毎年11月頃になると、人事労務や経理の担当者様の頭を悩ませるのが、年末調整業務ではないでしょうか。山積みの申告書、従業員一人ひとりへの記入依頼と回収、そして終わりの見えないチェックと差し戻しの繰り返し。
重要な業務だと分かってはいても、「この膨大な作業時間と手間を、もっと他の業務に使えたら…」と感じている方も少なくないはずです。
特に近年は、毎年のように行われる法改正への対応や、テレワークの普及による書類の回収方法など、新たな課題も増えています。そんな煩雑な年末調整業務から脱却する有力が手段が、「年末調整システム」の導入です。
年末調整システムを導入すれば、従業員はスマートフォンから質問に答えるだけで申告が完了し、面倒な計算やチェック作業の大部分はシステムが自動で行ってくれます。これにより、担当者の業務負担を劇的に軽減し、年に一度のストレスを過去のものに変えることができるのです。
本記事では、そんなお悩みを抱える担当者様のために、導入のメリットから失敗しないための比較ポイントまでをわかりやすく解説します。また、おすすめの年末調整システム10選もご紹介しますので、是非参考にしてみてください。
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年末調整システムとは
年末調整システムとは、毎年発生する煩雑な年末調整の業務を、自動化・効率化するために開発されたソフトウェア(ソフト)のことです。紙の書類回収や手計算といった従来のアナログな作業を電子化することで、従業員と担当者双方の負担を大幅に軽減します。
年末調整の業務は、従業員一人ひとりの申告書を回収し、その内容を精査して所得税の過不足を計算するため、非常に手間と工数がかかり、人為的なミスも発生しやすいという課題がありました。
年末調整システムは、これらの手続きをクラウド上で完結させることで、業務の効率化と正確性の向上を同時に実現します。多くのシステムには、主に以下の機能が搭載されています。
- 従業員によるWeb入力: 従業員がPCやスマホから申告書の内容を直接入力できる。
- 控除額の自動計算: 入力されたデータを基に、税額を自動計算する。
- 進捗管理: どの従業員が提出済みかを一覧で管理できる。
- エラーチェック・差し戻し: 入力内容の不備をシステムが自動で検知し、修正を依頼できる。
- 給与計算ソフトとの連携: 確定したデータを、既存の給与計算ソフトに連携できる。
年末調整とは
年末調整とは、企業が役員や従業員に毎月支払う給与から源泉徴収した所得税の年間合計額と、その人が本来納めるべき年間の所得税額を一致させるための精算手続きです。この手続きは所得税法第190条に規定されています。
毎月の給与から天引きされる源泉徴収税額は概算のため、年末にその年の給与総額が確定した段階で、各種控除(配偶者控除、生命保険料控除など)を反映した正しい税額を再計算し、過不足を調整(還付または追加徴収)する必要があります。
例えば、ある従業員が年の途中で結婚して配偶者を扶養に入れた場合、毎月の源泉徴収では「配偶者控除」が適用されていません。年末調整でその年の状況を反映して再計算することで、払い過ぎていた税金が「還付金」として従業員に戻ってきます。
年末調整業務を取り巻く法改正と電子化促進の背景
近年の税制改正と政府の方針により、年末調整の手続きは急速に電子化へと舵を切っています。これは、企業と従業員の利便性向上、および行政手続きの効率化を目的とした国全体の大きな流れです。
この動きを主導しているのは国税庁で、特に2020年(令和2年)の税制改正以降、年末調整手続きの電子化に向けた環境整備が大きく進みました。
【国税庁が推進する電子化のポイント】
- 控除証明書等の電子データ提出: 生命保険料控除証明書などを、保険会社等から電子データで受け取り、そのまま勤務先に提出することが可能になりました。
- 年末調整申告書作成用ソフトウェアの提供: 国税庁は「年調ソフト」を無償で提供し、従業員が申告書データを簡単に作成できる環境を整備しています。
この電子化の流れは、労務管理の現場にも変化をもたらしています。従業員はマイナポータル経由で控除証明書データを一括取得できるようになり、証明書を探す手間がなくなりました。
また、国税庁が標準的なデータ形式を定めたことで、従業員が作成したデータを、企業が利用する年末調整システムや給与計算ソフトにスムーズに取り込めるようになりました。
もはや電子化は避けられない潮流であり、企業はこの変化に対応し、年末調整システムを活用することで、法改正に準拠しながら業務の効率化とペーパーレス化を実現することが求められています。
