- 「毎月の給与計算と社会保険の手続きに追われ、本来やるべき採用や育成に手が回らない…」
- 「Excelでの勤怠管理と従業員情報の更新に限界を感じているが、何から手をつければいいか分からない…」
- 「上層部からは『戦略的な人事を』と言われるが、日々の業務に忙殺され、人材データの活用どころではない…」
日本の多くの企業が、非効率な管理業務に貴重な時間と労力を奪われ、会社の成長を支えるはずの「人事」が、守りの業務に終始してしまっているのが現状です。
人手不足が深刻化し、従業員の価値観も多様化する現代において、この「人事機能の停滞」は、企業の競争力を静かに、しかし確実に蝕んでいくリスクそのものです。
その状況を打破し、貴社の人事部門を、日々の業務をこなすだけの「守りの拠点」から、人材データを活用して未来を創造する「攻めの戦略拠点」へと変革する鍵、それが「人事システム」の最適な導入です。
とはいえ、市場には多種多様な人事システムが溢れており、「どれが自社に合うのか、さっぱり分からない」と感じるのも無理はありません。
本記事では、人事システムの基礎知識から、自社にぴったりのシステムを見極めるための「5つの比較ポイント」、そして市場で評価の高い「おすすめ12製品」の徹底比較まで、わかりやすく解説していきます。
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人事システムとは
人事システムとは、現代の企業経営において「ヒト」という最も重要な経営資源を最大限に活かすための戦略的基盤です。もはや単なる業務効率化ツールにとどまらず、従業員一人ひとりのデータを活用し、組織全体の生産性向上と持続的な成長を支える重要な役割を担います。
多くの企業が直面する労働人口の減少、働き方の多様化、そしてDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進といった大きな変化の波に乗り遅れないためにも、人事領域の変革は待ったなしの状況です。
人事システムの定義と役割
人事システムとは、企業の根幹をなす「人材」に関するあらゆる情報(人事データ)を一元的に管理し、採用から退職までに発生する様々な人事関連業務の効率化と、データに基づいた戦略的な人材活用(タレントマネジメント)を実現するための統合的な仕組み(ITシステム)です。
その役割は多岐にわたりますが、主に以下の5つの機能に集約され、守りの労務管理と攻めの戦略人事の両面を支えます。
役割 | 具体的な内容 |
①人事・労務業務の効率化 | 従業員の入退社手続き、勤怠管理、給与計算、年末調整といった定型業務を自動化・効率化し、人事担当者の業務負担を大幅に軽減します。 |
②人材データの一元管理と可視化 | 散在しがちな従業員の個人情報、経歴、スキル、評価などのデータを一つのデータベースに集約。組織図の自動作成や人材検索を容易にし、組織の状態を正確に把握します。 |
③人事評価の適正化 | 評価シートの配布・回収・集計といったプロセスを電子化し、評価業務を効率化。評価基準を統一し、客観的で公平な人事評価制度の運用を支援します。 |
④戦略的な人材配置・育成 | 蓄積されたデータを分析し、従業員のスキルやキャリア志向に基づいた最適な人材配置や、将来のリーダー候補の育成計画(サクセッションプラン)の策定を支援します。 |
⑤法令遵守とセキュリティ強化 | 頻繁な法改正に迅速に対応したアップデートが行われ、コンプライアンスを維持します。また、重要な個人情報を扱うため、高度なセキュリティ機能でデータを保護します。 |
特に、従来のExcel管理と比較すると、その価値はより明確になります。例えば、「A部署で新しいプロジェクトが発足するため、過去に同様の経験を持ち、特定のスキルセットを持つ従業員を3名リストアップしたい」という場合、Excelでは複数のファイルを探し、手作業で集計する多大な手間がかかります。
一方、人事システムであれば、検索機能を使ってわずか数分で候補者をリストアップでき、より的確な意思決定が可能になります。
企業が抱える課題と人事システムの必要性
少子高齢化による人材不足、多様化する働き方への対応、そして激化する市場競争といった現代の企業が直面する複合的な課題を解決するため、人事システムの導入は「推奨」から「不可欠」な経営判断へと変化しています。この必要性は、社会的なデータや法的要請からも明らかです。
第一に、日本の生産年齢人口は減少を続けており、多くの中小企業が人手不足を経営上の最重要課題としています。限られた人材で高い生産性を維持するには、人事・労務業務の徹底的な効率化が欠かせません。
第二に、2019年4月から順次施行された「働き方改革関連法」への対応です。時間外労働の上限規制や年5日の有給休暇取得義務などを遵守するには、手作業での勤怠管理はもはや限界であり、法改正に自動で対応できるシステムの支援が必須となっています。
第三に、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進です。多くの日本企業でバックオフィス業務のデジタル化が遅れており、人事領域のDXは全社的な生産性向上の第一歩となります。以下のような課題に一つでも心当たりがあるのなら、それは人事システム導入を検討すべきサインです。
- 従業員の入退社や社会保険の手続きに、毎月多くの時間を費やしている。
