年に一度、必ずやってくる「定期健康診断結果報告書」の提出。企業の労務を担当する方は、以下のような悩みをお持ちではないでしょうか?

  • 「電子申請が義務化されたと聞くけど、正直、何から手をつければいいのかわからない…」
  • 「e-GovやGビズIDの準備って、なんだか難しそう…」
  • 「そもそも、うちの会社は本当に義務化の対象なの?」
  • 「万が一、提出が遅れたり、やり方を間違えたりしたら、罰則はあるのだろうか…?」

他の重要な業務も抱える中で、この複雑で年に一度しか行わない手続きに、多くの時間はかけられないというのが本音かもしれません。

本記事は、「定期健康診断結果報告書の電子申請」について、義務化の対象となる事業場の具体的な条件から、e-Govでの申請手順、間違いやすい記入項目の意味まで、わかりやすく解説します。

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定期健康診断結果報告書の電子申請とは

「定期健康診断結果報告書」の電子申請とは、事業者が実施した健康診断の結果を、従来のような紙の書類での提出ではなく、政府が運営するオンラインサービス「e-Gov(イーガブ)」を通じて、所轄の労働基準監督署へ電子データで報告する手続きのことです。

2020年4月からは、特定の条件を満たす事業場において、この電子申請が原則として義務化されています。この手続きの根拠は労働安全衛生法および関連省令にあり、特に労働安全衛生規則第52条では、定期健康診断の結果を「定期健康診断結果報告書」をもって報告する義務が定められています。

電子申請を行うためには、事前に法人・個人事業主向けの無料の共通認証システム「GビズID」のアカウント取得が不可欠です。これがオンライン上で企業の正式な担当者であることを証明する役割を果たします。

このように、電子申請は法的に定められた義務であると同時に、企業の労務管理業務の負担を軽減し、ペーパーレス化を推進する重要な取り組みです。事業者はこの制度を正しく理解し、計画的な対応が求められます。

定期健康診断結果報告書とは

「定期健康診断結果報告書」とは、事業者が労働者に対して法律に基づき実施した定期健康診断の結果について、診断結果の有所見者の数などを項目ごとに集計し、所轄の労働基準監督署長へ報告するための公的書類(様式第6号)です。

この報告書の提出は、労働安全衛生規則第52条によって明確に義務付けられており、国が全国の労働者の健康状態の動向を把握し、労働災害防止や健康増進施策に役立てることを目的としています。

重要なポイントは、この報告書が個々の労働者の詳細な診断結果そのものではなく、あくまで事業場全体の集計結果を報告するものであるという点です。なお、この報告書の提出義務は「常時50人以上の労働者を使用する事業場」が対象となります。

定期健康診断結果報告書の提出は、健康診断の実施と並んで、企業が労働者の健康と安全を守るための重要な義務の一つです。事業者は報告書の各項目の意味を正しく理解し、健診実施後は遅滞なく作成・提出することが不可欠です。

電子申請義務化の背景と企業に求められる対応

電子申請が義務化された背景には、国を挙げた行政手続きのデジタル化(DX)推進があります。これにより、事業者の手続き負担の軽減と、行政業務の効率化という双方のメリットを目指しています。

この流れは政府全体の明確な方針に基づくもので、厚生労働省も電子申請のメリットとして、コスト削減や24時間申請可能といった利便性の向上を挙げています。一方で、多くの中小企業がDX推進に課題を抱えているのも実情であり、スムーズに移行するためには計画的な準備が重要です。

企業や担当者が具体的に進めるべき対応は、以下の通りです。

求められる対応具体的なアクション
GビズIDの早期取得アカウント発行まで数週間かかる場合があるため、提出期限から逆算して早めに申請手続きを行う。
担当者の明確化と育成電子申請の業務を担う担当者を決め、e-Govの操作方法や関連法令について学ぶ機会を提供する。
産業医との連携電子署名が必要になるため、顧問産業医に電子申請へ移行する旨を事前に説明し、協力体制を築く。医師が電子署名に対応しているかどうかの確認も不可欠。
社内環境の整備e-Govの推奨動作環境を満たすPCやインターネット環境を確保する。
労務管理システムの検討健康診断の結果管理から報告書の作成、電子申請までを一元的に行えるシステムの導入は、根本的な業務効率化に繋がる有効な選択肢。