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年末調整システム導入のメリット
年末調整システムを導入する最大のメリットは、担当者と従業員双方の負担を劇的に軽減し、業務全体の生産性を向上させる点にあります。これは単なる効率化に留まらず、企業の労務管理体制を現代の働き方に最適化する戦略的な一手です。
従来の紙媒体を中心とした年末調整業務は、申告書の配布・回収・チェック・データ入力・計算といった多岐にわたる作業を手作業で行う必要があり、担当者の大きな負担となっていました。システムはこれらの作業の大部分を自動化するため、業務の属人化を防ぎ、担当者の心理的・時間的負担を解消します。
システム導入によって得られる具体的なメリットは、主に以下の通りです。
- 業務の圧倒的な効率化: 自動計算やエラーチェック機能により、作業時間を大幅に削減します。
- ペーパーレス化の実現: 紙の印刷、配布、保管が不要になり、コスト削減と情報管理の安全性向上に繋がります。
- 従業員の負担軽減: スマホやPCからいつでもどこでも申告が可能になり、従業員の利便性が向上します。
- コンプライアンス強化: 頻繁な法改正にもシステムが自動で対応するため、計算ミスや申告漏れのリスクを低減します。
年末調整業務の効率化
年末調整システムを活用することで、申告書の配布からデータの回収、税額計算、給与計算ソフトへの連携に至るまで、一連の業務フローを劇的に効率化できます。
比較項目 | 従来の手作業 | システム導入後 |
申告書の配布 | 印刷・封入・手渡し | Web上で一斉に依頼通知 |
進捗管理 | 目視・Excel等で手動管理 | システムが自動で一覧化 |
内容チェック | 全従業員分を目視で確認 | システムが入力漏れや矛盾を自動検知 |
問い合わせ対応 | 従業員からの電話やメールに個別対応 | よくある質問はシステムが自動回答 |
税額計算 | 電卓やExcelで手動計算 | システムがデータに基づき自動計算 |
例えば、従業員100名の企業で、担当者が1人あたり15分かけて申告書の内容をチェックしていた場合、合計25時間もの時間が確認作業だけで費やされます。システムを導入すれば、入力漏れや計算ミスを自動で検知するため、担当者はエラーの確認に集中でき、作業時間を80%以上削減することも可能です。
このように、年末調整システムは業務のボトルネックとなりがちな各工程を自動化し、担当者を煩雑な作業から解放します。創出された時間を、より付加価値の高い人事労務の企画業務などに充てられるようになるでしょう。
ペーパーレス化によるコスト削減
年末調整システムの導入は、申告書や添付書類の電子データ化を可能にし、ペーパーレス化を促進します。これにより、印刷費や郵送費といった直接的なコストだけでなく、書類の保管や管理に関わる間接的なコストも大幅に削減できます。
電子帳簿保存法の要件を満たすことで、年末調整に関する書類も電子データとして保存することが認められています。
【直接コストの削減】
- 用紙代・印刷代: 申告書用紙の購入費や、プリンターのインク・トナー代が不要になります。
- 郵送費: テレワーク中の従業員や遠隔地の拠点に書類を送付するための費用が不要になります。
- 保管費用: 書類を保管するためのキャビネットや倉庫などの物理的なスペースにかかる費用が不要になります。
【間接コスト(見えにくいコスト)の削減】
- 作業工数の削減: 書類の印刷、配布、回収後のファイリングといった作業にかかる人件費を削減できます。
- 検索性の向上: 過去の書類を探す際、キャビネットから探し出す手間がなくなり、システム上で瞬時に検索・閲覧できます。
年末調整システムによるペーパーレス化は、単に紙をなくすだけでなく、企業のコスト構造そのものを改善する効果があり、従業員規模が大きく、拠点が分散している企業ほどその削減効果は大きくなります。
申告手続きの負担軽減
年末調整システムは、担当者だけでなく、申告手続きを行う従業員自身の負担を大幅に軽減します。申告が簡単になることで従業員からの問い合わせが減り、結果的に担当者の負担軽減にも繋がります。
紙の申告書は専門用語が多く分かりにくいですが、システムでは質問に回答していく形式で入力が進むため、従業員は迷うことなく手続きを完了させることができます。
また、「マイナポータル連携」を活用すれば、保険料の控除証明書データを自動で取得・反映できるため、証明書を探して金額を転記する手間そのものが不要になります。
例えば、複雑な住宅ローン控除の申告も、システムなら案内に従って借入金残高などを入力するだけで、控除額の計算は自動で行われます。これにより、従業員の記入ミスや計算間違いが起こりにくくなり、担当者による差し戻しといった不毛なやり取りを大幅に削減できるのです。
