勤怠管理にタイムカードを利用している会社も多いと思いますが、しばしば問題になるのが、不正打刻や改ざんといった行為です。
こうした違反行為に対して、会社としてはどのような処分を科すことができるのでしょうか?また、そもそも不正打刻を防止するには、どのような対策が有効なのでしょうか?
この記事では、タイムカードに関するさまざまな疑問に、わかりやすくお答えしていきます。
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タイムカードの不正打刻・改ざんは違法
タイムカードの不正打刻や改ざんは、労働契約違反として民事上の責任と問われるだけでなく、刑事的にも罪に問われる可能性があります。
労働者が残業代の水増しを目的に不正を行った場合、詐欺罪に該当する可能性が高く、またタイムカードが紙の場合は私文書偽造罪、データの場合は電磁的記録不正作出罪にも該当します。
一方、会社が残業代の削減・もみ消しを目的に不正を行った場合、上記の私文書偽造罪や電磁的記録不正作出罪に加えて、労働基準法違反にも問われます。
コンプライアンス違反を犯した企業への視線は、年々厳しくなっているのが現状です。かりに労働基準法違反の実態がマスメディアで報じられた場合、取引先や顧客からの信頼を失い、今後の企業経営が大変厳しい状況に追い込まれるでしょう。
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労働者によるタイムカードの不正打刻・改ざん事例
労働者によるダイムカードの不正利用について、典型的な事例を以下の3つご紹介します。
- 代理打刻
- カラ残業
- 改ざん
労働者が不正打刻や改ざんをおこなう主な理由としては、残業代の積み上げが挙げられます。基本給だけでは苦しく、残業代込みで生計を維持する、いわゆる「生活残業」の問題とも密接に関わっています。
また、評価軸が労働時間の多寡に偏っており、長時間労働を肯定的に捉える企業文化が形成されている場合、意図的に残業する社員も少なからず出てきます。
代理打刻
代理打刻は同僚や後輩に出退勤時刻の打刻を依頼することです。始業時間に間に合わない場合、代理打刻を依頼すればタイムカード上に遅刻の記録が残りません。
また、残業代を多く獲得するため、定時に出退勤しているにも関わらず、残業をしている社員に出退勤打刻を依頼するケースもあります。
カラ残業
カラ残業は就業時間内に業務が終わっているにも関わらず、定時にタイムカードを打刻せず、残業を装うことです。終業時間後に、喫煙や同僚との雑談などで一定の時間を過ごし、タイミングを見計らって退勤時刻を打刻します。
また、一度退社した後に会社周辺で食事や私用を済ませ、退勤時刻を打刻するためだけに会社に戻るケースもあります。この場合は、食事や私用の時間も仕事をしていたと偽装することになります。
さらに、退社時にわざとタイムカードを打刻せず、打刻漏れを装うケースも考えられます。後日手書きで退勤時刻を打刻する際、実際の退勤時間よりも遅い時間を記入し、残業代を水増しします。
改ざん
改ざんは出退勤時刻の打刻ミスを装い、後から自国の書き換えを手書きで修正することです。タイムカードで集計したデータは、Excelやシステムに打ち込み、給与計算に利用するのが一般的な流れです。
集計時までに手書きで修正を加えれば、修正した時刻が反映されます。手書きでの修正が認められるタイムカードで起きやすい不正事例の一つだと言えるでしょう。
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会社や上司の指示で不正打刻・改ざんが行われるケースも
タイムカードで不正打刻や改ざんを行うのは、従業員だけとは限りません。会社側が残業代の削減や36協定の上限超え回避のために、従業員に定時での打刻を指示し、その後サービス残業を強いるケースもあります。
また、残業の実態が記録されたデータを、管理者権限を利用して改ざんするケースも考えられます。会社側によるタイムカードの改ざんが発覚した場合、従業員との信頼関係は崩壊し、エンゲージメント低下から大量離職にも繋がります。
また、違法労働の実態をマスメディアやSNSで報道された場合、「従業員を大切にしないブラック企業」のイメージが定着します。社会的信用やブランドイメージが低下し、今後の企業経営が大変厳しい状況に追い込まれるでしょう。
タイムカードの不正打刻に対する処分|即時解雇は可能?
