タイムカードによる勤怠管理は違法？問題点とシステム化のすすめ

働き方が多様化し、長時間労働抑制が叫ばれる現代において、旧態依然としたタイムカードによる勤怠管理に限界を感じていらっしゃる事業主の方も多いのではないでしょうか？

しかし、改善を検討しているものの、既に職場に定着している運用を変えてしまうことに一抹の不安を感じるのも、また事実でしょう。

そこでこの記事では、タイムカードによる勤怠管理の具体的な問題点やリスク、タイムカードに代わる勤怠管理方法のうち特におすすめのシステム化について、わかりやすく解説します。

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タイムカードによる勤怠管理は何が問題？

タイムカードは、我が国で長年に渡って主流となっていた勤怠管理方式で、誰でも簡単に扱える点がメリットです。反面、以下のような問題点やリスクを抱えているため、近年はタイムカードを廃止して、システム化を目指す会社が多くなっています。

• 集計・計算に手間がかかる
• ヒューマンエラーが多くなる
• 労働時間が把握しづらい
• 不正打刻が起こりやすい
• 多様な働き方に対応できない
• 紛失・誤廃棄のリスクが発生する

集計・計算に手間がかかる

タイムカードでの勤怠管理は、労務担当者の業務負担を増大させます。事業場で働くすべての従業員のタイムカードを、月末にまとめて回収して集計しなければなりません。回収したタイムカードは、一つずつ集計しながら給与計算すふとなどに入力していきます。

従業員数が多いほど、入力作業に時間がかかります。また、時間外労働や有給休暇の取得状況を細かく管理しなければなりません。規定を守れなかった場合は罰金を支払うことになるため、法令違反にならないよう一人ひとりの勤怠状況に目を配る必要があります。

ヒューマンエラーが多くなる

ヒューマンエラーが多くなる点も、タイムカードによる勤怠管理のデメリットの一つです。勤怠締め日から給与支払日までの限られた時間で、タイムカードの回収、勤怠データの入力・集計、給与計算をしなければならず、正確性の担保が難しくなります。

労務担当者の担当業務は勤怠管理や給与計算だけではありません。福利厚生の整備・就業規則の見直し・入退社の手続きなど、幅広い業務をこなしています。

人的リソースが少ない企業の場合、採用や人事評価制度の整備など、人事の仕事を兼任している場合も珍しくありません。労務担当者は限られた時間で多くの業務を処理しなければならず、一定の業務品質を保つのが難しくなります。

仮に給与計算で支払い漏れが発覚した場合、従業員との信頼関係が悪化し、モチベーションやエンゲージメントが大幅に低下します。

労働時間が把握しづらい

タイムカードの場合、締め日以降にタイムカードを集計するまで、管理者や労務担当者が一度も内容を確認しないことも珍しくありません。勤怠データをリアルタイムで確認できないと、さまざまなデメリットを招く可能性が高まります。

たとえば、残業過多に陥っている従業員の発見が遅れたとしましょう。過労による体調不良によって、休職や離職を招く可能性が生じます。

また、年10日有給休暇を付与されている従業員が、期限内に5日以上の休暇を取得できなかった場合は、違反者1人につき30万円の罰金を支払わなければなりません。法令違反を犯した企業に対する評価は、年々厳しくなっているのが現状です。

不正打刻が起こりやすい

不正打刻が発生しやすいのも問題です。チェック体制が機能していない場合、別の従業員が簡単にタイムカード打刻できてしまいます。

たとえば、寝坊によって始業時間に間に合わなかったとしましょう。始業時間前にタイムカードを打刻しておくよう、同僚に依頼しておけばタイムカードに遅刻の事実は掲載されません。

月末にタイムカードを集計する場合も、記載されている内容に関して一つひとつ整合性の確認を取る場合は少ないでしょう。また、定時で退社しているにもかかわらず、残業代を獲得するために意図的にタイムカードを打刻しないケースも考えられます。

残業中の従業員に連絡し、タイムカードを打刻するよう依頼しておけば、数時間分の残業代を得られます。オフィス周辺に従業員が住んでいる場合、終業時間後に再びオフィスに戻ってきたとしても不思議ではありません。

タイムカードで勤怠管理をしている場合、不正打刻が発生しないかどうかは、従業員のモラルに強く依存している状態です。正確性が担保しづらく、非常に危険な状態と言えます。

多様な働き方に対応できない

タイムカードでの勤怠管理は、オフィスワークを前提とした方法です。オフィスに出社しないと出退勤時刻を打刻できないため、直行直帰やテレワークなどに対応できません。近年は、ワークライフバランスを重視する求職者や学生が少なくありません。

多様な働き方を実現できず、求人への応募率低下や優秀な人材の流出に悩まされる可能性が生じます。また、直行直帰が多い営業担当者や現場作業員の勤怠データも正確に把握できません。