このように年末調整システムは、従業員にとっての分かりやすさを追求することで申告手続き全体の質を向上させ、従業員満足度を高めながら担当者の業務を円滑に進める、一石二鳥の効果が期待できるでしょう。
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年末調整システムの比較ポイント
自社に最適な年末調整システムを選ぶためには、表面的な価格だけでなく、機能・コスト・セキュリティ・連携性・信頼性という5つの軸から多角的に評価することが不可欠です。
選定を誤ると、かえって作業が煩雑になったり、セキュリティリスクを抱えたりする可能性があるため、客観的な基準に基づいた慎重な比較検討が求められます。
これから比較を始める方は、以下の5つのポイントをチェックリストとしてご活用ください。
【年末調整システムの5大比較ポイント】
- 機能: どこまでの業務を自動化したいか
- コスト: 見かけの料金だけでなく、総額でいくらかかるか
- セキュリティ: 従業員の大切な個人情報を守れるか
- 連携性: 今使っている給与計算ソフトなどと繋がるか
- 信頼性: 困ったときに頼れるベンダーか
これらのポイントをバランス良く評価することで、自社にとって本当に価値のある年末調整システムを選び抜くことができます。
機能:自動計算・進捗管理・HR連携の有無
機能面で比較すべき最重要ポイントは、「控除額の自動計算」「従業員の提出状況の進捗管理」、そして「他の人事(HR)システムとの連携」の3点です。
これらの機能は、従来のアナログ業務における主要な課題(計算ミス、回収の遅れ、データの分断)を直接的に解決するため、業務効率化の度合いを大きく左右します。自社の企業規模や従業員の状況に合わせて、必要な機能の優先順位をつけましょう。
機能レベル | 主な機能 | 説明 |
必須機能 | 自動計算 | 申告書の内容に基づき、各種控除額や所得税額を自動で計算する。 |
Web/スマホ入力 | 従業員がPCやスマホから質問に回答する形でデータを入力できる。 | |
進捗管理 | 従業員ごとの提出状況を一覧で把握できる。 | |
推奨機能 | マイナポータル連携 | 控除証明書データをマイナポータルから一括取得し、申告書に自動反映できる。 |
給与計算ソフト連携 | 年末調整の計算結果を、CSVなどで給与計算ソフトに連携できる。 | |
高度な機能 | 人事労務システム連携 | 年末調整だけでなく、入退社手続きや勤怠管理などと一体化した労務管理が可能。 |
機能を比較する際は、まず自社の「絶対に譲れない機能」と「あると嬉しい機能」をリストアップした上で各システムを評価し、導入後のミスマッチを防ぎましょう。
コスト:無料トライアルから相場・プラン比較
コストを比較する際は、月額料金だけでなく、初期費用や従業員数に応じた従量課金を含めた「総所有コスト(TCO)」で判断することが重要です。システムの料金体系はベンダーによって大きく異なり、単純な価格比較だけでは自社に合わない割高なプランを選んでしまうリスクがあります。
クラウド型システムの市場相場は、初期費用が0円〜5万円程度、月額費用が基本料金+従業員1人あたり200円〜500円程度が一般的です。
比較検討時には必ず無料トライアルを申し込み、担当者と従業員双方の視点から操作性を試し、「この機能と使いやすさで、このコストは妥当か」を判断することをお勧めします。自社に必要な機能を見極め、過不足のないプランを総額で比較することが、コストパフォーマンスを最大化する道です。
セキュリティ:クラウド化のリスク評価
年末調整システムはマイナンバーを含む極めて機微な個人情報を取り扱うため、セキュリティ対策は比較検討における最優先事項です。企業は「個人情報保護法」に基づき、従業員の個人情報を安全に管理する義務を負っており、万が一の情報漏洩は企業に計り知れないダメージを与えます。
システムの安全性を評価するためには、以下の点を確認しましょう。
【セキュリティ評価チェックリスト】
- データの暗号化: 通信・保存データが暗-号化されているか。
- アクセス制御: IPアドレス制限や多要素認証など、不正アクセスを防ぐ仕組みがあるか。
- 第三者認証の取得: 「ISMS(ISO 27001)」や「プライバシーマーク」を取得しているか。
- 脆弱性対策: 定期的なセキュリティ診断などが講じられているか。
- データセンターの安全性: 国内の堅牢なデータセンターでデータが管理されているか。
連携性:既存給与ソフト・労務管理ツールとの連携可否
