月末が近づくと山積みになるタイムカード、Excelの複雑な計算式とのにらめっこ、そして、たった一つのミスも許されないというプレッシャー。社会保険料率や税率の変更に気を配り、年末調整の時期には深夜まで作業に追われる…。

その時間は、本来、売上を伸ばすための営業活動や、より良いサービスを生み出すための企画、従業員の満足度を高めるためのコミュニケーションに使えるはずだったのではないでしょうか。

給与計算ソフトは、一部の大企業だけのものではなく、限られたリソースで事業を成長させなければならない中小企業にとっても、導入のメリットは計り知れないものがあります。

この記事では、給与計算ソフトの基本的な定義や役割から、導入することで得られる具体的なメリット、そして最も重要な「自社に最適なソフトを失敗せずに選ぶための比較ポイント」まで、わかりやすく解説します。

さらに、企業の規模別に、検討すべきおすすめの製品を具体的に紹介していますので、ぜひ最後までお読み頂き、参考にしてみてください。

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給与計算ソフトとは

給与計算ソフトは、賃金台帳の作成から所得税・社会保険料の計算など、従業員への給与支払いに必要な一連の計算業務を自動化し、給与明細や源泉徴収票の発行までを正確かつ効率的に行うためのシステムです。

労働基準法第24条が定める「賃金支払の五原則」や所得税法183条・226条による帳票提出義務を、ミスなく効率的にクリアできる、企業のコンプライアンス遵守と生産性向上を両立させる、現代の労務管理に不可欠な業務ツールといえます。

年末調整や定額減税、雇用保険料率の改定など、毎年変わる法改正にもアップデート機能で即応し、担当者の負担とリスクを同時に減らします。従業員数が数名の個人事業主でも、クラウドの無料プランを活用すれば導入コストを抑えながら自動計算やペーパーレス明細といったメリットを享受できます。

給与計算ソフトの役割と普及の背景

給与計算ソフトの主な役割は、①月々の給与・賞与の自動計算、②給与明細や源泉徴収票などの法定帳票の作成、③年末調整の計算補助です。その普及の背景には、「頻繁な法改正への対応」と「働き方の多様化による管理の複雑化」という2つの大きな要因があります。

第一に、働き方改革関連法による有給休暇管理の義務化、毎年の社会保険料率の変更、そして直近のインボイス制度や定額減税の導入など、給与計算業務に影響を与える法改正が続いています。これらの最新情報に対応し続けることは、担当者にとって大きな負担です。

第二に、正社員、契約社員、パート、アルバイトといった多様な雇用形態が一般化し、それぞれで社会保険の加入条件や所得税の計算方法が異なります。従業員一人ひとりの状況に合わせた正確な管理は、手作業では極めて困難です。

また、業務が特定の担当者に「属人化」し、その担当者が急に退職したことで業務が滞ってしまうリスクも深刻な課題であり、給与計算ソフトはこうした人為的ミスや事業継続リスクを未然に防ぐ役割も担っています。

クラウド型とインストール型の違い

給与計算ソフトは、提供形態によって大きく「クラウド型(SaaS)」と「インストール型(オンプレミス)」の2種類に分類されます。

クラウド型はインターネット経由で利用するサービス、インストール型はPCに直接ソフトウェアを導入するタイプで、コスト構造、セキュリティ、運用方法において大きな違いがあります。

比較項目クラウド型インストール型
導入コスト初期費用ゼロ~低額、月額課金ライセンス買切+年間保守費
アップデート法改正を自動反映自社でパッチ適用が必要
セキュリティベンダーの認証取得・二重暗号化社内LANで完結、物理管理
連携性APIで勤怠・会計とシームレス連携カスタム開発で柔軟だが高コスト
モバイル対応Web明細・スマホ承認が容易VPNやVDI環境が前提
データ共有複数人での同時アクセス・共有が容易限定的(サーバー構築が必要な場合も)

クラウド型は、現在の主流となっているタイプです。テレワーク中の担当者が自宅から給与計算を行ったり、顧問の社会保険労務士とデータをリアルタイムで共有したりといった柔軟な働き方に対応できます。

また、サーバーのメンテナンスやバックアップを自社で行う必要がなく、情報システム部門がない中小企業でも安心して利用できる点が大きなメリットです。

一方、インストール型は、古くから提供されている買い切り型のソフトです。一度購入すれば月々のランニングコストを抑えられる可能性があるほか、インターネットに接続しないオフライン環境でも作業ができます。

