所定労働日数とはどのような定義であり、週、月、年の所定労働日数は何日になるのでしょうか。また、所定労働時間や実労働日数とはどのように関係してくるのでしょうか。
この記事では、所定労働日数の基礎知識、日数や賃金の計算方法について、わかりやすく解説します。
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所定労働日数の定義
まずは、所定労働日数の定義やなぜ決める必要があるかを解説していきます。
所定労働日数とは
所定労働日数とは、会社が定めて就業規則に記載された労働日数のことです。
月給制で給与を支給している会社は、所定労働日数に基づいて給料を計算します。また、残業などの割増賃金や年次有給休暇の付与日数を算出するためにも、所定労働日数が必要です。
年次有給休暇の付与日数は、週の所定労働日数や継続勤務年数に応じて年間取得できる日数が決まるため、所定労働日数を定めておかなければなりません。
「1年間の所定労働日数」の「1年」という期間がいつから始まるのか起算日については、法律的な決まりはありませんが、会計年度と同じ日に定めている企業が多いです。
休日は所定労働日数に含まれない
休日は、所定労働日数には含まれません。
労働基準法にはノーペイ・ノーペイの原則があります。会社は、基本的には従業員が働いていない日の給料を支払う必要はありません。ただし、年次有給休暇や業務災害による休業補償などは、この例外となります。
なお、「休日」と「休暇」は厳密には意味が異なります。休日は「元々労働義務のない日として定められた日」、休暇は「本来労働義務がある日の労働が免除された日」という定義になります。
休暇は所定労働日数に含まれる
上記で解説した定義どおり、休暇は「本来の労働日の労働を免除する日」であるため、年次有給休暇や介護休暇などの法律で認められた法定休暇は、所定労働日数に含まれます。それ以外にも、会社が独自に定めた特別休暇も、所定労働日数に含んで計算します。
特別休暇は法律で取得が義務付けられていない休暇のことで、一般的によくあるのは年末年始休暇や忌引休暇です。特別休暇や休暇に関するルールは、必ず就業規則に記載しなければならず、就業規則に記載されているすべての休暇は所定労働日数に含めなければなりません。
ただし、年次有給休暇以外は有休・無給を会社が任意に定めることができるため、所定労働日数に含まれるからといって、必ずしも賃金の保障までは求められていません。
なお、無給扱いの休暇は「欠勤」とも異なります。欠勤は、賞与査定や人事考課においてマイナス要素として作用したり、欠勤が続く場合は懲戒対象となったりしますが、休暇を取得した場合にこのような取り扱いはできません。
所定労働日数と実労働日数の違い
所定労働日数とは、会社が定めた従業員が働かなければならない日数。実労働日数は、実際に従業員が働いた日数です。
所定労働日数と実労働日数は実際には異なる場合が多いです。例えば有給休暇や特別休暇で休んだ日は、所定労働日数には含まれますが、実労働日数には含まれません。また、休日出勤などが発生すると、その分の実労働日数が増え、所定労働日数を超える場合もあります。
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所定労働日数の計算
残業手当の額を算出するためといった理由で、所定労働日数を計算しなければならない場合があり、週や月など様々な単位での計算が必要です。それぞれの単位で所定労働日数を計算する方法を紹介します。
週所定労働日数
週の所定労働日数は、月の所定労働日数 ÷4でおおよその日数を算出することができます。
週所定労働日数は、年次有給休暇の付与日数を判定する際に必要となります。パートやアルバイトなどでも、年次有給休暇は付与されますが、フルタイム正社員に比べて週の所定労働日数が少ない場合は、以下のように「比例付与」されることになります。
なお、週によって所定労働日数が異なる従業員の場合は、付与日の直近の実労働日数で判断する必要があります。具体的には、最初の付与日は勤務実績が6ヶ月分しかないため、実労働日を2倍した日数、2年目以降は過去1年間の実労働日を、それぞれ1年間の所定労働日数に当てはめます。
例えば、最初の付与日において雇入れから6ヶ月間の勤務日数が100日だった場合、2倍した200日を1年間の所定労働日数に照らし合わせて、「7日」が付与されることになります。
また、契約期間中に所定労働日数が変わった場合は、付与日時点での所定労働日数で判断します。つまり、直前まで週3日勤務であっても、正社員転換などで付与日時点で週5日勤務となっている場合は、フルタイム勤務としての日数分が付与されることになります。
月平均所定労働日数
月の平均所定労働日数は、時間外割増賃金や休日割増賃金、欠勤控除などを計算する際に必要な数字です。具体的には、年間所定労働日数 ÷ 12ヶ月で計算します。
このようにして、求められた月平均所定労働日数をもとにして、1時間あたりの賃金を計算し、残業となった場合は1時間あたりの賃金の1.25倍の賃金を、割増賃金として支払わなければなりません。
年間所定労働日数
年間の所定労働日数は、その年の暦日数から就業規則等で定めた年間休日を差し引くことで求めることができます。
具体的に法的な上限は定められていませんが、必ず付与すべき法定休日が原則「週1日」であることから考えると、1年間の週数52週を365日(閏年は366日)から差し引いて313日(閏年は314日)というのが、考えられる上限となります。
ただし、週の法定労働時間40時間を越えない範囲で、この最大日数とするためには、1日の所定労働時間を6時間40分以内に設定する必要があります。
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所定労働日数により割増賃金を算出する1時間あたりの賃金が決まる
所定労働日数を算出する理由の1つは、割増賃金を支払う際の基礎賃金を計算するためです。もともと日給制や時給制で働いている社員にとっては、割増賃金の算出はそれほど複雑な計算ではありませんが、月給でもらっている社員は少し複雑な計算をしなければなりません。
割増賃金を支払うために1時間あたりの基礎賃金を算出する必要があり、その際に月平均の所定労働日数の計算が必要です。
1時間あたりの基礎賃金(時給)の計算方法
1時間あたりの基礎賃金を計算するには、まず1ヶ月の月間所定労働時間を計算しなければならず、この月間所定労働時間を算出するために、1年間の所定労働日数が使われます。
月間所定労働時間は、以下の計算式で算出します。
月間所定労働時間 = 年間所定労働日数 ÷ 12 ✕ 1日の所定労働時間数
年間所定労働時間数は、「年間所定労働日数 × 1日の所定労働時間数」で算出することができます。
こうして月間所定労働時間を求めると、1時間あたりの賃金を求めることが可能となります。具体的には、「月給額 ÷ 月間所定労働時間」で算出し、この額が割増賃金等を計算する際の基礎賃金となります。
なお、計算に用いる「月給額」には、通勤手当や家族手当、住宅手当など、労働の対価ではなく個人的事情により支給される各種手当は含まないことに注意が必要です。
割増賃金の計算
割増賃金は法定時間外労働や深夜労働、休日出勤をした場合によって支払われるものです。割増賃金は、これらの労働をした時間が1.25倍や1.35倍の賃金となります。
時給制で働いている人は単純に時給の1.25倍するだけで済みますが、月給制の場合は、1時間あたりの基礎賃金を算出するところから始める必要があります。
勤怠管理システムで正しい計算を
この記事では、所定労働日数について紹介しました。所定労働日数は年次有給休暇がどれくらい付与されるのか、残業代はどのくらいなのかなどを、計算するにあたって必要なものです。
計算方法は複雑ですが、正しい給料を支払うことは、会社としての義務です。勤怠管理システムを導入することで、日々の労働時間の集計から賃金計算まで、法に則った適正な労務管理が可能となります。
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