- 勤怠の締め作業や給与計算でミスが発生し、対応に追われている。
- 従業員のスキルや経験といった貴重な人材データを、経営戦略に活用できていない。
- 人事評価のプロセスが不透明で、従業員のエンゲージメントが低下している。
- 経営層から人材に関するデータを求められても、即座に提出できない。
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人事システムのタイプ
人事システムは「ワンサイズ・フィット・オール(万能)」ではなく、その機能や目的によって大きく4つのタイプに分類されます。自社の課題や規模に合わないシステムを導入することは、コストの無駄遣いや業務の混乱を招く最大の要因となりかねません。
企業の成長フェーズや解決したい課題に応じて、市場には多種多様なシステムが存在します。まずはこれらのシステムのタイプを正しく理解し、自社が何を求めているのかを明確にすることが、最適なシステム選定に向けた最初の、そして最も重要な一歩となります。
ERP型総合タイプ
ERP(Enterprise Resource Planning)型総合タイプとは、人事、会計、販売、生産といった企業全体の基幹業務を一つのシステムに統合し、経営資源を全社的に一元管理・最適化することを目的とした大規模なシステムです。
その根幹には「経営情報の一元化」という思想があり、部門ごとにデータが分断される「サイロ化」を解消する有力な解決策となります。
主な特徴と対象企業
- 機能範囲: 人事給与、会計、販売、購買、在庫管理など、企業の基幹業務を幅広く網羅します。
- 対象企業: 主に、複数の事業部や国内外の拠点を持つ大企業に適しており、全社的な業務プロセスの標準化や内部統制の強化を目指す企業に選ばれています。
- メリット・デメリット: 全社のデータがリアルタイムで連携し、経営判断の迅速化に繋がる一方、導入・運用費用は非常に高額で、導入期間も年単位になることが多いです。
ERP型は最もパワフルなソリューションですが、導入は大規模な経営改革と捉えるべきであり、相応のコストと体制を確保できる大企業向けの選択肢と言えるでしょう。
タレントマネジメントタイプ
タレントマネジメントタイプは、従業員一人ひとりのスキル、経験、評価、キャリア志向といった「才能(タレント)」を可視化・一元管理し、戦略的な人材配置、育成、定着を実現することに特化した、いわば「攻めの人事」を実現するためのシステムです。
近年重要視されている「人的資本経営」の考え方が、このシステムの必要性を裏付けています。内閣官房の「人的資本可視化指針」でも推奨されているように、人材情報をデータとして蓄積・分析し、経営戦略に活かすための具体的な手段となります。
主な機能と活用例
- 機能: 人材データベース、目標管理(MBO/OKR)、人事評価、後継者計画、従業員サーベイなど。
- 活用例: 新規プロジェクトに最適な人材を検索・抜擢したり、ハイパフォーマーの特性を分析して育成プログラムに反映させたり、離職リスクの早期発見とフォローアップに活用したりできます。
単純な業務効率化の先を見据え、人材データを経営の意思決定に活かしたいと考える、成長意欲の高い企業にとって、従業員の価値を最大化し、企業の競争力を高めるための不可欠な選択肢です。
労務管理タイプ
労務管理タイプは、給与計算、勤怠管理、社会保険手続きといった、定型的かつ煩雑な管理業務の自動化・効率化に特化したシステムです。コンプライアンスを遵守し、「守りの人事」を固めるための実用的なツールと言えます。
最大の役割は、「働き方改革関連法」などによって厳格化された労働関連法規を遵守した、正確な業務遂行の支援です。残業時間の上限規制や有給休暇の管理義務など、手作業では対応しきれない法的要請に、効率的に対応できます。
主な機能と対象企業
- 機能: 勤怠管理、給与計算、Web給与明細、年末調整、社会保険・労働保険の手続き(電子申請含む)など。
- 対象企業: 専任の人事担当者が少ない中小企業や、初めてシステムを導入する企業に最適です。
- メリット: 比較的安価なクラウド型が多く、法改正にも自動で対応してくれるため安心です。
例えば、従業員の勤怠データが自動で給与計算に反映されるため、手作業による集計・計算ミスを根本から防げます。人事部門の業務負担を劇的に軽減する、費用対効果の高い選択肢であり、DXの第一歩として多くの企業に選ばれています。
人事特化タイプ
人事特化タイプとは、採用管理、人事評価、研修管理など、人事領域の中の特定の単一業務にフォーカスし、その機能を突き詰めた専門的なシステムです。
総合システムでは機能が不十分な領域において、より高度な機能を求めるニーズに応えるもので、例えば、年間に多数の応募者を管理する企業では、専門の採用管理システム(ATS)が効果を発揮します。
具体例と導入の考え方
- システム例: 採用管理システム、人事評価専門システム、eラーニングシステムなど。
- 導入の考え方: 労務管理は総合システムで行い、特に重要な「評価制度」だけ専門システムを導入する、といった課題解決型。あるいは、各領域で最高の専門システムをAPI連携させ、自社独自の基盤を構築する組み合わせ型があります。