ただし、PCの故障や買い替え時には、ライセンスやデータの移行作業を自社で行う手間が発生する点には注意が必要です。

従業員100名規模を境にコスト構造が逆転するケースが多く、クラウド型は人員変動に追随するサブスクリプションモデルでスモールスタートに最適。インストール型は自社カスタマイズが利き、PEマーク付与企業やグループ会社を多く抱える大企業のセキュリティ要件に応えやすい点が評価されています。

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3タイプの給与計算ソフト

給与計算ソフトは「人事給与タイプ」「ERPタイプ」「給与計算特化タイプ」に大別されます。会社規模・業務範囲・システム連携のニーズが異なるため、各タイプの特徴を押さえることが導入成功の鍵となります。

タイプ主な対象企業代表的機能
人事給与タイプ従業員10〜300名の中小企業給与計算・勤怠・年末調整を一元管理
ERPタイプ従業員300名以上の大企業会計・購買・在庫と統合
給与計算特化タイプ個人〜100名規模給与計算と帳票作成に特化

導入検討の際は、いきなり製品の比較から入るのではなく、まず自社のバックオフィス業務全体の流れを可視化し、「給与計算だけでなく、人事評価や勤怠管理まで連携させたいのか」「会計システムとの連携は必須か」といった課題を明確にすることが重要です。

人事給与タイプ

「人事給与タイプ」は、給与計算機能に加え、勤怠・年末調整・従業員情報の管理をワンストップで行えるバランス型システムです。給与計算と人事情報を一元管理し、バックオフィス業務全体の効率化を目指す、数十名から数百名規模の中堅企業に特に適しています。

具体的な機能としては、従業員の基本情報や評価などを管理する「従業員データベース」、社会保険の手続きを支援する「労務管理機能」、そして「Web給与明細の発行機能」などが標準搭載されていることが一般的です。

ERPタイプ

「ERP(Enterprise Resource Planning)タイプ」は、人事・給与・会計といったバックオフィス業務だけでなく、販売・購買・生産・在庫管理など、企業のあらゆる基幹業務を統合的に管理するシステムです。

会計・販売・購買など基幹業務と同じデータベース上で給与計算を行うことで、グループ全体の原価管理や内部統制を強化でき、経営資源の全体最適化を目指す大企業向けのソリューションです。

ただし、導入には数ヶ月から1年以上を要する大規模なプロジェクトとなり、多額の導入費用と運用体制の構築が必要となります。

給与計算特化タイプ

「給与計算特化タイプ」は、その名の通り、毎月の給与・賞与計算、年末調整、給与明細の発行といった給与計算業務に機能を絞り込んだ、シンプルで導入しやすいシステムです。特に、まずは煩雑な給与計算業務だけをピンポイントで効率化したいと考える小規模事業者や中小企業に最適なタイプです。

多くの特化型ソフトは、外部の勤怠管理システムや会計ソフトとAPI連携(データ連携の仕組み)が可能です。このため、最初は給与計算機能だけでスモールスタートし、事業の成長や業務内容の変化に応じて、後から必要なシステムを連携させていくといった柔軟な拡張ができます。

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給与計算ソフト導入のメリット

給与計算ソフトを導入することで、以下のようなメリットを得られます。

  1. 業務効率化
  2. 法改正への即応
  3. 属人化防止と人件費削減

これらのメリットは、結果として「コスト削減」という経営上の具体的な効果にもつながります。単純な作業人件費の削減だけでなく、法令違反による追徴課税といった予期せぬ支出を防ぎ、従業員の会社に対する信頼感を構築します。

業務効率化

給与計算ソフトは、勤怠データの取り込みから給与の自動計算、給与明細の発行、そして銀行振込用データの作成に至るまで、給与計算に関わる一連の業務プロセスを抜本的に効率化し、担当者を煩雑な手作業から解放します。この効率化は、主に以下の機能の「自動化」によって実現されます。

  • 振込作業の効率化: 全従業員への振込データを一行にまとめたFB(ファームバンキング)データを自動で作成し、振込手続きを簡略化します。
  • 各種計算の自動化: 勤怠情報に基づく残業代や各種手当、複雑な社会保険料や所得税などを自動で算出します。
  • 帳票作成の自動化: 給与明細、賞与明細、賃金台帳といった法定帳票をボタン一つで作成します。
  • データ連携の自動化: 勤怠管理システムや会計ソフトと連携させることで、データの二重入力の手間を完全に排除します。