年末調整システムの導入効果を最大化するためには、現在利用している給与計算ソフトや労務管理ツールとの連携性が極めて重要です。データ連携ができないと、システムで計算した結果を手作業で再入力する二度手間が発生し、ヒューマンエラーのリスクも残ってしまいます。
データ連携の方法は、主にCSVファイルで行う方法と、より高度なAPI連携があります。導入を検討する際には、まず自社で利用中のソフト名をリストアップし、各ベンダーに連携実績や対応可否を問い合わせることが確実です。
信頼性:導入実績・サポート体制
システムそのものだけでなく、それを提供するベンダーの信頼性も重要な比較ポイントです。年末調整は、限られた期間に作業が集中する失敗の許されない業務であるため、緊急時に頼れるサポート体制の存在が不可欠です。
ベンダーの信頼性は、以下の点で評価します。
- 導入実績: 公式サイトの導入企業数や、具体的な導入事例を確認します。自社と同規模・同業種の企業での実績が豊富であれば安心です。
- サポート体制の充実度: 電話、メール、チャットなど問い合わせ方法が複数あるか、FAQサイトやマニュアルが充実しているかなどを確認します。
無料トライアル期間中に一度サポートに質問し、その回答の速さや丁寧さを実体験してみるのも有効です。豊富な導入実績は多くの企業から選ばれている証であり、充実したサポート体制は万が一の際の保険となります。長期的な視点で安心して付き合えるベンダーかどうかを見極めましょう。
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おすすめの年末調整システム10選
市場には多様な年末調整システムが存在し、それぞれが独自の強みを持っています。ここでは、本記事で解説した観点から厳選した10のシステムを、特徴や料金体系とともに詳しく解説します。
まずは以下の比較一覧表で全体像を把握し、気になるシステムから詳細な解説を読み進めていくことをお勧めします。
【おすすめ年末調整システム10選 比較一覧表】
製品名 | 提供会社 | 料金(目安) | 強み・特徴 | 無料トライアル |
オフィスステーション 年末調整 | ㈱エフアンドエム | 要問い合わせ | 使いやすさと手厚いサポートに定評。労務手続き全般に強い。 | あり |
マネーフォワード クラウド年末調整 | ㈱マネーフォワード | 月額3,980円~ | 給与・会計との連携がスムーズ。バックオフィス全体を効率化。 | 1ヶ月 |
奉行Edge 年末調整申告書クラウド | ㈱OBC | 年額2,000円/人~ | 奉行シリーズとの連携が強み。大手・中堅企業向け。 | あり |
COMPANY 年末調整 | ㈱Works Human Intelligence | 要問い合わせ | 大企業向け。複雑な人事制度にも対応できる高いカスタマイズ性。 | なし |
freee人事労務 | フリー㈱ | 月額3,980円~ | 会計・労務の一気通貫。スモールビジネスの業務効率化に最適。 | 30日 |
ジョブカン労務HR | ㈱DONUTS | 月額400円/人 | 勤怠管理など他シリーズとの連携が柔軟。機能の選択肢が豊富。 | 30日 |
ジンジャー人事労務 | jinjer㈱ | 月額500円/人~ | 人事データの一元管理。データベースの活用でタレントマネジメントまで。 | 要問い合わせ |
フリーウェイ給与計算 | ㈱フリーウェイジャパン | 従業員5名まで完全無料 | 無料プランが充実。小規模事業者向けに特化。 | 永久無料プランあり |
ロウムメイト | ㈱カオナビ | 要問い合わせ | 入社手続きから年末調整までをペーパーレス化。シンプルな操作性。 | 要問い合わせ |
弥生給与 Next | 弥生㈱ | 年額49,000円~ | 給与計算がメイン。シンプルな機能で年末調整にも対応。 | 1年間無料 |
オフィスステーション 年末調整(株式会社エフアンドエム)
「オフィスステーション 年末調整」は、労務管理の専門家が開発したシステムならではの、かゆいところに手が届く機能と、手厚いサポート体制が魅力の製品です。
全国の社会保険労務士と提携し、常に最新の法改正に迅速に対応できる体制を構築。直感的で分かりやすいインターフェースは、ITツールに不慣れな従業員や担当者でも迷わず操作できるよう設計されており、初めてシステムを導入する企業でも安心して業務の電子化・効率化を実現できます。
項目 | 詳細 |
料金プラン | 初期費用は別途見積もり。従業員数に応じた月額課金制。詳細な料金は要問い合わせ。 |
注目機能 | ・アラート機能: 申告書の入力内容の矛盾点を自動でチェックし、担当者に通知。 ・進捗管理ダッシュボード: 未提出者や差し戻し中など、提出状況が一目瞭然。 ・多様な連携: 主要な給与計算ソフト約40製品以上とのCSV連携に対応。 |