このアプローチは、各業務に最適なツールを使える柔軟性が魅力ですが、複数システムを管理する手間や連携の課題も考慮する必要があります。特定の課題に最も強力な解決策を提供するため、個々の業務の質を最大限に高めたい企業にとって有力な選択肢となるでしょう。
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人事システムのメリット
人事システムを導入するメリットは、単なる「業務負担の軽減」にとどまりません。人事関連の業務を効率化して生まれた時間と、一元化された正確なデータを活用することで、より戦略的な人事施策を実行できるようになります。
人事評価の効率化
人事システムは、目標設定から評価の実施、フィードバック、結果の集計といった一連の人事評価プロセスを抜本的に効率化し、評価業務の客観性と公平性を高めます。
従来、紙やExcelで行う評価は、煩雑な事務作業に多くの時間を要し、評価者である管理職が本来注力すべき「部下の育成」に時間を割けない一因となっていました。システムはこれらの事務作業を自動化し、評価プロセスの生産性を劇的に向上させます。
例えば、目標設定シートの配布や提出の催促はシステムが自動で行い、評価者は定められた期間内に入力するだけで済みます。評価結果はボタン一つで集計・分析できるため、評価のばらつきを是正し、より公平な制度運用が可能です。
また、従業員一人ひとりの過去の評価データが蓄積されるため、客観的なデータに基づいた説得力のあるフィードバックが行えるようになります。
人事労務業務の負担軽減
人事システムの導入によって得られる最も直接的なメリットが、給与計算や社会保険手続きといった人事労務業務の劇的な負担軽減です。
これらの業務は労働基準法をはじめ多岐にわたる法律知識が求められ、毎年の法改正や保険料率の変更に手作業で正確に対応し続けることは非常に困難です。特に、働き方改革関連法によって厳格化された勤怠管理や残業代計算など、システムによる自動化の必要性はますます高まっています。
システムは、従業員の勤怠データを自動で集計して給与計算に連携させたり、入退社に伴う社会保険手続きや年末調整をWeb上で完結させたりと、絶大な効果を発揮します。これにより、手作業によるミスを撲滅し、担当者の負担が最も大きい業務の一つを大幅に効率化します。
この負担軽減は、コスト削減だけでなく、担当者を煩雑な作業から解放し、より付加価値の高い業務に注力させることを可能にする重要なメリットです。
人事関連データの一元化
人事システムは、これまで部署ごと、担当者ごとにExcelや紙でバラバラに管理されていた人事関連データを一つのデータベースに集約・統合します。これにより、いつでも正確な情報にアクセスできる「信頼できる唯一の情報源」を構築できます。
情報が分散している「データのサイロ化」は、迅速な意思決定を阻害します。人事システムによるデータの一元化は、まさに人事領域におけるDXの根幹です。
例えば、「現在の部署別人事構成は?」「直近1年間の離職率は?」といった経営層の要求に対し、リアルタイムに近い形で正確なレポートを提出できます。また、従業員のスキルや経歴を横断的に分析し、戦略的な人員配置の精度を格段に向上させることも可能です。
人事関連データの一元化は、単に情報を整理整頓すること以上の価値を持ちます。経験や勘に頼った人事から、客観的なデータに基づいた科学的な人事へと転換させ、組織全体のパフォーマンスを最大化するための基盤を築くことに繋がります。
従業員のモチベーション向上
適切に設計・運用された人事システムは、評価や処遇への納得感を醸成し、キャリア形成を支援することで、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上に大きく貢献します。
多くの研究で、モチベーションには「評価の公平性・透明性」が極めて重要だと示されています。システムは、誰が、いつ、どのような基準で評価を行ったのかというプロセスを可視化し、記録します。この透明性が、従業員の「正当に評価されている」という納得感に繋がります。
例えば、期初に設定した目標に対する達成度や上司からのフィードバックをいつでも確認できたり、社内の等級制度やキャリアパスが可視化されたりすることで、従業員は目標を持って自己研鑽に励むことができます。
また、各種申請がスマートフォンから手軽に行えるといった利便性の向上も、日々のストレスを軽減し、ポジティブな従業員体験を生み出します。
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人事システム比較のポイント
最適な人事システムを選定する成功の鍵は、製品の機能や価格をいきなり見始めるのではなく、まず自社独自の「明確な評価基準」を確立することです。この基準がないまま比較を始めると、多機能さやデザインに惑わされ、「導入したが使われない」という典型的な失敗に陥りかねません。
「なぜ導入するのか」「導入によって何を成し遂げたいのか」という原点を明確にし、評価の土台を固めることが不可欠です。ここでは、その評価基準の柱となる5つの重要な比較ポイントを解説します。このポイントに沿って検討を進めることで、合理的で後悔のないシステム選定が可能になります。
自社の企業規模(中小企業向け/大企業向け)
人事システム選定において、最初の、そして最も重要なフィルタリングの基準は「自社の企業規模」です。中小企業と大企業とでは、求められる機能の複雑さ、予算、解決すべき課題の性質が根本的に異なるため、自社の規模に合わないシステムは比較の対象から外すべきでしょう。
