大手企業が解禁に舵を切ったり、厚生労働省が促進ガイドラインを発表したりと、近年注目を集めている「副業」と「兼業」ですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?また、会社として副業・兼業を解禁する際には、どういったことに注意すればよいのでしょうか?
この記事では、副業と兼業の違いに触れながら、会社としてどう向き合うべきかについて、わかりやすく解説します。
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「副業」と「兼業」の違いとは?
副業も兼業も「本業以外に有償で行う仕事」という意味を持っており、実務上も使い分ける必要はありません。
ただし、一般的には副業は本業がメインの仕事であるのに対し、兼業は本業と並ぶメインの仕事であるというようなニュアンスの違いがあります。
複業やダブルワークとの違いは?
「複業」は、発音は「副業」と同じですが、ほぼ同列の複数の仕事を持つことで、ニュアンス的には兼業に近いと言えます。
また、「ダブルワー」は複数の仕事を掛け持ちすることで、一般的には正規雇用以外のパート・アルバイトの掛け持ちの場合によく使われる言葉です。
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「副業・兼業の促進に関するガイドライン」とは
「副業・兼業の促進に関するガイドライン」とは、厚生労働省が2018年に策定(2022年に改定)したガイドラインです。副業・兼業を行う労働者の労働時間、報酬、秘密保持義務等について、企業が留意すべき事項を定めています。
なお、このガイドラインで副業と兼業が併記されていることからも、厚生労働省でも特に両者を区別していないことが伺えます。
副業・兼業の全面禁止は認められない
原則として、労働時間以外の時間をどのように利用するのかは労働者の自由であって、会社がこれを拘束することは基本的に認められません。ガイドラインでは、以下のようなケースに限り、会社は兼業・副業を制限でき得るとしています。
- 労務提供上の支障がある場合
- 業務上の秘密が漏洩する場合
- 競業により自社の利益が害される場合
- 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
たとえ就業規則や個別の労働条件通知書などに「副業禁止」を謳っていても、上記に該当しない場合は無効な規定とされる可能性が高いと言えます。
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副業・兼業と労働時間
本業の労働時間と副業・兼業による労働時間は、基本的に通算することになっています。ただし、副業・兼業として行っている仕事が、雇用関係ではなく業務委託などの場合は、労働者性が否定されるため、労働時間は別個に考えます、
残業代は、原則的に後から契約した方が支払う
副業開始時点で法定労働時間を超過することが確定している場合は、実際の勤務順ではなく、時系列的に後から契約した会社が残業代(時間外割増賃金)を支払います。つまり、法定労働時間を超過することが分かっていながら、敢えて契約した責任を負担するというわけです。
たとえば、A社で所定労働時間7時間で勤務していたところ、出社前にB社で2時間の早朝アルバイト契約をした場合、この時点で1日の所定労働時間が9時間となり、法定労働時間の8時間を超過しているため、後から契約したB社が1時間分の残業代を支払います。
一方で、副業開始時点では法定労働時間内に収まっていたものの、結果的に法定労働時間を超過した場合は、それぞれの所定時間外労働を発生した順に通算し、法定労働時間を超過した部分を該当の会社が支払います。
労働時間の通算に関する管理モデルとは
「労働時間の通算に関する管理モデル」は、2022年のガイドライン改定で提示された、本業・副業の会社の労働時間管理を簡易化するためのルールです。
具体的な手順は以下の関連記事にて解説していますが、管理モデル採用により、会社側はあらかじめ定めた範囲内で労働させる限り、他社の労働時間を把握する必要がなくなります。
副業・兼業と36協定との関係
36協定の上限規制は、事業場単位で適用されるものと個々の労働者に適用されるものがあり、この区別に応じて副業・兼業の通算ルールが変わります。
原則の上限である「月45時間・年360時間以内」、特別条項を設けた際の上限である「年720時間以内」については、事業場単位にかかる規制であるため、本業・副業先の間で時間外労働を通算しません。
一方で、特別条項を設けた際の「時間外労働+休日労働の合計が100時間未満」「時間外労働+休日労働の2~6ヶ月平均が80時間以内」という上限は、労働者個人にかかる規制であるため、本業・副業先の間で時間外労働を通算する必要があります。
副業・兼業と法定休日
法定休日については、本業と副業先でそれぞれ独立して扱います。つまり、一方の事業場で週1日以上の法定休日が与えられていても、他方の事業場でも法定休日を付与しなければなりません。
なお、36協定においては時間外労働の上限とともに休日労働の日数上限も定めますが、一方の事業場で休日労働が発生したとしても、他方の事業場の休日労働の上限回数には影響しません。
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副業・兼業は、定義の違いよりもルール作りが重要
本業以外にも収入源があるという意味で、副業と兼業の意味はほとんど同じです。両者を実務上使い分けることにはあまり意味がなく、会社として解禁の方針であるならば、ルールを整備することが重要でしょう。
特に36協定の適用や残業代の支払いなど、労働時間の通算ルールは間違いが起きやすいため、勤怠管理システムを利用した適正な労働時間管理をおすすめします。
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