電子申請への対応は、単なる法令遵守の活動に留まりません。企業の労務管理やバックオフィス全体の生産性を見直す絶好の機会と捉え、事業者が主導して企業全体で計画的に取り組むことが成功の鍵となるでしょう。

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定期健康診断結果報告書の電子申請の対象

定期健康診断結果報告書の電子申請における対象は、①どの事業者・事業場が、②どの労働者の範囲で、③どの報告書を提出する義務があるのか、という3つの軸で決まります。事業者は、自社がこれらの条件にどのように該当するかを労働安全衛生法に照らして正確に把握することが、法令遵守の第一歩となります。

国がすべての企業に一律の義務を課すのではなく、対象を限定しているのは、効率的かつ効果的に労働者の健康管理状況を把握するためです。具体的に自社が対象となるかどうかを判断するには、「事業場の条件」「労働者の範囲」「報告書の種類」という3つのポイントを順に確認していくことが必要です。

対象範囲を正しく理解することは、適切な労務管理の基本であり、これを曖昧にしたままでは、提出漏れによる法令違反のリスクや、反対に不要な手続きを行ってしまうといった非効率を招きかねません。まずは自社の状況を正確に確認することから始めましょう。

電子申請の対象事業者・事業場の条件

定期健康診断結果報告書の提出義務があり、ひいては電子申請が原則義務化される対象は、「常時50人以上の労働者を使用する事業場」です。重要なのは、企業全体の労働者数ではなく、「事業場」という単位で判断する点です。

この条件を正しく解釈するためには、「常時使用する労働者(パート・アルバイト等を含む)」と「事業場(本社・支店・工場など各拠点)」という2つのキーワードの定義を理解することが不可欠です。

例えば、会社全体の従業員が120人でも、本社45人・A支店40人・B支店35人であれば、どの事業場も50人未満のため報告義務はありません。一方で、会社全体が80人で本社60人・工場20人の場合は、本社のみが対象となり報告書を提出する義務が生じます。

事業者はまず、本社・支店・工場といった各拠点(事業場)ごとに、「常時使用する労働者」の人数を正確に把握しなくてはなりません。

報告が必要な従業員・労働者の範囲

報告書に記入する「在籍労働者数」や「受診労働者数」などにカウントすべき対象は、原則として、その事業場で健康診断を実施したすべての労働者です。これには、正社員やパートタイマーといった雇用形態による区別はありません

これは、労働安全衛生法第66条が事業者に「労働者に対し、医師による健康診断を行わなければならない」と定めているためです。健診対象となった労働者は、必然的に報告書の集計対象にも含まれます。

実務上、特に判断に迷うケースとして、パートタイマーは週の所定労働時間が正社員の4分の3以上であれば対象となり、労働者性のない役員は対象外、派遣労働者は派遣元の事業者が報告するという点を押さえておきましょう。

定期健康診断結果報告書を正確に作成するためには、健康診断の対象となる労働者の範囲を法律に照らして正しく理解することが重要です。雇用形態の違いに惑わされず、自社の事業場で健診を実施した労働者を適切に集計し、報告してください。

特定化学物質健康診断結果報告書・ストレスチェック等の関連報告書

労務担当者が注意すべきは、定期健康診断結果報告書だけではありません。労働者の心理的な負担を把握する「ストレスチェック結果等報告書」や、特定の有害業務に関する各種の特殊健康診断結果報告書も、対象となる事業場においては電子申請による提出が原則義務化されています。

これらの報告書も、労働安全衛生法などに基づき、労働者の専門的な健康管理と職業性疾病の予防を目的として事業者に提出が義務付けられています。電子申請が原則義務化されている主要な報告書は以下の通りです。