システムは明確にターゲットとなる企業規模を想定して設計されており、必要とされる承認ワークフローの多段階性や権限設定の細やかさなどが全く異なります。企業規模によって重視されるポイントには、以下のような傾向の違いがあります。
比較項目 | 中小企業の傾向 | 大企業の傾向 |
重視する点 | コストパフォーマンス、操作の分かりやすさ、導入の手軽さ、基本的な機能が網羅されていること | 機能の網羅性、カスタマイズの柔軟性、高度なセキュリティ、内部統制への対応、グローバル対応 |
必要な機能 | 勤怠管理、給与計算、労務手続きといった労務管理が中心 | 上記に加え、タレントマネジメント、人事評価、要員計画、データ分析といった戦略的な機能 |
価格帯 | ユーザー課金制の安価な月額料金(クラウド型が主流) | 機能やカスタマイズに応じた個別見積もり(高額になる傾向) |
自社の規模を客観的に把握し、どちらのセグメントに属するかを最初に明確にすることで、比較対象を現実的な範囲に絞り込めます。これは、無駄な情報収集を避けるための最も効率的な第一歩です。
解決したい課題・目的(機能)
企業規模で候補を絞り込んだら、次に「なぜシステムを導入するのか?」という目的を明確にし、解決したい経営課題や業務課題をリストアップします。この課題リストこそが、自社に必要な「機能」を具体的に定義するための羅針盤となります。
システムの導入そのものが目的化することを避け、「〇〇という課題を解決するために、△△という機能が必要だ」という明確なロジックを構築することが重要です。自社の課題と、それに対応する必要な機能を洗い出し、「必須(Must-have)」か「あったら嬉しい(Nice-to-have)」のかを切り分けましょう。
解決したい課題 | 必要な機能の例(キーワード) |
給与計算や年末調整の業務負担が大きい | 給与計算、勤怠管理連携、年末調整の自動化機能 |
人事評価制度が形骸化している | 目標管理(MBO/OKR)、360度評価、評価プロセスの可視化 |
適材適所の人材配置ができていない | スキル管理、経歴の可視化、異動シミュレーション機能 |
戦略的な人材育成ができていない | 研修管理、eラーニング、キャリアパスの提示機能 |
このように「課題」と「必要な機能」を紐付けた優先順位リストは、各社製品の豊富な機能に惑わされることなく、自社に本当に価値のあるシステムを見極めるための、最も確実な方法です。
予算と料金体系
システムの比較では、表示されている月額料金だけでなく、導入から運用までに発生する総コスト「TCO(Total Cost of Ownership)」を正確に把握することが極めて重要です。
クラウド型システムの料金体系は多様化しており、一見安価に見えても、必要な機能がオプションだったり、サポートが有料だったりと「隠れコスト」が存在する場合があります。見積もりを取得する際には、必ず以下の項目を確認し、トータルコストを算出しましょう。
- 初期費用(導入費用): アカウント発行や初期設定にかかる費用は存在するか?
- 月額・年額費用: 料金体系は?(従業員数に応じた従量課金か、機能ごとの固定料金か)
- オプション料金: 自社にとって「必須」の機能が、追加のオプション料金になっていないか?
- サポート費用: 電話やチャットでの問い合わせ、初期設定の支援などは無料で受けられるか?有料の場合の料金は?
- 最低契約期間と支払い方法: 最低利用期間の縛りはあるか?(例: 1年契約が必須など)。支払いは月払いか、年一括払いか?
料金の比較とは、単に月額料金の安さを比べることではありません。複数のベンダーから詳細な見積もりを取り、上記チェックリストを元に「総額」で比較検討することが、後々の想定外の出費を防ぎます。
他システム(ERP・勤怠・経理など)との連携
人事システムは単体で完結するものではなく、社内で既に稼働している他のシステム(勤怠管理、会計システムなど)とスムーズに連携できるかどうかは、全社的な業務効率を左右する重要な選定ポイントです。
システム間の連携が取れていないと、非効率でミスを誘発する「データの二重入力」が発生し、データの信頼性を損ないます。特に、以下のシステムとの連携は必ず確認が必要です。
- 勤怠管理システムとの連携: 打刻データをCSVファイルなどで人事システムに取り込み、給与計算に自動で反映できるか。
- 会計システムとの連携: 人事システムで計算した給与・社会保険料のデータを、仕訳データとして会計システムにインポートできるか。
システム選定の際には、まず自社で利用中のシステムを棚卸しし、候補となるシステムがそれらと「どのように連携できるか(API連携、CSV連携など)」を具体的に確認しましょう。円滑なデータ連携は、導入効果を最大化するための生命線です。
導入実績・サポート体制
製品の機能や価格と同等に重要なのが、ベンダーの信頼性です。豊富な導入実績と質の高いサポート体制は、安心してシステムを長期的に利用できるかを判断する上での重要な指標となります。
人事システムは企業の最重要データを預けるツールであるため、万が一のトラブルの際に迅速に対応してもらえなければ、業務に深刻な影響を及ぼしかねません。ベンダーの信頼性は、以下の2つの側面から確認します。