こんな企業におすすめ | ・初めて年末調整システムを導入し、手厚いサポートを求める企業。 ・従業員のITリテラシーにばらつきがある企業。 ・年末調整だけでなく、他の労務手続きも効率化したい企業。 |
導入から運用まで、専門スタッフによる丁寧なサポートを受けながらDXを進めたい企業にとって、最も有力な選択肢の一つとなるでしょう。
マネーフォワード クラウド年末調整(株式会社マネーフォワード)
「マネーフォワード クラウド年末調整」は、給与計算や会計システムとシームレスに連携し、バックオフィス業務全体の効率化を実現するシステムです。
その強みは「マネーフォワード クラウドシリーズ」というエコシステムにあり、年末調整のデータが追加作業なしで給与計算や会計に自動反映されるため、データの二重入力や転記ミスといった課題を根本から解消できます。特に、既に同社のクラウドサービスを利用している企業にとっては、圧倒的な利便性を提供します。
項目 | 詳細 |
料金プラン | 人事労務の基本機能が含まれる「スモールビジネスプラン」は月額3,980円(年払い)から。利用人数に応じて変動。 |
注目機能 | ・自動反映: 年末調整の結果が、追加操作なしで同シリーズの給与計算に反映される。 ・マイナポータル連携: 控除証明書データの取得・申告がスムーズに行える。 ・統一されたUI: 他のシリーズと統一されたデザインで操作に迷わない。 |
こんな企業におすすめ | ・既にマネーフォワード クラウドの他サービスを利用している企業。 ・バックオフィス全体のDXを推進したい企業。 ・コストを抑えつつ、多機能なシステムを導入したい中小企業。 |
年末調整という単一の業務だけでなく、バックオフィス全体の生産性向上という、より大きな視点でシステム導入を検討している企業にとって、その中核を担う強力なツールとなるはずです。
奉行Edge 年末調整申告書クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)
「奉行Edge 年末調整申告書クラウド」は、会計・人事労務システムの定番「給与奉行」との完璧な連携を実現するシステムです。
「給与奉行」とダイレクトにデータ連携できる点が最大の強みで、CSVファイルを介さず申告データが直接反映されるため、取り込みミス等のリスクを完全に排除できます。既に奉行シリーズを導入済みの中堅・大手企業にとって、最もスムーズに年末調整の電子化へ移行できる選択肢です。
項目 | 詳細 |
料金プラン | 年額ライセンス形式。従業員数によって変動(例:年額2,000円/人~)。別途「給与奉行クラウド」の契約が必要。 |
注目機能 | ・奉行シリーズとの直接連携: 申告・承認されたデータが、CSVの作成や取込作業なしで「給与奉行クラウド」に自動反映。 ・専門家ライセンス: 顧問の税理士や社労士にライセンスを無償提供でき、セキュアな環境で申告書のチェックを依頼可能。 ・高いセキュリティ: マイクロソフト社のAzure上で運用され、最高水準のセキュリティを確保。 |
こんな企業におすすめ | ・「給与奉行クラウド」を既に利用している、または導入を検討している企業。 ・データの連携ミスをなくし、業務の正確性を最優先したい中堅・大手企業。 ・顧問の専門家と密に連携しながら年末調整業務を進めたい企業。 |
奉行シリーズという確立されたエコシステムの中で年末調整業務を完結させたい企業にとって、最も合理的で信頼性の高いソリューションと言えるでしょう。
COMPANY 年末調整(株式会社Works Human Intelligence)
「COMPANY」は、日本の大手企業向け統合人事システムのトップブランドです。数万人規模の従業員を抱え、独自の複雑な人事制度を持つ大企業の業務にも完全対応できる、極めて高い柔軟性と網羅性を誇ります。
大手企業の約3社に1社が導入している実績が信頼性の証です。法改正への対応に追加コストがかからない「無償バージョンアップ」も特徴で、長期的な安定運用に貢献します。
項目 | 詳細 |
料金プラン | 大企業向けのパッケージ製品のため、料金は個別見積もり。 |
注目機能 | ・統合人事データベース: 年末調整で収集した従業員の扶養情報などが、給与計算や人事情報管理に即座に反映される。 ・無償バージョンアップ: 頻繁な法改正やOSのアップデートに、追加費用なしで対応し続ける。 ・柔軟な設定機能: 大手企業特有の複雑な手当や控除の計算にも、標準機能の設定変更のみで対応可能。 |
こんな企業におすすめ | ・従業員数が数千名〜数万名規模の大手企業。 ・グループ会社全体で人事労務システムを統一したい企業。 ・独自の給与体系や福利厚生制度を持ち、パッケージ製品では対応が難しい企業。 |