報告書の種類根拠法令(様式)備考
定期健康診断結果報告書労働安全衛生規則(様式第6号)基本となる報告書
心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(ストレスチェック)労働安全衛生規則(様式第6号の3)常時50人以上の労働者を使用する事業場で義務
有機溶剤・鉛・特定化学物質・高気圧業務・電離放射線などの健康診断結果報告書労働安全衛生規則(各様式)対象となる有害業務に従事する労働者がいる場合に義務
じん肺健康管理実施状況報告じん肺法毎年12月末現在の状況を翌年2月末までに報告
有害な業務に係る歯科健康診断結果報告書労働安全衛生規則(様式第6号の2)塩酸、硝酸、弗化水素等を取り扱う業務が対象

特に「ストレスチェック結果等報告書」は、常時50人以上の労働者を使用する全ての事業場で提出義務があるため、注意が必要です。

事業者および労務担当者は、自社で実施している健康診断の種類をすべて把握し、それぞれに対応する報告書の提出義務の有無を確認しなくてはなりません。定期健康診断だけでなく、これらの関連報告書についても電子申請を前提とした業務フローを構築しておくことが、確実な法令遵守に繋がります。

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定期健康診断結果報告書の電子申請の流れと必要書類

定期健康診断結果報告書の電子申請は、大きく分けて「①事前準備」、「②申請データの作成・入力」、「③電子署名と申請」という3つのステップで進みます。

それぞれのステップで必要な書類や情報を漏れなく準備し、政府のシステムである「e-Gov」の正しい手順を踏むことが、スムーズな手続完了の鍵となります。

電子申請に必要な書類・添付資料一覧

定期健康診断結果報告書の電子申請において、紙の報告書をスキャンして添付するような「添付書類」は、原則として必要ありません。ただし、申請データをe-Govのフォームへ正確に入力するために、手元に準備しておくべき情報や書類がいくつかあります。

e-Govでの電子申請は、Web上のフォームに直接入力するか、指定のCSV形式でインポートする方法が基本となります。これは、行政側がデータを直接システムに取り込み、効率的に処理することを目的としているためです。

電子申請の作業をスムーズに進めるために、あらかじめ以下のものを一箇所に集めておくことを強く推奨します。

準備するものの分類具体的な内容
① 報告内容の元データ・健康診断の個人票(全員分)
・産業医の情報(氏名、医籍登録番号)
・事業場の情報(名称、所在地、労働保険番号)
② システム利用に必須のもの・GビズID(gBizIDプライム)のアカウント情報
・産業医の電子署名に用いる電子証明書(マイナンバーカード等)
③ あると便利なもの・厚生労働省提供の「CSVファイル作成支援ツール」
・昨年度の報告書控え(前年データとの比較・参考用)

効率的な作業の鍵を握るのは、物理的な書類ではなく事前の「情報整理」です。申請作業を始める前に必要な情報を揃えておくことで、入力ミスや手戻りを防ぎ、スムーズに手続を完了させることができます。

e-Govシステムを活用した申請手順

e-Govを活用した申請手順は、「①ログイン → ②手続検索 → ③申請書入力 → ④電子署名 → ⑤提出」という5つのステップで完了します。画面の指示に従って操作すれば手続を進められますが、入力項目が多岐にわたるため、一つずつ丁寧に進めることが重要です。

具体的な操作の流れは以下の通りです。

  1. e-Gov公式サイトにアクセスし、「GビズID」でログインします。
  2. マイページから「手続検索」へ進み、「定期健康診断結果報告書」を検索します。
  3. 申請画面の指示に従い、事業者情報や有所見者数などの各項目を入力します(CSVファイルのインポートも可能)。
  4. 入力内容を確認した後、申請者(事業者)と産業医の電子署名を付与します。
  5. 「申請」ボタンをクリックし、受付番号が表示されれば手続は一旦完了です。

e-Govには、入力途中で作業を中断できる「一時保存」機能も備わっています。操作は一度経験すれば難しくありませんが、初めての手続では戸惑うこともあるため、時間に余裕を持って取り組むことが推奨されます。