代理打刻・カラ残業・改ざんといった不正行為は、労使関係の信用を失わせる重大な違反行為です。会社側は相応の懲戒処分を下せますが、即時解雇が認められるかどうかは、以下のような要素により総合的に判断されます。
- 不正行為を意図的におこなっていたか
- 常習性や継続性がどの程度あったか
- 不正に受領した残業代はどのくらいか
- 社員に反省の色が見られるか
- 返金の意思はあるか
- 就業規則は整備されていたか
- 厳格に勤怠管理がおこなわれていたか
懲戒解雇が認められた事例
「八戸鋼業事件(最高裁小判昭42・3・2)」では、出勤しなかった同僚のタイムカードの代理打刻を行っていた従業員の懲戒解雇を有効と判断しました。
本判決では、会社が「不正打刻は解雇に処する」旨の規定を掲示していたこと、当該従業員も当規則を認識していたことなどが重要視されました。
基本的には即時解雇は難しい
上記判例からすると、以下のような場合は即時の懲戒解雇が無効とされる可能性が高いと言えます。
- 不正打刻や改ざんに対して解雇に処する旨を就業規則に規定していない、または規定はあるが周知されていない
- 残業時間の過大申告と過少申告が混在しているなど、従業員に積極的に不正を働く意図がなかった
- 上長が代理打刻を黙認していた、勤怠データへのアクセスが誰でも可能であるなど、会社側の管理体制が杜撰である
最終的に懲戒解雇に踏み切るとしても、まずは就業規則に定めた懲戒処分のより軽い処分をいくつか段階的に科すのが無難でしょう。
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タイムカードの不正打刻・改ざん防止に有効な対策
タイムカードの不正打刻・改ざんを防ぐためには、以下2つの対策が有効です。
・修正ルールや不正に対する処分を明確化する
・不正が起こりにくい打刻方法を導入する
修正ルールや不正に対する処分を明確化する
一度記録したタイムカードを修正する場合のルールを決め、周知することは重要です。具体的には「手書き修正する場合は、上長の許可を得る」「データの修正には、アクセス権限者を介して行う」などが有効でしょう。
また、不正打刻・改ざんに対する懲戒内容を就業規則等に明記し、社内掲示や社員説明会などで周知しておきましょう。
不正が起こりにくい打刻方法を導入する
物理的な抑止策としては、データ改ざんが困難な打刻方法を搭載した勤怠管理システムを導入するのも有効な選択肢です。特に以下の打刻方法を搭載していると、不正行為のリスクを抑えられます。
- 生体認証打刻
- ICカード打刻
- PCログ打刻
生体認証打刻
人間の身体の一部を使った生体認証打刻は、安全性と利便性を兼備した打刻方法です。指紋・顔・静脈認証などは、個人の生体情報を利用するため、他の打刻方法に比べて成りすましやデータの改ざんが非常に困難です。
また、紛失や盗難の心配もいらず、安心して利用できます。生体認証機能を搭載する勤怠管理システムは多くはありませんが、有力な選択肢でしょう。
ICカード打刻
ICカード打刻は、社員証や交通系ICカードなどを出退勤打刻に活用する方法です。ICカード打刻は簡単に利用できるだけでなく、不正打刻の発生リスクを抑えられる点が特徴です。
出退勤時にICカードをタッチすれば、出退勤時刻が記録されます。打刻には社員証や会社から配布するICカードを使えば、代理打刻が起きる心配もいりません。
また、ICカードには常に最新の勤怠データが記録されるため、労務担当者の業務負担軽減や過重労働防止にもつなげられます。
ICカードはFeliCa規格とMIFARE規格、2種類に分けられます。FeliCa規格は、PASMOやSuicaなど、交通系ICカードが該当します。通勤や買い物など利用頻度が高いため導入しやすく、経費精算システムなどと連動し、交通費や経費を効率的に精算できる点も魅力です。
MIFARE規格は、taspoや社員証などが該当します。FeliCa規格よりも低コストで導入できる点が魅力です。
PCログ打刻
PCログ打刻は、PCのログオン~ログオフまでの操作履歴を記録したものです。PCの利用開始・終了時刻だけでなく、インターネットのアクセス履歴やメールの送信履歴なども記録できます。
PCログ打刻は、不正打刻のリスクを大幅に抑えられる点がメリットです。PCのログイン・ログオフが出退勤データと連動するため、カラ残業防止になります。
事務職・総務・経理など、デスクワークがメインの職種はPCの稼働時間=労働時間と捉えられます。サービス残業の発生も防止できるため、従業員にとってもメリットは大きいでしょう。
併せて、「始業時間の5分前にPCを起動する」「残業しない場合は定時に電源を切る」「時間帯に応じてスリープモードも業務終了とみなす」など、社内ルールの整備・周知も重要です。
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タイムカードの不正打刻・改ざん防止は勤怠管理システムがおすすめ
紙ベースやExcelによる記録は手軽な反面、不正打刻や改ざんが起こりやすい点がネックになります。上司からのチェックがない限り、出退勤時刻を自由に修正できるからです。不正行為の発生有無は、従業員の良心に強く依存している危険な状態です。
多彩な打刻機能を備えた勤怠管理システムを導入すれば、不正防止と業務効率化の両立が望めます。生体認証・GPS・スマートフォンアプリなど、データ改ざんが困難な機能を多数搭載しているためです。
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低コストでハイスペックな機能を搭載している勤怠管理システムを多数扱っている点も、嬉しいポイントです。不正打刻や改ざんの発生にお悩みの方は、勤怠管理システムの選定・比較ナビを是非ご利用ください。
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