「COMPANY」は単なる年末調整ツールではなく、企業の人事戦略を支える経営基盤であり、グループ全体の人事労務業務の標準化と効率化を目指す大企業に最適なソリューションです。
freee人事労務(フリー株式会社)
「freee人事労務」は、特にスモールビジネスに強みを持つ、会計・人事労務一体型のクラウドソフトです。
専門知識がなくても直感的に使えるUIを徹底的に追求しており、年末調整から給与計算、会計処理までが一気通貫で連携し、バックオフィス全体の自動化を推進します。年末調整で確定したデータが会計帳簿の仕訳にまで自動反映されるため、担当者の負担を大幅に削減します。
項目 | 詳細 |
料金プラン | 月額3,980円(ミニマムプラン・年払い)から利用可能。利用人数や機能に応じて複数のプランを用意。 |
注目機能 | ・会計ソフトとの完全連携: 年末調整の計算結果が、源泉所得税の仕訳として「会計freee」に自動で登録される。 ・シンプルなUI/UX: 質問に答えるだけで申告書が作成でき、ITが苦手な従業員でも迷わない。 ・入退社から年末調整までカバー: 従業員の入社手続きから勤怠、給与計算、年末調整までを一気通貫で管理。 |
こんな企業におすすめ | ・従業員数1名〜100名程度のスモールビジネス、スタートアップ企業。 ・「会計freee」を既に利用しており、人事労務領域もfreeeで統一したい企業。 ・バックオフィスの担当者が1人、または他業務と兼任している企業。 |
バックオフィス業務を可能な限り自動化し、経営者が本業に集中できる環境を整えたいスモールビジネスにとって、最も親しみやすく強力なパートナーとなるでしょう。
ジョブカン労務HR(株式会社DONUTS)
「ジョブカン労務HR」は、必要な機能を自由に組み合わせて導入できる柔軟性が魅力のクラウドサービスです。
シリーズ累計20万社以上の導入実績を誇る「ジョブカン」シリーズの一つとして、企業の成長段階や課題に応じて、必要なサービスだけを低コストで追加していける点が最大の強みです。最初は年末調整と労務管理だけを使い始め、将来的に勤怠管理も導入するといった段階的な拡張が可能です。
項目 | 詳細 |
料金プラン | 労務HR単体の場合、1ユーザーあたり月額400円。初期費用・サポート費用は0円。 |
注目機能 | ・シリーズ連携: 「ジョブカン勤怠管理」「ジョブカン給与計算」など、他シリーズと従業員マスターを共有し、スムーズに連携できる。 ・柔軟なカスタマイズ: 従業員情報の管理項目などを自由に設定でき、自社独自の運用に合わせやすい。 ・手厚い無料サポート: メール・電話でのサポートが料金内に含まれており、安心して利用できる。 |
こんな企業におすすめ | ・まずは年末調整からスモールスタートし、将来的にバックオフィス全体の効率化を考えている企業。 ・勤怠管理や経費精算など、特定の業務にも課題を抱えている企業。 |
企業の「今」と「未来」の両方のニーズに応えることができる、コストパフォーマンスと拡張性に優れたシステムで、コストを抑えつつ、自社の成長に合わせてシステムを拡張していきたい企業におすすめです。
ジンジャー人事労務(jinjer株式会社)
「ジンジャー人事労務」は、従業員のデータを一つのデータベースで一元管理することに強みを持つシステムです。
多くの労務サービスが機能ごとに独立しているのに対し、「ジンジャー」は最初から一つの統合データベースを核として設計。これにより、年末調整で収集した情報が他の人事機能に即座に、かつ正確に反映され、データの二重管理を防ぎます。
項目 | 詳細 |
料金プラン | 1ユーザーあたり月額500円~。利用機能や人数によって変動。 |
注目機能 | ・統合データベース: 勤怠、給与、経費、人事管理など、全ての機能が同じデータベースを参照するため、データの整合性が常に保たれる。 ・充実した申請フォーム: 年末調整だけでなく、住所変更や口座変更などの申請もペーパーレス化できる。 ・クロスセル機能: 導入後に、必要に応じて勤怠管理や経費精算などの機能を簡単に追加できる。 |
こんな企業におすすめ | ・従業員情報を一元化し、戦略的に活用していきたい企業。 ・複数のシステムに従業員情報が散在し、二重管理に手間を感じている企業。 ・年末調整を機に、人事データの基盤を整備したいと考えている企業。 |
年末調整の効率化はもちろん、その先にある「人事データの一元化と戦略的活用」までを見据える企業にとって、非常に魅力的な選択肢です。
フリーウェイ給与計算(株式会社フリーウェイジャパン)
「フリーウェイ給与計算」は、従業員5名までなら期間の制限なく「完全無料」で利用できる点が最大の特徴です。