勤怠システムと連携することで残業・深夜割増が自動計算され、チェック工数を大幅削減できます。創出された時間を、人事評価制度の改善といった、より付加価値の高い業務に充てることが可能になります。

法改正への対応

給与計算ソフト、特にクラウド型のソフトを導入するメリットの一つは、毎年のように行われる複雑な法改正や保険料率の変更に対して、迅速かつ正確に対応できる点にあります。

給与計算は、常に最新の法令に基づいて行われなければならず、社会保険料率や雇用保険料率は定期的に改定されます。近年では2024年6月から始まった「定額減税」のように、極めて複雑な計算と管理を要するケースも発生します。

これらの情報を担当者が自ら収集し、Excelの計算式などに間違いなく反映させる作業は、専門知識を要する上に大きな負担とリスクを伴います。

クラウド型の給与計算ソフトであれば、これらの料率や計算ロジックの変更は、ベンダー側が責任をもってシステムに自動でアップデートするため、ユーザーは常に最新の状態で給与計算を行うことができます。

業務の属人化防止と人件費の削減

給与計算ソフトは、業務フローを標準化することで、特定の担当者の経験や知識に依存する「業務の属人化」を防ぎます。これは、事業の継続性を高めるリスク管理であると同時に、長期的な視点での人件費削減にも貢献します。

特に中小企業において、給与計算を一人の担当者が担い、その担当者が急に休職や退職をした場合、業務が滞る「属人化リスク」は深刻です。給与計算ソフトは、計算プロセスや設定がシステム内に記録・標準化されるため、いわば「動く業務マニュアル」の役割を果たし、スムーズな業務の引き継ぎを可能にします。

人件費の削減という観点では、作業時間そのものが大幅に短縮される「直接的な削減」と、担当者の交代に伴う採用・教育コストを抑制できる「間接的な削減」の2つの側面があります。

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給与計算ソフト比較のポイント

給与計算ソフトを導入する際に最も重要なのは、多機能さや価格の安さといった一面的な情報に惑わされず、自社の状況に合わせた明確な基準で比較・検討することです。

具体的には「①従業員規模と機能」「②対応業務と自動計算の範囲」「③外部システムとの連携」「④料金体系」「⑤導入実績・サポート体制」という5つの要素を総合的に評価することが、最適なソフト選びのポイントです。

自社に合わないソフトを選んでしまうと、活用されない機能のために無駄なコストを払い続けたり、逆に機能が不足して業務効率が上がらなかったりと、導入そのものが失敗に終わるからです。このようなミスマッチを防ぐためには、客観的な比較軸を持つことが不可欠です。

従業員規模と機能

自社の現在、そして近い将来の従業員規模に適した機能が搭載されているか、またシステムの処理能力が十分であるかを確認することは、比較検討における最も基本的かつ重要なポイントです。

企業の規模によって、給与計算ソフトに求められる機能は大きく異なります。小規模企業では操作のシンプルさが、中規模企業では複数人による承認ワークフローといった管理機能が、そして大企業では経営戦略に資する包括的な機能が求められる傾向にあります。

企業の成長に合わせて上位プランに移行できるか、その際の機能の拡張性は十分か、といった「スケーラビリティ(拡張性)」を必ず確認しましょう。

企業の成長フェーズとソフトの機能・処理能力を一致させることは、比較検討の出発点です。不要な機能への過剰投資や、将来の成長を妨げる過小投資を避けるための第一歩となります。

対応業務と自動計算の範囲

年末調整や社会保険手続きといった重要業務に「対応」しているかを確認するだけでなく、その業務が「どこまで自動化されるのか」という自動計算の範囲と深度を見極めることが極めて重要です。

多くのソフトの機能一覧には「年末調整に対応」と記載されていますが、単に入力欄があるだけで計算は手動で行うソフトもあれば、情報収集から書類作成までを完結できるソフトもあります。両者の業務効率には雲泥の差が生まれるため、「対応」という言葉だけで判断するのは危険です。

比較検討の際には、自社が自動化したい業務を具体的にリストアップし、各ソフトがどのレベルで対応しているかを確認しましょう。無料トライアルや製品デモの機会を活用し、これらの業務が実際にどのように処理されるのかを確かめることが、最も確実な比較方法です。

