退勤の正確な意味を誤解されている方は、意外と多くいらっしゃいます。似たような言葉の退社や帰社、退職などと混同しがちです。

この記事では、退勤の定義や正しい出退勤管理について、わかりやすく解説します。

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退勤とは

退勤とは、「予定の仕事を終えて、勤務状態から離れていること」を指します。似た意味の言葉に「終業」があり、就業規則などの所定労働時間では「始業時間、終業時間」という形で使われます。

ただし、「終業時間」が所定労働時間上のいわゆる定時を指すことが多いのに対し、「退勤時間」は残業も含めて実際に業務を終えた時間を指すことが多いようです。

退勤と退社との違い

「退社」とは、「社内での業務を終え会社を出ること」を指します。対して退勤は、社内外関係なく業務を終えるというニュアンスがあります。

退社は必ずしも退勤後になるとは限りません。というのも、外回りの営業職などは、社内での業務を終えて退社したあとに、引き続き外での業務を行い、そのまま直帰することも珍しくありません。この場合は、退社後に退勤するということになります。

また、退社には「寿退社」のように、会社を退職するという意味もあります。誤解を招きやすい言葉であるため、電話応対等で指名があった場合は「先月を以て退社致しました」「本日は退社致しました」のように、時間軸に沿った言葉を添えるのが一般的です。

退勤と帰社との違い

「帰社」とは、「外出先から自社に戻ること」を指します。取引先や出張先から戻ってくる場合もあれば、単に昼休憩の外食を終えて戻ってくる場合に使われることもあります。

また、システム会社などで、客先に常駐して勤務している従業員が、月に1回程度業務報告などのために、自社に戻ることも「帰社」と呼びます。

なお、詳しくは後述しますが、外出先での業務を終えた従業員が、引き続き内勤もしくは退勤処理のために帰社するまでの移動時間は、基本的には労働時間に含める必要があるため、注意が必要です。

退勤と退職との違い

「退職」は「会社を辞めること」を指します。「退社」に比べて意味が明快であるため、電話応対等では「退職」を使うのが一般的です。

なお、「退職」と似た言葉に「離職」があり、こちらは「離職率」「離職期間」のように、「職を離れている状態」を指す言葉です。また、「退職」が自ら職を退くニュアンスが強いのに対して、「離職」は解雇された場合も含んでやや広い意味で捉えることが多いようです。

いずれにしても、実務上は「退職」と「離職」を厳密に使い分ける必要まではないと言えます。

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退勤に関する労務管理の注意点

退勤は労働時間に直結するため、勤怠管理においてさまざまな点に注意しなくてはなりません。ポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 退勤時間とタイムカード打刻のズレ
  • 退勤時間後の業務命令
  • 移動時間の取り扱い

退勤時間とタイムカード打刻のズレ

紙のタイムカードによる出退勤打刻を行っている場合は、実際の退勤期間とタイムカード上の退勤時間にズレが生じる場合があります。

退勤時間が重なり、打刻機に並ぶことで数分打刻が遅れるなどという場合は、運用上の誤差としてやむを得ない面もあります。しかし、退勤後も社内で談笑したり休憩室で一服後に退勤の打刻をするというケースでは、単なる誤差として見逃すわけにはいかないでしょう。

こうした労働時間をかさ増しするような行為は、余計な残業代が発生するだけでなく、服務規程違反であり、正常な打刻を行っている他の従業員の士気を下げてしまいます

もちろん、該当従業員に個別に注意・指導することも必要ですが、勤怠管理システムを導入することでも、不正打刻を防止することが可能です。

勤怠管理システムの中には、PCのログオン情報と連動した出退勤打刻機能を備える製品があります。こうしたシステムを利用することで、作業を終えてPCからログオフした時点で退勤時刻が打刻され、また勝手に書き換えるといったこともできなくなります。 

退勤時間後の業務命令

上記ケースとは反対に、従業員本人は退勤打刻を済ませているにも関わらず、社内に残っているからと、取引先からの指名に応じさせたり作業指示を出したりしてしまうケースがあります。

改めて「残業命令」を出して、退勤時間を修正してもらうのであれば、時間分の割増賃金が支払われる限りは差し支えありません。しかし、退勤処理が終わっていることを良いことに、単に追加作業を命じるのは「サービス残業」の強要であり、明らかに違法行為です

また、明示的に「残業命令」を出していなくても、退勤処理を終えた従業員が引き続き業務を行っているのを黙認していた場合は、同じく適切な労働時間管理とはみなされません。

こうした行為は、提供された労働に対する賃金の全額払を定めた労働基準法24条や、時間外労働に対する割増賃金の支払いを定めた労働基準法37条に違反することになります。24条違反の場合は30万円以下の罰金、37条違反の場合は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられることになります。

移動時間の取り扱い

移動時間が労働時間に該当するかどうかは、「会社や管理者の指揮命令下にあるか」で判断することになります。このため、日々の通勤時間や出張先への移動時間は、基本的には労働時間に含まれません。

退勤との関係で問題になるのは、主に「外回りから帰社するケース」と「退社後に取引先に寄るケース」です。

外出先での業務を終えて直帰することなく、社内作業や業務報告、退勤処理などのために帰社する場合、その外出先から会社に戻るまでの移動時間は労働時間となります。

また、退社後自宅に帰るまでに、書類や商品を届けるために取引先に寄る場合も、会社から取引先までの移動時間は労働時間とみなされます。これは、重要な物品を管理しながらの移動は、業務上の緊張から解放されているとは言えないためです。

適切な退勤処理は勤怠管理システムで

退勤処理はルールや運用が曖昧だと、不正打刻による労働時間のかさ増しや、違法なサービス残業を招きかねまえん。

勤怠管理システムを導入することで、不正打刻を防止すると同時に、リアルタイムで従業員の勤怠状況を把握できるようになります。また、スマートフォン打刻などを利用すれば、外勤の従業員でも場所を選ばない勤怠処理が可能となります。

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