年末調整機能も含まれており、「無料」でありながら、保険料率の自動更新や法改正への対応など、給与計算と年末調整に必要な基本機能をしっかりと網羅しています。コストをかけずに給与計算と年末調整を始めたい小規模事業者にとって、非常に強力な選択肢となります。
項目 | 詳細 |
料金プラン | ・無料版: 従業員5名まで、期間無制限で無料。 ・有料版: 6名以上で利用する場合は、月額1,980円(税込)の有料版に移行。 |
注目機能 | ・永久無料プラン: 5名以下であれば、サポート以外の全機能が無料で利用し続けられる。 ・シンプルな操作性: 多機能ではありませんが、その分、給与計算と年末調整に特化した分かりやすい画面構成。 ・Windowsアプリ: クラウドではなく、PCにインストールして利用するタイプ。 |
こんな企業におすすめ | ・従業員が5名以下の個人事業主や小規模企業。 ・とにかくコストをかけずに年末調整をシステム化したい企業。 ・将来的に有料版に移行することも視野に入れつつ、まずは無料で試したい企業。 |
従業員が5名以下という条件に合致するならば、コストパフォーマンスという点で他の追随を許しません。企業の成長に合わせて有料版へスムーズに移行できる点も魅力です。
ロウムメイト(株式会社カオナビ)
「ロウムメイト」は、タレントマネジメントシステムで国内シェアNo.1の「カオナビ」が提供する労務DXツールです。
「カオナビ」で培った、誰でも使いこなせるUI/UXデザインのノウハウが活かされており、従業員がスマホで簡単に入力・提出できることに重点を置いています。年末調整や入社手続きなど、紙とハンコが中心だった手続きを、シンプルで直感的な操作性で一気にペーパーレス化することに特化しています。
項目 | 詳細 |
料金プラン | 初期費用、月額費用ともに要問い合わせ。 |
注目機能 | ・シンプルなUI/UX: 従業員も担当者も、マニュアルなしで直感的に操作できる画面設計。 ・手続きのテンプレート化: 年末調整や入社手続きなど、労務イベントごとに必要なタスクがテンプレート化されており、依頼漏れを防ぐ。 ・カオナビとの連携: 将来的にタレントマネジメントシステム「カオナビ」と連携し、収集したデータを人材育成や配置に活用することが可能。 |
こんな企業におすすめ | ・紙媒体での手続きが多く、ペーパーレス化を急務としている企業。 ・とにかく従業員が使いやすいシステムを導入したい企業。 ・将来的には従業員のデータを人材活用にも繋げていきたい企業。 |
年末調整を「従業員とのコミュニケーションを円滑にする手続き」と捉え、従業員体験(EX)の向上を重視する企業に最適です。
弥生給与 Next(弥生株式会社)
「弥生給与 Next」は、会計ソフトの老舗である弥生が提供するクラウド給与計算ソフトです。長年のソフト開発で培われた信頼性と、法令への確実な対応力が強みです。
給与計算・明細発行を主軸としつつ、年末調整にもシンプルに対応しており、特に弥生シリーズのユーザーにとって馴染みやすい操作性が魅力です。年末調整も、給与計算の流れの中で自然に行えるよう設計されています。
項目 | 詳細 |
料金プラン | 初年度は全機能が無料で利用できるキャンペーンを実施中。次年度以降はプランに応じて年額49,000円(税抜)~。 |
注目機能 | ・給与計算との一体感: 年末調整の計算結果が、12月や1月の給与(還付・徴収)にスムーズに反映される。 ・シンプルな機能構成: 中小企業の給与計算と年末調整に必要な機能に絞られているため、操作に迷いにくい。 ・あんしん保守サポート: 料金プラン内に電話・メールでのサポートが含まれており、初心者でも安心。 |
こんな企業におすすめ | ・既に「弥生会計」などの弥生シリーズを利用している中小企業。 ・給与計算をメインに効率化し、その延長線上で年末調整も行いたい企業。 ・多機能さよりも、シンプルさとサポートの手厚さを重視する企業。 |
信頼と実績のあるブランドの下で、まずは給与計算と年末調整の効率化から着実に始めたいと考える企業に最適な選択肢です。
勤怠管理システムの検討でお困りのあなたへ
・システム検討時に注意すべき点を整理したい
・システムにより効率化できる点を整理したい
・システムの運用で注意すべき点を整理したい
勤怠管理システムを見直したい方は、勤怠管理システムの選定・比較ヨウケンをご活用ください。無料でご利用できます。
年末調整システムについてよくある質問
年末調整システムについて、よく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。
- Q無料で使える年末調整システムはある?
