルエンザ(特定鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)にあつては、発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日(幼児にあつては、三日)を経過するまで。
(以下略)

学校保健安全法施行規則 第19条|法令検索 e-Gov

上記規定によると、幼児や児童がインフルエンザに掛かった場合、幼稚園や学校への登園・出席停止期間は「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」と定められています。

以下に、分かりやすくまとめられた早見表のリンクを貼っておきますので、参考までにご覧頂ければと思います。
インフルエンザ出席停止期間早見表

会社の場合の出席停止期間は?

会社の場合は、インフルエンザなどの感染者が出た際の出勤停止期間について、法的な基準はありません。

ただし、「労働安全衛生法」において、事業者には全従業員に対する安全配慮義務が規定されていることから、出勤停止措置については就業規則等に定めておくことが必要です。

一般的には、学校の場合の基準に沿って「発症後5日間が経過し、かつ解熱後2日間」と規定することが多いようです。この場合の「○日間」とは、「初日不算入」の原則により2日目からカウントすることになります。

例1:木曜日に発症し、土曜日に解熱した場合

発症翌日の金曜日からカウントして、5日間経過後の翌水曜日から出勤可能(解熱後2日間の条件もクリアしている)となります。

例2:木曜日に発症し、月曜日に解熱した場合

発症翌日の金曜日からカウントして、5日間経過後は翌水曜日になりますが、解熱後2日経過していないため、さらに1日後の翌木曜日から出勤可能となります。

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インフルエンザの出勤停止期間は有給?無給?

出勤停止期間中の賃金については、法的な規定がないため、就業規則に基づいて判断する形になります。病気休暇や私傷病休暇など、特別休暇を導入している場合は、該当規定に従います。

なお、休業手当の支給に関しては、インフルエンザの種類によって判断が異なるため、この点も解説します。

「私傷病休暇」などの特別休暇があれば取得してもらう

法律で付与が義務付けられた法定休暇とは別に、特別休暇(法定外休暇)として「私傷病休暇」などを設けている場合は、その規定に従って取得してもらうことになります。

特別休暇の導入や有給・無給の取り扱いに関しては、会社ごとに自由に設定できるため、規定に従って手続きを進めます。

私傷病休暇制度とは

業務外の病気やケガによって就業できない状態となった労働者に対して、会社が一定期間の労働を免除する制度です。

法的な規定は存在しないため、私傷病休暇の設定は企業の判断に委ねられています。また、休職中の給与に関しても企業によって判断は異なりますが、無休扱いとした場合でも、一定の条件を満たした従業員に対しては、健康保険から傷病手当金が支給される可能性があります。

有給申請があったら?

従業員から、インフルエンザによる出勤停止期間を年次有給休暇として取得したい旨の申請があった場合、基本的に会社側はこれを拒否できません。取得理由により、有給休暇の申請を拒否することは、労働者の権利を不当に侵害する行為に当たり、原則認められません。

一方で、会社側から従業員に対して「有給休暇を取得するよう」強要することも、やはり労働者の権利を奪うことになり、認められません。

なお、有給休暇の取得可能日数が残っておらず、私傷病休暇や病気休暇などの特別休暇も導入していない場合は、欠勤として処理することになります。

インフルエンザの出勤停止に休業手当は必要?

使用者責任による休業については、休業を余儀なくされた従業員に対して、平均賃金の60%以上の「休業手当」を支払わなければなりません。

インフルエンザ感染を理由とする出勤停止命令が「使用者責任」となるかどうかについては、インフルエンザの種類により判断が異なります。

「新型インフルエンザ」の場合は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(通称「感染予防法」)」において、就業制限などの感染予防措置を取ることとされています。

よって、出勤停止命令は法の要請に基づく措置となり、使用者責任には該当せず、休業手当も不要ということになります。

一方、「季節性インフルエンザ」は、感染予防法において五類感染症に分類され、就業制限の対象外となっています。

よって、出勤停止命令には法的根拠がなく、使用者責任に該当するため、休業手当の支払いが必要となります。

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インフルエンザによる出勤停止について、よくある質問

インフルエンザによる出勤停止に関して、よく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。

Q
職場復帰の際に医師の証明書を提出させることはできる?
Q
従業員の家族がインフルエンザに罹患したら?

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インフルエンザによる出勤停止は、会社の特別休暇を使うのか、有給休暇として取得するのか、欠勤扱いとするかによって、勤怠の処理が変わります。また、特別休暇の場合は、有給・無給の別も就業規則等の規定によって変わることになります。

勤怠管理システムを導入することで、就業規則の内容や従業員の選択に応じた適切な勤怠データへの反映が可能となります。

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