- 副業を認めたいけど、労働時間はどうやって管理すべき?
- 副業先で発生した残業代も払わなくてならない?
- 36協定の上限時間は、副業先と通算するの?
「ダブルワーク元年」とも呼ばれる2018年以降、副業や兼業を認める会社も増えてきました。そこで頭を悩ませるのが、冒頭に挙げたような労働時間の通算ルールです。
この記事では、副業における労働時間通算の原則的なルールから、「管理モデル」と呼ばれる新ルール、36協定の取り扱いなどについて、わかりやすく解説します。
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副業・兼業とは
副業とは、メインの収入源となる仕事以外に副次的に行う仕事のことです。複数の就業先を掛け持ちするのが典型的な例ですが、ネット販売や投資なども副業に含めることがあります。
「パラレルワーク」「ダブルワーク」「サイドビジネス」など、呼び方は様々ですが、意味はほぼ同じです。なお「兼業」は、メイン・サブという区別はなく、ほぼ同列にある仕事の掛け持ちの場合に使われることが多いですが、実務的に使い分ける必要はないでしょう。
副業は禁止できる?
憲法上「職業選択の自由」が保障されており、就業時間以外の時間をどう使うかは、本来労働者の自由であるため、会社が一切の副業を禁じることは認められません。
2018年の働き方改革により、厚生労働省の「モデル就業規則」から兼業を禁止する規定(「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」)が削除されました。
また、『副業・兼業の促進に関するガイドライン』も新たに提示されるなど、政府として副業を推奨する方針を打ち出しています。ただし、以下に該当する場合は、禁止または一定の制限を設けることができるとされています。
- 労務提供上の支障がある場合
- 企業秘密が漏洩する場合
- 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
- 競業により、企業の利益を害する場合
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副業における労働時間の原則的な通算ルール
労働基準法では、事業場が異なる場合でも労働時間は通算することが定められており、時間外労働が発生した場合の割増賃金の支払義務についてもルール化されています。
副業で労働時間が通算されないケース
具体的な通算ルール解説の前に、そもそも副業であっても労働時間が通算されないケースについて、ご説明します。
まず、本業で労働者として雇用されていても、副業で個人事業主として働いている場合、個人事業主は労働基準法の適用外であるため、労働時間は通算されません。
また、本業もしくは副業先における地位が管理監督者である場合、管理監督者は労働者には該当するものの、労働時間に関する規定が適用されないため、労働時間は通算されません。
所定労働時間の通算:副業開始前
本業及び副業先の所定労働時間を合算した時点で、法定労働時間を超過している場合は、時系列的に後から雇用契約を締結した会社が割増賃金を支払う義務を負います。
たとえば、A社で1日7時間週5日勤務していたところ、B社で新たに副業として1日2時間週5日勤務する場合は、日々超過する1時間分の残業代につき、後から契約したB社に支払う義務があります。
かりに、1日の勤務順がB社→A社であった場合、外形上はA社の最後1時間の勤務が法定外労働に見えますが、割増賃金はやはりB社が支払います。
なお、一定期間の法定外労働の上限などは、B社の36協定が適用されます。よって、B社で36協定が締結・届出されていない場合は、そもそも法定外労働を命じることができず、B社での就労可能時間は1日1時間までとなります。
所定時間外労働の通算:副業開始後
後から雇用契約を締結した時点では、法定労働時間を超過していなかったケースです。この場合、本業及び副業先の所定時間外労働を、その「所定時間外労働が発生した順」に通算し、法定労働時間を超過した部分を、該当の会社が支払います。
ケース1
A社(先に契約)で1日の所定労働時間5時間のところ6時間働き(所定時間外労働1時間)、その後B社(後から契約)で1日の所定労働時間2時間のところ3時間働いた(所定時間外労働1時間)場合、A社の所定時間外労働→B社の所定時間外労働の順に通算します。
A社の所定時間外労働の時点で8時間に達するため、その後のB社の所定時間外労働1時間が法定労働時間超過となり、この1時間分の割増賃金はB社が支払います。
ケース2
B社(後から契約)で1日の所定労働時間2時間のところ3時間働き(所定時間外労働1時間)、その後A社(先に契約)で1日の所定労働時間5時間のところ6時間働いた(所定時間外労働1時間)場合、B社の所定時間外労働→A社の所定時間外労働の順に通算します。
よって、ケース1とは逆の結果となり、法定労働時間を超過した1時間分の割増賃金はA社が支払います。
ケース3
A社(先に契約)で1日の所定労働時間5時間のところ7時間働き(所定時間外労働2時間)、その後B社(後から契約)で1日の所定労働時間2時間のところ3時間働いた(所定時間外労働1時間)場合、A社の所定時間外労働→B社の所定時間外労働の順に通算します。
結果、A社の所定時間外労働2時間のうち後半1時間が法定労働時間超過となります。また、B社の所定時間外労働1時間も法定労働時間超過です。よって、このケースでは、A社・B社ともに1時間分ずつの割増賃金を支払います。
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「管理モデル」における通算ルール
2022年9月の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」改定に合わせて、労働時間の通算に関する管理モデルが提示されました。管理モデルとは、本業・副業の会社の管理を簡易化するため設けられた新ルールです。
具体的には、以下の手順に沿って労働時間を管理します。
- A社(先に雇用契約を締結)の法定外労働時間と、B社(後から雇用契約を締結)の労働時間を合計した時間数が、単月100時間未満・複数月平均80時間以内の範囲内に収まるように、それぞれの会社で労働時間の上限を設定
- A社は法定外労働時間分について、B社は労働時間分について、それぞれの36協定の延長時間の枠内で割増賃金を支払う
これによって、会社側はあらかじめ定めた範囲内で労働させる限り、他社の労働時間を把握する必要がなくなり、労働者側も逐一労働時間を申告する必要がなくなります。
副業における36協定の通算ルール
36協定で設定した上限時間の通算ルールは、それぞれの上限項目の対象範囲によって異なります。
まず、原則の「月45時間・年360時間以内」、特別条項を設けた場合の「年720時間以内」という上限は、事業場単位にかかる規制であるため、本業・副業先の間で時間外労働を通算しません。
一方で、特別条項を設けた場合の「時間外労働+休日労働の合計が100時間未満」「時間外労働+休日労働の2~6ヶ月平均が80時間以内」という上限は、労働者個人にかかるる規制であるため、本業・副業先の間で時間外労働を通算します。
法定休日は通算しない
法定休日については、本業と副業先とでは別個に扱います。つまり、それぞれの事業場において法定休日を付与する必要があり、また休日労働が発生しても他方の休日労働の上限回数に影響しません。
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副業の労働時間管理は勤怠管理システムで
副業に関する世間的な流れは「容認」から「推進」へと傾いており、ある程度は認めるのが望ましい対応です。副業を認める場合は、36協定や残業代の支払いで違法とならないよう、副業先での勤務実態を労働者とすり合わせておくことが重要です。
また、労働者の健康管理や管理モデル運用の面からも、勤怠管理システムを利用した労働時間の適正な管理が求められています。勤怠管理システムは、出退勤時刻・労働時間・時間外労働など、従業員の勤怠データを自動で集計するシステムです。
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