電子署名・押印の扱いと控えの管理方法

電子申請においては、従来の紙の報告書への押印に代わって「電子署名」が法的な本人証明の役割を果たします。また、申請後にe-Govから発行される「電子公文書」が正式な控えとなるため、これを電子データのままダウンロードし、法定期間、適切に保存・管理する必要があります。

電子署名は「電子署名法」に基づき、その電子文書が「誰によって作成され、改ざんされていないか」を証明するもので、書面における押印と同等の法的効力を持ちます。報告書には、事業者と産業医の2者の電子署名が必要となり、マイナンバーカード等が用いられます。

この電子署名が押印の役割を完全に代替するため、書類を紙に印刷して押印するといった作業は一切必要ありません。申請が受理されると、e-Govのマイページから受付印のある「電子公文書(PDF形式)」がダウンロード可能になり、これが正式な控えです。

電子署名と控えの電子管理は、ペーパーレス化された手続における最重要ルールです。従来の「押印してファイリング」という物理的な管理が、「電子署名してデータ保存」というデジタルな管理に置き換わったと正確に理解し、社内の書類管理体制をアップデートしていくことが不可欠です。

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定期健康診断結果報告書の記入方法と注意ポイント

定期健康診断結果報告書を正確に記入・作成することは、法令遵守と従業員の健康管理の根幹をなす業務です。特に、間違いやすい「労働者数」の正しいカウント方法と、報告書の信頼性を担保する「産業医の所見」の適切な記載が極めて重要となります。

報告書に記入すべき項目は、労働安全衛生規則で定められた「様式第6号」に準拠しており、不正確な記載は労働基準監督署からの是正指導の対象となる可能性があります。

正確な報告書を作成するためには、「主要項目の定義を理解する」「公式フォーマットを活用する」「産業医と緊密に連携する」という3つのポイントを押さえることが不可欠です。

主要項目の意味と記載方法(氏名・所見・人数等)

定期健康診断結果報告書の各項目、とりわけ「在籍労働者数」「受診労働者数」「有所見者数」といった人数のカウントには明確な定義があります。これらの違いを正しく理解し、個々の労働者の健康診断個人票と照らし合わせながら、正確に転記・集計することが記入作業の基本にして最も重要なポイントです。

これらの項目は「様式第6号」で規定されており、国の労働衛生行政において、労働者の健康状況を把握するための重要なデータとなります。特に注意すべき主要項目の意味と記載方法は以下の通りです。

主要項目意味と記載方法
労働保険番号事業場に割り当てられている14桁の番号を記載します。
在籍労働者数健康診断の実施期間中に在籍していた「常時使用する労働者」の総人数を記入します。
受診労働者数上記「在籍労働者数」のうち、実際に健康診断を受診した労働者の人数を記入します。
有所見者数受診した労働者のうち、何らかの異常の所見があった者の人数です。「医師の指示人数」とは異なる場合があるため注意が必要です。
医師の指示人数有所見者のうち、産業医等が健康管理上必要な措置(要精密検査、要医療など)について指示を行った人数を記入します。
産業医の氏名・所在地報告書の内容を確認し、所見を述べた産業医の氏名と、その産業医が所属する医療機関等の所在地を記載します。電子申請では医籍登録番号も必要です。

報告書の各項目は、一つひとつに明確な定義があります。記入時に疑問が生じたら、自己判断せず厚生労働省のウェブサイトで公開されている手引き等を参照することが、正確で信頼性の高い報告書作成への確実な道筋です。

入力用フォーマットと記入例

定期健康診断結果報告書の作成には、厚生労働省が公式に提供している「CSVファイル作成支援ツール」や、e-Govのシステムに直接入力するフォーマットを活用するのが、最も安全かつ効率的な方法です。これらの公式フォーマットには、記入を補助し、ミスを防ぐための機能が備わっています。

公式フォーマットは「様式第6号」に完全に準拠しているため、必須項目の記入漏れや提出時の形式エラーといったリスクを未然に防ぐことができます。

  • CSVファイル作成支援ツール(Excel形式)は、オフラインでの編集や社内でのダブルチェックに便利です。完成したCSVファイルをe-Govにインポートすれば、入力の手間が大幅に削減できます。
  • e-Govの直接入力フォームは、専用ソフトが不要で、入力ミスをシステムがリアルタイムでチェックしてくれます。