- A
無料で利用できる年末調整システムは存在します。ただし、その多くは従業員数に上限があるなど、機能やサポートに一定の制限が設けられています。
無料のシステムには、国税庁が提供する「年調ソフト」(従業員が申告書データを作成するツール)や、「フリーウェイ給与計算」のように民間企業が従業員5名までといった条件で提供する無料プランがあります。
導入前には、有料プランとの違いを正確に把握しておくことが重要です。
【無料プランと有料プランの一般的な比較】
比較項目 無料プラン 有料プラン 従業員数 少数(例:5名まで)に限定 制限なし、または大規模に対応 機能 基本機能(申告書作成)に限定 給与計算連携、進捗管理など充実 サポート体制 メールのみ、またはサポート対象外 電話、チャットなど手厚いサポート データ保管 保証されない、または期間が短い場合がある 安全なクラウド環境で長期間保管 従業員が数名程度の小規模事業者であれば、無料のシステムは有効な選択肢です。しかし、今後の事業拡大が見込まれる場合や、手厚いサポート、高度な連携機能を求める場合は、初期投資として有料システムの導入を検討することをお勧めします。
- Qクラウド型の年末調整システムの利点は?
- A
クラウド型の年末調整システムの最大の利点は、「いつでも、どこでも利用できる利便性」「法改正への自動対応」、そして「サーバー等の設備投資が不要なコスト効率の良さ」の3点に集約されます。
システムやデータはサービス提供事業者が管理するサーバー上で運用されるため、利用企業は常に最新かつ安全な状態でシステムを利用できます。具体的なメリットは以下の通りです。
- 場所を選ばない柔軟な働き方への対応:担当者は自宅からでも作業でき、従業員もスマホで申告書を提出できるため、テレワークとの親和性が非常に高いです。
- メンテナンス不要で常に最新の状態:毎年の法改正にもベンダーが責任をもってシステムを更新するため、担当者が細かい変更点を都度キャッチアップする手間から解放されます。
- コストの平準化と初期費用の抑制:自社で高価なサーバーを用意・管理する必要がなく、月額または年額の利用料だけで始められます。
- 強固なセキュリティとデータ保全:信頼できるベンダーは、データの暗号化や自動バックアップといった高度なセキュリティ対策を講じており、自社で管理するより安全なケースも少なくありません。
これらの利点から、現代において年末調整システムを導入する場合、クラウド型は最も合理的で標準的な選択肢と言えます。
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年末調整は、担当者にとって年に一度の大きな負担となる、専門知識と正確性が求められる煩雑な業務です。従来の手作業による申告書の配布・回収、膨大な書類のチェック、そして複雑な控除額の計算には、多くの時間と労力が費やされるだけでなく、ヒューマンエラーのリスクも常に伴います。
このような課題を根本から解決するのが「年末調整システム」です。システムを導入することで、従業員はスマートフォンやPCから質問に答えるだけで簡単に入力が完了し、担当者は申告書の回収状況をリアルタイムで把握しながら、計算やチェック作業の多くを自動化できます。
年末調整という季節的な業務の効率化の次は、日々の労務管理の中核をなす「勤怠管理」に目を向けてみましょう。正確な労働時間の把握は、給与計算の土台であると同時に、コンプライアンス遵守の観点からも極めて重要です。
勤怠管理をシステム化することで、打刻漏れの防止や残業時間の自動計算、休暇管理の効率化など、年間を通じてバックオフィス全体の生産性をさらに高めることができます。
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