機能の有無だけでなく、自社にとって最も手間がかかっている業務が「いかに効率化されるのか」という、自動化の質と範囲にまで踏み込んで比較することで、導入後の真の効果を見極めることができます。

外部システムとの連携

バックオフィス業務全体の生産性を最大化するためには、給与計算ソフトが、現在利用している勤怠管理システムや会計ソフトと、いかにスムーズにデータ連携できるかが重要な比較ポイントとなります。

システム間の連携が取れていないと、勤怠データを給与ソフトに、給与データを会計ソフトに、それぞれ手作業で再入力する必要が生じます。この手作業は、業務時間を圧迫するだけでなく、転記ミスの温床となり、給与計算の正確性を著しく損ないます。

連携方法には、システム同士が自動でデータをやり取りする「API連携」と、手動でファイルを取り込む「CSV連携」があります。手作業が一切介在しない「API連携」が最も推奨される方法です。

料金体系

提示されている月額料金だけでなく、初期費用やオプション料金まで含めた「総所有コスト(TCO)」を算出し、費用対効果を正確に比較・判断することが不可欠です。

クラウド型ソフトのコストは主に「初期費用」「月額(または年額)費用」「オプション料金」の3つで構成されます。特に、年末調整機能や電話サポートなどが、基本料金とは別の追加料金として設定されている場合があるため注意が必要です。

候補となるソフトを絞り込んだら、自社の要求仕様に基づいた年間の総所有コスト(TCO)を試算し、以下のような比較表を作成することをお勧めします。

費用項目A社B社
初期費用0円50,000円
月額費用(50名)20,000円15,000円
年末調整オプション込み30,000円(年額)
電話サポート込み5,000円(月額)
年間TCO240,000円320,000円

上記の例では、月額費用が安いB社が、オプションを含めると年間コストでは高くなることが一目瞭然です。目先の価格だけで判断せず、年間の総コストがいくらになるのかを必ず試算しましょう。

導入実績・サポート体制

システムの安定性や信頼性を測る指標となる「導入実績」と、万が一のトラブル発生時に頼りとなる「サポート体制」の品質は、安心してソフトを使い続けるための重要な比較ポイントです。

給与計算は、支払いの遅延が絶対に許されない、企業の根幹を支える業務です。そのため、自社と同業種・同規模の企業への導入実績が豊富なベンダーは、製品の信頼性が高いと判断できます。

また、操作に迷った時や予期せぬエラーが発生した際に、迅速かつ的確なサポートを受けられるかどうかは、業務の継続性に直結します。

サポート体制を比較する際は、問い合わせ方法(電話、メール等)、対応時間、応答速度、費用(有料か無料か)などを確認しましょう。公式サイトの情報だけでなく、IT製品のレビューサイトなどで、実際のユーザーからの生の声を参考にすることも非常に有効です。

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大企業におすすめの給与計算ソフト5選

大企業向けの給与計算ソフトは、数千から数万名規模の従業員管理、複雑な人事制度、グループ会社間の連携、厳格な内部統制といった高度な要求に応えるための「統合人事システム(HRMS)」や「ERP(統合基幹業務システム)」であることが一般的です。

ここでは、大企業におすすめの給与計算ソフトを5つご紹介します。

製品国内導入実績特長主な法令・基準対応
COMPANY約1,200法人グループ(従業員3,000人超の3社に1社)ERP市場シェア No.1/人事・給与モジュールが強力労基法・所得税法・社会保険・マイナンバー
POSITIVE電力・自動車・保険など大手多数。明治安田生命で3,000時間削減高度タレント管理+BPO連携労基法・J-SOX内部統制
Generalist9,600社導入。HUB構想で多システム連携SmartHR 等と API 連携/オンプレ・クラウド両対応電子申請・社会保険 API
SAP SuccessFactors製薬・金融で採用。第一三共が国内 Payroll 本稼働(2025)グローバル多通貨/四半期アップデートIFRS・GDPR・US SOX
WorkdayFortune 500 の 50%超が採用AI/機械学習による異常検知とリアルタイム締処理J-SOX ログ追跡・IFRS

COMPANY給与計算(株式会社 Works Human Intelligence)

Works Human Intelligenceが提供する「COMPANY」は、日本の大手企業向けERPパッケージ市場において、長年にわたりトップクラスのシェアを誇る統合人事システムです。日本の複雑な人事制度や商習慣への深い知見に基づき、網羅性の高い標準機能を備えている点が最大の特徴です。