1. 導入実績
- 導入社数・シェア: 市場での受容度を示します。
- 自社と同業種・同規模の企業の導入事例: 自社と同様の課題を解決した実績は、信頼性の高い証拠です。
- 継続率: 公開されていれば、顧客満足度の高さを示します。
2. サポート体制
- サポート窓口: 電話、メール、チャットなどの手段。
- 対応時間: 自社の業務時間内に対応可能か。
- 導入時の支援(オンボーディング): 初期設定やデータ移行などを支援してくれるか。
- ヘルプページやマニュアルの充実度: 自己解決できる情報が整備されているか。
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おすすめの人事システム12選
ここからは、これまでの解説を踏まえ、市場で高い評価を得ている人事システムを「ERP型総合タイプ」「タレントマネジメントタイプ」「労務管理タイプ」「人事特化タイプ」の4つのカテゴリーに分類し、合計12製品を厳選してご紹介します。
自社がどのタイプに最も課題を感じているのかを念頭に置きながら、各製品の特徴を比較検討することが重要です。「自社にとって最もフィットする」システムを見つけ出すための、具体的な検討リストとしてご活用ください。
ERP型総合タイプのおすすめ製品
ERP型総合タイプは、人事だけでなく、会計、販売といった企業の基幹業務全体を統合管理することを目的とした、主に大企業向けのシステムです。経営情報の一元化と、全社的な業務プロセスの最適化を目指す企業に適しています。ここでは、国内で豊富な実績を持つ3つの代表的な製品を紹介します。
COMPANY(株式会社Works Human Intelligence)
「COMPANY」は、日本の大企業向け統合型人事システム(ERP)の分野で圧倒的なシェアを誇る製品です。大企業特有の複雑な人事・給与制度や組織構造に、個別カスタマイズではなく「標準機能」で対応できる点が最大の強みです。
法改正や自社の制度変更に対しては、追加費用なしの定額保守料で対応する「無償バージョンアップ」を保証。これにより、長期的なITコストの予測可能性と安定したシステム運用を実現できる点が、多くの大手法人に支持されています。
項目 | 内容 |
特徴 | ・大企業の複雑な業務を網羅する圧倒的な標準機能 ・法改正や機能追加に定額で対応する保守モデル ・金融機関や官公庁も利用する高水準のセキュリティ |
対象企業 | 従業員数1,000名以上の大企業、グループ経営を行う企業 |
料金体系 | 個別見積もり |
複雑かつ大規模な人事制度を運用し、グループ全体のガバナンス強化や人的資本経営の高度化を目指す大企業にとって、有力な選択肢の一つであり、長期的な視点での安定運用とトータルコストの最適化を実現します。
OBIC7(株式会社オービックビジネスコンサルタント)
「OBIC7」は、会計システムで名高いOBCが自社開発・直接販売・直接サポートを一貫して行う「ワンストップソリューション」を特徴とする統合業務ソフトウェア(ERP)です。
システムの導入から運用、サポートまでをすべて自社で完結させる体制により、顧客の声をダイレクトに製品開発に反映できる強みがあります。また、業種・業務に合わせた多彩なソリューションが用意されており、企業の個別事情にフィットしたシステムを構築できる柔軟性も、長年にわたり多くの企業に選ばれ続ける理由です。
項目 | 内容 |
特徴 | ・会計、人事、販売、生産などを統合管理 ・開発から導入、サポートまで一貫した「ワンストップ」体制 ・企業の個別要件に対応する柔軟なシステム構築力 |
対象企業 | 中堅企業から大企業まで幅広い |
料金体系 | 個別見積もり |
自社の業務プロセスに合わせた柔軟なシステムを、ベンダーによる手厚い直接サポートのもとで構築・運用したい企業に最適です。特に、会計と人事の強固な連携を重視する企業にとって、非常に魅力的な選択肢となります。
SuperStream-NX(株式会社日立システムズ)
「SuperStream-NX」は、25年以上の歴史を持つ国産ERPパッケージで、特に会計・人事給与領域に強みを持ちます。長年の導入実績を通じて、日本の商習慣や法制度に最適化された機能が蓄積されている点が特徴です。
クラウド版も提供されており、企業は自社のIT方針に合わせて導入形態を選択可能。グループ経営にも対応しており、複数社の情報を統合管理する機能も備えています。
項目 | 内容 |
特徴 | ・会計・人事給与領域に強みを持つ国産ERP ・日本の商習慣にフィットした機能と使いやすさ ・クラウドとオンプレミスの両方を選択可能 |
対象企業 | 中堅企業、大企業、グループ経営を行う企業 |
料金体系 | 個別見積もり |
実績と信頼性を重視し、日本のビジネス環境に最適な形でバックオフィス業務の基盤を構築したい企業におすすめです。特に、会計と人事給与の効率化・高度化を優先課題とする企業にとって、堅実な選択肢と言えるでしょう。
タレントマネジメントタイプのおすすめ製品
タレントマネジメントタイプは、従業員のスキルや経験、評価といった情報を可視化し、戦略的な人材配置や育成を実現する「攻めの人事」のためのシステムです。ここでは、市場をリードする代表的な3製品を紹介します。
HRMOSタレントマネジメント(株式会社ビズリーチ)