また、厚生労働省のウェブサイトで公開されている「記入例」を参考にすることで、各項目への理解が深まります。

定期健康診断結果報告(様式第6号)の記入方法|厚生労働省

産業医からの指示・所見の取扱い

定期健康診断結果報告書における産業医の役割は、単なる署名者に留まりません。産業医による「所見」の記載と電子署名は、事業者が労働者の健康状態を専門家の目で適切に把握し、必要な指導や措置を講じていることを公的に証明する、極めて重要なプロセスです。

この取扱いの根拠は労働安全衛生法第66条の4にあり、事業者は異常の所見がある労働者について「医師の意見を聴かなければならない」と定められています。報告書の産業医所見欄は、この法的義務を履行したことを示す重要な証拠となります。

報告書の作成にあたり、事業者は産業医に「総合的な所見の記入」や「就業上の措置に関する意見聴取」、そして「電子署名」を依頼する必要があります。その際、電子申請を行う旨を事前に伝え、円滑な協力体制を築くことが大切です。

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定期健康診断結果報告書の電子申請についてよくある質問

定期健康診断報告書の電子申請について、よく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。

Q
定期健康診断結果報告書の提出期限は?
A

定期健康診断結果報告書の提出期限は、法律上「〇月〇日まで」といった具体的な日付では定められておらず、「遅滞なく」提出することとされています。実務上の目安としては、健康診断を実施した日から1~3ヶ月以内に提出することが一つの目安と考えられています。

法律で具体的な日付が設定されていないのは、企業によって健康診断の実施時期が様々であり、一律の提出期限を設けることが実態にそぐわないためです。「遅滞なく」とは「正当な理由がない限り、可及的速やかに」という意味であり、手続を不必要に社内で滞留させないことが重要です。

正当な理由なく提出が大幅に遅れた場合、労働基準監督署から督促を受けたり、指導対象となる可能性もあります。

Q
複数の事業場の分をまとめて本社で一括申請できる?
A

e-Govに備わっている「本社等一括届出」という機能を活用することで、複数の支店や工場(事業場)の定期健康診断結果報告書を、本社からまとめて電子申請することができます

本来、報告書は各事業場の所在地を管轄する「所轄」の労働基準監督署へ、事業場ごとに提出するのが原則です。「本社等一括届出」は、この手続を効率化するための公式な機能です。

この機能には、本社による管理の一元化、各事業場の業務負担の軽減、提出漏れなどのリスク低減といった大きなメリットがあります。手続は、e-Govで「本社等一括届出」を選択し、提出先を本社の所轄労働基準監督署とした上で、対象となる全事業場の報告内容を一つのファイルにまとめて申請します。

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まとめ

本記事では、多くの企業で原則義務化された「定期健康診断結果報告書」の電子申請について、その全体像から具体的な手順、実務上の注意点までを網羅的に解説してきました。

ここまで解説してきた定期健康診断結果報告書の電子申請は、労務管理におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要な一歩です。一つの手続きをデジタル化し、効率化できた経験は、必ずや他の業務改善へと繋がるはずです。

従業員の年に一度の健康を守るための「健康管理」と同様に、従業員の日々の働き方を支え、給与計算の基礎となる「勤怠管理」もまた、法改正への正確な対応と日々の効率性が求められる、極めて重要な業務です。

従業員の健康状態をデータで正確に報告できるようになった今、次のステップとして、従業員の日々の労働時間をデータで正確に把握・管理する、勤怠管理のDX化を検討してみてはいかがでしょうか。

自社に最適な勤怠管理システムを見つけるためには、機能や価格、サポート体制を多角的に比較検討することが成功の鍵です。勤怠管理システムの選定・比較サイト「勤怠管理システムの選定・比較ヨウケン」では、多様な勤怠管理システムの機能や価格を客観的に比較検討できますので、ぜひご活用ください。

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