「COMPANY」は、企業の独自要件に対応するための追加開発を不要とする「ノーカスタマイズ」の思想を掲げ、頻繁な法改正や企業の制度変更に対しても、製品の標準機能のバージョンアップ(無償)で追随します。これにより、長期的に安定したシステム運用とITコストの抑制が可能です。

国内大手企業の約3社に1社にあたる1,200法人グループ以上への導入実績はその信頼性を物語っており、従業員の人事情報から勤怠管理、給与計算、タレントマネジメントまでを単一の統合データベースで管理できます。

POSITIVE(株式会社 電通総研)

電通総研(旧:電通国際情報サービス)が提供する「POSITIVE」は、グループ経営の高度化やグローバル展開を推進する大企業向けの統合HCM(Human Capital Management)ソリューションです。個別要件への柔軟な対応力と、システムとしての高い拡張性を両立している点が特徴です。

人事・給与・勤怠管理からタレントマネジメントまでを単一の統合データベース上で実現し、特に、グループ会社ごとに異なる人事制度や給与体系を、それぞれの独自性を保ちながら一つのシステムで統合管理できる点は、大きな強みとなります。

クラウド(AWS)とオンプレミスの両方の導入形態に対応し、多言語・多通貨機能も標準で備えているため、海外拠点を含めた人事情報の一元管理や、国境を越えた人材の最適配置を目指すグローバル企業に適しています。

Generalist(株式会社 WorkVision)

WorkVisionが提供する「Generalist」は、30年以上の歴史を持つ人事・給与・勤怠管理パッケージです。長年の運用で培われた機能の成熟度と、ユーザー自身が要件に合わせて柔軟に設定変更できるユーザーカスタマイズに強みを持ちます。

「Generalist」は、大企業に求められる網羅的な機能を標準で備えつつ、プログラム開発を伴わずに、入力画面や計算式、帳票のレイアウトなどをユーザー自身が設定・変更できる点が最大の特徴です。これにより、企業の独自ルールや頻繁な制度変更にも、柔軟かつ迅速に対応することが可能になります。

導入実績は累計で2,800社を超え、中堅企業から大企業まで幅広い層に支持されており、IT製品レビューサイトなどでは、その柔軟性やコストパフォーマンス、サポートの質で継続的に高い評価を獲得しています。

SAP サクセスファクターズ(SAP ジャパン株式会社)

ERPベンダーであるSAP社が提供する「SAP SuccessFactors」は、クラウドベースで人事・人材管理業務の全てをカバーする統合HCMスイートです。特に、人材の採用・育成・評価・後継者計画といった「タレントマネジメント」領域に強みを持ち、グローバル標準の戦略的人事を実現します。

「SAP SuccessFactors」は、採用から退職までの一連のプロセスを通じて「従業員エクスペリエンス」を向上させることを重視して設計されており、世界中の優良企業で実践されている人事管理のベストプラクティスが製品に組み込まれています。

SAPの基幹システムである「SAP S/4HANA」とのネイティブな連携が可能なため、人事・給与データを会計データとシームレスに統合し、経営レベルでの精緻なデータ分析を実現します。この特性から、既にSAPを導入している企業や、グローバルで人事基盤を統一したい企業で広く採用されています。

Workday(ワークデイ株式会社)

ワークデイ社が提供する「Workday」は、人事(HCM)と財務(会計)を最初から一つのシステムとして設計・開発された、クラウドネイティブな統合アプリケーションです。他の追随を許さない優れたユーザー体験(UI/UX)と、ビジネス環境の変化に即応できる圧倒的な柔軟性が最大の特徴です。

「パワー・オブ・ワン」という理念の下、全ての顧客が常に単一の最新バージョンを利用するアーキテクチャを採用しているため、企業側のバージョンアップ作業や追加コストが一切不要です。また、頻繁な組織改編や人事制度の変更にも、IT部門を介さずに人事担当者自身が迅速に対応できます。

モバイルデバイスでの利用が前提とされた設計で、従業員や管理職はいつでもどこでも各種申請や承認、データ分析を行うことが可能です。その俊敏性と先進性から、変化の速いテクノロジー業界や、M&Aを積極的に行うグローバル企業などで特に高い支持を得ています。