「HRMOSタレントマネジメント」は、「ビズリーチ」で知られるVisionalグループが提供する人財活用プラットフォームです。採用管理システム「HRMOS採用」との強力な連携により、採用から入社後の活躍まで、人材データを一気通貫で管理・活用できる点が最大の特徴です。
採用選考時の貴重なデータをそのまま入社後の人材データベースに引き継ぐことで、採用と育成の分断という課題を解決します。
項目 | 内容 |
特徴 | ・「HRMOS採用」との連携による、採用から育成までの一気通貫管理 ・従業員データベース、目標・評価管理、サーベイなど豊富な機能 ・直感的で分かりやすいUI |
対象企業 | 規模を問わず、特に採用と育成の連携を強化したい企業 |
料金体系 | 要問い合わせ |
採用から始まる人材のライフサイクル全体をデータで繋ぎ、より戦略的な人事施策を実現するプラットフォームであり、採用した人材の定着と早期活躍に課題を感じている企業にとって、大きな価値を提供します。
カオナビ(株式会社カオナビ)
「カオナビ」は、従業員の顔写真が並ぶ直感的なインターフェースを武器に、タレントマネジメントシステムの市場を切り開いてきたパイオニアです。
タレントマネジメント市場でトップクラスのシェアを誇ることがその実力を物語っており、従来の文字情報中心の人事DBとは一線を画し、「顔と名前を一致させる」ことから始めることで、経営者や管理職が従業員の個性を直感的に把握し、組織の活性化につなげることを可能にしました。
項目 | 内容 |
特徴 | ・顔写真が並ぶ、直感的で分かりやすいインターフェース ・スキル、評価、経歴などを一元管理できる柔軟な人材データベース ・人事評価やアンケート、従業員サーベイなど豊富な機能 |
対象企業 | 規模を問わず、人材の個性や能力を活かした戦略人事を実現したい全ての企業 |
料金体系 | 利用機能と従業員数に応じた月額課金制 |
散在しがちな人材情報を「見える化」し、経営やマネジメントに活用するための強力なツールであり、データに基づいた人材抜擢や適材適所の人員配置を実現したい企業にとって、まず検討すべきシステムと言えるでしょう。
HRBrain(株式会社HRBrain)
「HRBrain」は、人事評価プロセスの効率化と人材データの活用促進に特化したタレントマネジメントシステムです。特に、目標管理(MBO/OKR)や1on1ミーティング、従業員サーベイといった機能に強みを持ちます。
最大の特長は、顧客ごとに専任のカスタマーサクセス担当者がつき、初期設定から運用開始後のフォローまで手厚いサポートを提供している点です。これにより、初めてシステムを導入する企業でも安心して運用を軌道に乗せることができます。
項目 | 内容 |
特徴 | ・人事評価、目標管理、1on1、サーベイなど機能が豊富 ・シンプルで誰にでも使いやすいインターフェース ・手厚い専任サポート体制 |
対象企業 | 規模を問わず、人事評価制度の導入・見直しや、人材育成を強化したい企業 |
料金体系 | 利用機能と従業員数に応じた月額課金制(料金の詳細は要問い合わせ) |
優れた製品機能と手厚いサポート体制の両輪で、企業の評価制度改革と人材育成を成功に導きます。特に「システムを導入したが、使いこなせるか不安」と感じている企業にとって、非常に心強いパートナーとなるでしょう。
労務管理タイプのおすすめ製品
労務管理タイプは、給与計算、勤怠管理、社会保険手続きといった、定型的で煩雑な管理業務の自動化・効率化に特化したシステムです。「守りの人事」を固め、コンプライアンスを遵守するための実用的なツールで、特に中小企業に人気があります。
マネーフォワード クラウド社会保険(株式会社マネーフォワード)
「マネーフォワード クラウド社会保険」は、バックオフィス業務の効率化で定評のあるマネーフォワード社が提供する、社会保険・労働保険の手続きに特化したシステムです。従業員のライフイベントごとに発生する非常に煩雑な手続きをWeb上で完結させ、役所への訪問や郵送の手間と時間を大幅に削減します。
項目 | 内容 |
特徴 | ・社会保険・労働保険の手続きを電子化・ペーパーレス化 ・「マネーフォワード クラウド給与」などとのスムーズな連携 ・分かりやすい料金体系 |
対象企業 | スタートアップ、中小企業 |
料金体系 | 従業員規模に応じた月額課金制 |
特に労務手続きのペーパーレス化をピンポイントで実現したい企業に最適です。同社の給与計算ソフトなどと合わせて利用することで、労務管理全体の効率を飛躍的に高めることができます。
freee人事労務(フリー株式会社)
「freee人事労務」は、「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションとするfreee社が提供する、特に中小企業に特化したクラウド型の人事労務ソフトです。
最も負担の大きい業務の一つである毎月の給与計算を、勤怠データを取り込むだけで自動化し、Web給与明細の発行までを簡単に行える手軽さが評価されています。労働基準法で作成が義務付けられている法定三帳簿が自動作成される点も、重要な機能です。
項目 | 内容 |
特徴 | ・給与計算の自動化とWeb給与明細発行に強み ・「freee会計」との連携で、人件費の仕訳も自動化 ・初心者にも分かりやすいUIと手厚いチャットサポート |
対象企業 | 個人事業主、スタートアップ、中小企業 |