中小企業におすすめの給与計算ソフト5選

中小企業向けの給与計算ソフト選定では、大企業向けとは異なり、「①導入・運用の手軽さ(低コスト・分かりやすさ)」「②必要十分な機能」「③他システムとの連携性」という3つのバランスが最も重要です。ここでは、中小企業におすすめの給与計算ソフトを5製品紹介します。

ジョブカン給与計算(株式会社DONUTS)

ジョブカン給与計算」は、シリーズ累計導入実績20万社以上を誇る「ジョブカン」シリーズのサービスです。最大の強みは、同シリーズの勤怠管理や労務HR、経費精算といった豊富なサービスとシームレスに連携し、「バックオフィス業務全体を一つのプラットフォームで効率化」できる点にあります。

「必要な機能だけを選んで、無駄なく組み合わせられる」というコンセプトで設計されており、給与計算は1ユーザーあたり月額400円からという低コストでスモールスタートが可能です。特に業界No.1の導入実績を持つ「ジョブカン勤怠管理」との連携は非常に強力で、集計から計算までのプロセスをほぼ完全に自動化できます。

低コストで導入でき、企業の成長に合わせて必要な機能を柔軟に追加していける拡張性の高さが最大の魅力です。「給与計算だけ」で終わらず、「バックオフィスをまるごと楽にしたい」と考える中小企業にとって、極めてコストパフォーマンスの高い選択肢となります。

マネーフォワード クラウド給与(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド給与」は、クラウド会計ソフトで絶大な人気を誇るマネーフォワードが提供するサービスです。最大の強みは、やはり「マネーフォワード クラウド会計」との連携にあり、給与計算から仕訳、会計帳簿への反映までをシームレスに繋ぎ、経理業務全体を効率化する点にあります。

給与計算が完了すると、人件費などの仕訳データが「マネーフォワード クラウド会計」に自動で作成・連携されます。これにより、従来の手作業での転記が不要となり、ミスを撲滅できるだけでなく、月次決算の早期化にも大きく貢献します。

Web上で年末調整の手続きが完結するなど、ペーパーレス化を強力に推進する機能も充実しています。給与計算を単体業務としてではなく、「会計まで含めたお金の流れ全体」で効率化したいと考える中小企業におすすめです。

弥生給与 Next(弥生株式会社)

会計ソフトの代名詞である弥生が提供する「弥生給与 Next」は、長年の実績を持つインストール型ソフト「弥生給与」の信頼性と分かりやすさを、そのままクラウドで実現した製品です。業界トップクラスのブランド力と、初心者に手厚いサポート体制が最大の魅力です。

弥生製品の強みは、なんといってもその「安心感」にあります。多くの会計事務所や社会保険労務士が弥生製品を利用しており、専門家とのデータ連携がスムーズです。

また、操作方法で分からないことがあっても、電話・メール・チャットで対応してくれる業界最大規模のカスタマーセンターが用意されており、ITに不慣れな担当者でも挫折することなく運用を続けることができます。

freee人事労務(フリー株式会社)

freee人事労務」は、「会計freee」と完全に一体化したサービスであり、特にスタートアップやスモールビジネスのバックオフィス業務を「徹底的に自動化・効率化」することに特化しています。その思想は、給与計算から会計処理までの分断をなくす「一体型」という言葉に集約されます。

多くのソフトが「連携」を謳う中、「freee」は給与計算と会計が同じ一つのシステムとして設計されており、給与を確定した瞬間に、会計帳簿への記帳までがリアルタイムで完了します。

簿記の知識がなくても経理業務が行えるように設計されている点も大きな特徴です。また、従業員がスマートフォンアプリから勤怠打刻や経費申請を行えるなど、従業員側の使いやすさも追求されています。

ジンジャー給与(jinjer株式会社)

ジンジャー給与」は、人事に関するあらゆるデータを「Core HRデータベース」という一つの中核データベースで管理する、という独自のアーキテクチャを持つ点が他社製品と一線を画しています。これにより、情報の二重管理を防ぎ、人事データの一貫性と活用度を最大化します。

「ジンジャー」シリーズを複数利用する場合、すべてのサービスがこの「Core HRデータベース」を参照するため、例えば、人事管理システムで従業員情報を更新すれば、給与計算システム側にも即座に自動で反映されます。「部署ごとに同じ情報を何度も入力する」といった無駄がなくなります。

「ジンジャー給与」は、将来的に人事評価や人材配置まで含めた本格的な「人事DX」を見据えている中小企業にとって、非常に戦略的な選択肢となります。「人事データの一元管理と活用」という視点を持つ企業に最適なプラットフォームです。