料金体系 | 従業員数に応じた月額課金制(低価格からスタート可能) |
経理や労務の専門家がいない企業でも、安心して正確な人事労務管理を実現できるよう設計されており、バックオフィス業務のDXを手軽かつ低コストで始めたいスモールビジネスにとって最適な選択肢です。
ジョブカン労務HR(株式会社DONUTS)
「ジョブカン労務HR」は、シリーズ累計20万社以上の導入実績を誇る「ジョブカン」シリーズの一つです。最大の強みは、勤怠管理、労務HR、給与計算、経費精算など10のサービスの中から、必要なものだけを選んで導入できる点にあります。
最初は「労務HR」と「勤怠管理」から始め、事業の成長に合わせて後から「給与計算」を追加するといった、柔軟な使い方が可能です。
項目 | 内容 |
特徴 | ・従業員情報の管理や入退社手続きをペーパーレス化 ・他のジョブカンシリーズとのスムーズな連携 ・必要な機能だけを選べる柔軟性と高いコストパフォーマンス |
対象企業 | スタートアップ、中小企業、中堅企業 |
料金体系 | 機能と従業員数に応じた月額課金制(1機能から利用可能) |
自社の成長フェーズに合わせて、必要な機能を必要な分だけ、無駄なく利用したいと考える企業に最適です。スモールスタートで始め、将来的な拡張性も確保したい場合に非常に有力な選択肢となります。
人事特化タイプ
人事特化タイプは、労務管理やタレントマネジメントといった枠にとらわれず、人事情報データベースの構築やワークフローの自動化といった、人事領域の「中核機能」に強みを持つシステム群です。これらを基盤として、他社の専門ツールと連携させる使い方も可能です。
sai*reco(サイレコ)(株式会社アクティブアンドカンパニー)
「sai*reco(サイレコ)」は、入退社手続きから退職まで、定型的な人事労務業務のペーパーレス化・自動化に強みを持つクラウド型の人事管理システムです。
人事担当者の時間は、本来、制度設計や従業員とのコミュニケーションといった創造的な業務に使うべき、という思想に基づき、定型業務の時間を大幅に削減するための自動化・効率化機能が豊富に搭載されています。
項目 | 内容 |
特徴 | ・充実したワークフロー機能で、各種申請・承認業務を電子化 ・組織図の自動作成や、人事異動シミュレーション機能 ・蓄積された人事データを活用するための分析機能(人事KPI) |
対象企業 | 従業員情報の管理や申請業務の効率化を目指す、中小企業から中堅企業 |
料金体系 | 従業員数に応じた月額課金制 |
まずは人事労務の定型業務を徹底的に効率化し、ペーパーレス化を実現したい企業にとって非常に有効な選択肢です。効率化によって生まれた時間を、より戦略的な「攻めの人事」に振り向けたいと考える企業におすすめします。
CYDAS(株式会社サイダス)
「CYDAS」は、「働きがい」をデータで可視化し、従業員一人ひとりの才能を引き出すことを目指す統合人事システムです。単に人材を管理・評価するだけでなく、上司と部下のコミュニケーションや従業員の「働きがい」にフォーカスしている点が特徴です。
多くの企業で、形骸化しがちな目標管理制度の運用効率化や、評価プロセスの改善、職員のエンゲージメント向上といった課題解決のために導入された実績があります。
項目 | 内容 |
特徴 | ・目標管理、人事評価、1on1支援などエンゲージメント向上に繋がる機能 ・直感的で使いやすいインターフェース ・異動シミュレーションや組織診断など、戦略的な機能も搭載 |
対象企業 | 規模を問わず、評価制度の改善や従業員のエンゲージメント向上に課題を持つ企業 |
料金体系 | 個別見積もり(利用機能や人数に応じて変動) |
評価や管理といった側面だけでなく、従業員の「働きがい」という観点から組織を改善していきたいと考える企業に最適なシステムであり、データに基づいて従業員のコンディションを把握し、生産性の高い組織作りをサポートします。
One人事(One人事株式会社)
「One人事」は、人事労務、勤怠管理、タレントマネジメント(評価・採用)といった人事領域のあらゆる業務を、一つのプラットフォームで提供することを目指す、オールインワン型のクラウド人事システムです。
複数のシステム導入によって生じがちなデータの二重管理や連携の手間といった課題を解決するため、人事に関するあらゆる機能を一つのデータベース、一つのインターフェースで利用できる「ワンプラットフォーム」思想で設計されています。
項目 | 内容 |
特徴 | ・労務から採用、評価、勤怠までを一つのシステムで完結 ・モダンで使いやすいインターフェース ・必要な機能からスモールスタートできる柔軟な料金プラン |
対象企業 | スタートアップから中堅・大企業まで、人事DXをシンプルに進めたい全ての企業 |
料金体系 | 利用機能と従業員数に応じた月額課金制(要問い合わせ) |
将来的な機能拡張を見据えつつ、まずは特定領域からDXを始めたい、しかしシステムの乱立は避けたい、という企業にとって最適な選択肢です。人事領域のデータを真に一元化し、活用したいと考える企業におすすめします。
人事システムについてよくある質問
人事システムについて、よく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。
- Qクラウド型とオンプレミス型、どちらを選ぶべき?