給与計算ソフトについてよくある質問

給与計算ソフトについて、よく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。

Q
無料で使える給与計算ソフトは安全?
A

無料の給与計算ソフトは、機能やサポートに制限があることを理解した上で、提供元が信頼できる大手ベンダーのものであれば、限定的な用途において安全に利用できるといえます。しかし、継続的な事業運営で利用するには、有料プランへの移行を強く推奨します。

無料ソフトには、個人開発などのものと、大手ベンダーが提供するお試しプランの2種類があります。後者はセキュリティ基盤が信頼できますが、多くの場合、登録できる従業員数が5名までであったり、年末調整機能やサポートが対象外であったりと、実用上、重要な機能が制限されています。

給与情報は、マイナンバーを含む極めて機密性の高い個人情報です。ベンダーが「プライバシーマーク」などを取得しているかを確認することが、安全性を判断する基準となります。

無料プランは「お試し版」と位置づけ、本格運用の際は、万全のセキュリティ、確実な法改正対応、そして困ったときのサポートという「安心」を得られる有料プランを選択することが、現実的な運用です。

Q
従業員規模50名未満の小規模事業者でも導入メリットはある?
A

人的リソースが限られる従業員50名未満の小規模事業者こそ、給与計算ソフト導入による恩恵が相対的に大きいといえます。小規模事業者では、経営者や一人の担当者が複数の業務を兼任していることがほとんどです。

ソフトの導入により、給与計算にかかっていた時間を大幅に削減し、その時間を営業活動や商品開発といった、企業の売上に直結する「コア業務」に充てられることの経営インパクトは小さくありません。

また、担当者一人に業務が集中する「属人化リスク」を回避できるほか、月額数千円からという費用も、創出される時間価値を考えれば極めて高いコスト効率を誇ります。

したがって、小規模事業者にとって給与計算ソフトの導入は、単なる経費ではなく、生産性の向上、リスク管理、そして組織基盤の強化に直結する「戦略的投資」です。

Q
会計ソフトや勤怠管理システムとの連携は必須?
A

給与計算ソフトの導入効果を最大化し、バックオフィス業務全体のDXを実現するためには、会計ソフトや勤怠管理システムとの「連携」は、限りなく必須に近い「強く推奨される」要素です。

連携がない場合、勤怠データを給与ソフトに、給与データを会計ソフトに、それぞれ手作業で入力する必要が残り、これが時間ロスとミスの最大の原因となります。

バックオフィス業務の理想的な流れは、「勤怠管理→給与計算→会計処理」というプロセスが、データ連携によって一気通貫で自動化されている状態です。最近の中小企業向けクラウドソフトは、この3つの連携を前提として設計されているため、段階的な導入もスムーズに行えます。

まずは給与計算ソフト単体での導入から始めることも、もちろん有効です。しかし、手作業による非効率とミスを根本から解消するためには、勤怠・会計システムとの連携を最終的なゴールとして視野に入れた製品選定を行うことが、賢明な判断といえるでしょう。

まとめ

毎月の給与計算は、企業の根幹を支える極めて重要な業務ですが、頻繁な法改正、多様化する雇用形態、そして複雑な控除計算により、手作業やExcelでの管理は限界を迎えつつあります。人為的ミスによる給与の支払い遅延や計算間違いは、従業員の信頼を損ない、法令違反による追徴課税といった経営リスクに直結しかねません。

このような課題を解決し、企業の成長を加速させるための必須ツールが「給与計算ソフト」であり、本記事では、その基本的な役割から導入のメリット、選び方のポイントまでを解説してきました。そこで重要となってくるのが、「給与計算の正確性は、その大元となる勤怠データの正確性に依存する」ということです。

どれだけ優れた給与計算ソフトを導入しても、日々の勤怠管理が曖昧であったり、労働時間や残業時間の集計にミスがあったりすれば、正しい給与計算は決して行えません。むしろ、誤ったデータに基づいて自動計算を進めてしまうことで、問題がさらに大きくなる危険性すらあります。

給与計算ソフトの導入を成功させるための真の第一歩は、そのインプットとなる「勤怠管理」の体制を正しく構築することにあります。自社の働き方や就業規則に合った勤怠管理システムはどれか。次のステップとして、最適な勤怠管理システムの比較・検討を進めるべきでしょう。

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