- A
現代のビジネス環境において、特に中小企業にとっては「クラウド型」が最適な選択肢です。初期費用を抑えられ、維持管理の手間もかからず、常に最新の状態で利用できるメリットが非常に大きいためです。
市場のトレンドも圧倒的にクラウド型へとシフトしており、企業のIT活用における主流となっています。この背景には、ベンダーがサーバー運用、セキュリティ対策、法改正への対応までを担ってくれるため、企業側のIT部門の負担が劇的に軽減されるという明確な理由があります。
一方、「オンプレミス型」は、特定の要件を持つ大企業向けの専門的な選択肢となっています。両者の具体的な違いは、以下の通りです。
比較項目 クラウド型 (SaaS) オンプレミス型 サーバー ベンダーが管理・運用 自社でサーバーを用意・管理 初期費用 低い または 無料 高い(サーバー購入費、ライセンス費など) 月額費用 発生する(ユーザー数に応じた課金) 原則として保守費用のみ 導入期間 短い(最短即日から数週間) 長い(数ヶ月から年単位) 保守・運用 ベンダーが対応(法改正も自動更新) 自社で対応(情報システム部門の負担大) カスタマイズ 制限あり(設定範囲内での変更) 自由度が高い 自社でサーバーを管理する専門のIT部門があり、かつ高度なカスタマイズが必須、といった特別な事情がない限り、クラウド型を選ぶことが最も合理的かつ費用対効果の高い選択と言えるでしょう。
- Q無料で使える人事システムはある?
- A
一部のベンダーは無料で利用できるフリープランを提供していますが、これらのプランは多くの場合、利用できる従業員数や機能に大きな制限があります。そのため、本格的な運用というよりは、「お試し利用」や「従業員数名の小規模事業者向け」と考えるのが現実的です。
無料プランは、ベンダーが将来の有料顧客を獲得するためのマーケティング戦略(フリーミアムモデル)の一環であり、意図的に機能などが制限されています。検討する際には、以下のような点を確認しましょう。
- 従業員数の上限: 「〇名まで無料」など、登録できる人数に上限が設けられていることがほとんどです。
- 機能の制限: 利用できる機能が基本的なものに限定され、ワークフローやデータ分析といった高度な機能は使えない場合が多いです。
- データ保存容量の制限: 保存できるデータ量に上限があります。
- サポートの制限: サポートがメールやチャットのみに限定され、迅速な対応が期待できないことがあります。
無料プランはシステムの操作感を試す上で非常に有用ですが、事業の基幹情報を長期的に運用する基盤としてはリスクも伴います。
企業の継続的な成長を見据えるならば、初めから適切な有料プランを予算に組み込み、拡張性とサポートが保証された環境で運用を開始することが、長期的な安心に繋がります。
- Q既存のExcelや給与ソフトからのデータ移行は可能?
- A
現代のクラウド型人事システムの多くは、他社製品やExcelからのデータ移行を前提とした機能を標準で備えており、導入プロセスの一環としてサポートしています。
データ移行は、主にシステム側が用意したCSV形式のテンプレートファイルに既存のデータを移し、新システムにアップロード(インポート)する方法で行われます。ベンダーによる移行支援サービス(有償の場合あり)が利用できることもあります。
ただし、移行プロジェクトの成否は、移行作業そのものよりも、事前の「データクレンジング(掃除)」の質に懸かっています。 これは必ず導入企業側で行うべき、最も重要な準備作業です。
- 表記の統一: 「(株)〇〇」と「株式会社〇〇」など、部署名や役職名の表記ゆれを統一する。
- 重複・不要データの削除: 退職者や重複している従業員データを整理する。
- 入力ミスの修正: 住所や氏名の誤字脱字を修正する。
この「掃除」を怠ったまま移行すると、まさに「ゴミを新しいゴミ箱に移す」ことになり、新システム導入の効果が半減してしまいます。新しい器に綺麗な水を入れるように、整理整頓された正確なデータを準備することが、新システムを最大限に活用するための鍵となります。
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まとめ
本記事では、現代の企業経営に不可欠な「人事システム」について、その定義から具体的な製品比較まで、包括的に解説してきました。
人事システムを導入することで、企業は「人事労務業務の劇的な負担軽減」「人事関連データの一元化による迅速な意思決定」「公正な評価による従業員のモチベーション向上」といった、多岐にわたるメリットを享受できます。
しかし、多種多様なシステムの中から自社に最適な一社を見つけ出すのは容易ではありません。そこで重要になるのが、明確な比較のポイントです。
- 自社の企業規模(中小企業か、大企業か)
- 解決したい課題・目的(どの機能を最優先するか)
- 予算と料金体系(隠れコストを含めた総額はいくらか)
- 他システムとの連携(既存の会計・勤怠ソフトと連携できるか)
- 導入実績・サポート体制(ベンダーは信頼できるか)
人事システムが担う幅広い業務の中でも、すべての従業員に関わり、日々の労務管理の根幹をなすのが「勤怠管理」です。正確な勤怠データは、適正な給与計算の源泉であり、働き方改革関連法をはじめとするコンプライアンス遵守の第一歩でもあります。
人事システム全体の導入は大きなプロジェクトになりますが、まずはその中核機能である「勤怠管理システム」から具体的に比較検討を始めてみるのも、失敗しないシステム選びの賢い進め方です。
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