紛失・誤廃棄のリスク

労働基準法によると、出勤簿などの労働帳簿は5年以上保存しなければならないとされています。タイムカードも出勤簿に該当するため、保存義務の対象となりますが、紙媒体であるため、紛失や誤って廃棄してしまうリスクがあります。

また、タイムカードを含む労働関係の書類を紙で保存する場合、保管スペースの確保が必要になります。必要な書類をすぐに取り出せるよう、整理整頓にも気を配らなければなりません。

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タイムカード以外の勤怠管理方法

タイムカード以外の勤怠管理の方法としては、以下のような方法が挙げられます。

• 出勤簿への手書き
• 共有エクセルへの記入
• 勤怠管理システムの利用

勤怠管理システムを導入すると、勤怠データの集計を自動化でき、業務の正確性と効率性を高められます。出勤簿やエクセルは正確性の担保が難しいため、厚生労働省からも推奨されていません。

紙の出勤簿への手書き

従業員へ出退勤時刻を手書きで出勤簿へ記入する方法です。フォーマットを作成しておけば、従業員に記入を依頼するだけで運用できるため、比較的簡単に運用できる点が特徴です。ただし、外回りの多い営業担当者や直行直帰が多い現場作業員は毎日記入できません。

また、記入漏れや記載ミスが発生しやすく、正確性の担保が困難です。いわゆる「自己申告制」であり、厚生労働省が定める「労働時間を客観的に把握する方法」に該当しないため、出勤簿の使用は極力避けましょう。

共有エクセルへの入力

エクセル上に出退勤時刻や残業時間など、勤怠データの入力を従業員へ依頼する方法です。エクセルを利用するメリットは、導入コストがほとんどかからない点です。インターネット上から無料テンプレートの入手が可能です。

スキルを持った従業員がいれば、ある程度カスタマイズも可能で、関数やマクロを組み込んだ勤怠管理表を自由に作成できます。ただし、法改正が発生した場合、法改正の内容に応じてエクセルの勤怠管理表を修正しなければなりません。

また、事業場で働く従業員は誰でもアクセスできるため、不正打刻や改ざんのリスクが非常に高くなります。不正行為が発生しないかどうかは、従業員のモラルに強く依存している状態です。

勤怠管理システムによる打刻

勤怠管理システムの打刻機能を利用する方法です。勤怠管理システムを利用するメリットは、正確かつ効率的に勤怠データを管理できる点です。

また、従業員の個人アカウントや生体情報と勤怠データが紐付けられるため、不正打刻や改ざんを防止でき、打刻漏れも簡単に検知して本人に通知できます。

ただし、勤怠管理システムを導入には、一定の費用や準備期間がかかります。自社の従業員規模、予算、運用体制などを考慮しながら、導入を進める必要があるでしょう。

タイムカードの問題点を勤怠管理システムで解決

タイムカードで生じる課題は勤怠管理システムの導入によって解決できます。以下のように、問題点に対応したメリットがあります。

• データの集計・計算は自動化できる
• ヒューマンエラーが起きない
• リアルタイムの労働時間を把握できる
• 不正打刻を防止できる
• 多様な働き方に柔軟に対応できる
• 紛失リスクがない

集計・計算を自動化して負担を軽減できる

勤怠管理システムを導入すれば、勤怠データの集計と計算を自動化できます。システム上で勤怠管理に必要なデータは管理しているため、タイムカードを集計する必要はありません。工数のかかる作業をシステムへ一任でき、労務担当者は別の作業に労力を割けます。

ヒューマンエラーが起きない

データ集計の自動化によって、業務の正確性と効率性を高められます。給与システムや人事システムなど、他システムとの連携に対応していれば、転記ミスが起きる心配もいりません。多くの業務をスムーズに進められます。

リアルタイムの労働時間を把握できる

勤怠管理システムには、常に最新の勤怠データが表示されています。労務担当者は管理職から従業員の勤怠状況に関して、何度も問い合わせを受けることはありません。担当業務に集中して取り組める時間が長くなり、業務効率改善を図れます。

また、残業過多に陥っている従業員や有給休暇の取得が遅れている従業員を素早く発見できます。一定水準以上の残業時間に達した場合はアラートを発するシステムもあり、過重労働による体調不良や休職を抑えられます。

不正打刻を防止できる

従業員の個人アカウントや生体情報を利用して打刻するため、不正打刻の発生を防げます。一度記録された勤怠データに対しても、アクセス権限を適切に設定することにより、勝手に書き換える行為を防止できます。

多様な働き方に柔軟に対応できる

スマートフォンなどおモバイル端末からもアクセスできるため、オフィス外からも打刻が可能です。これにより、直行直帰やテレワーク対象者でもあっても、問題なく勤怠管理ができるようになります。

また、手書きやエクセルによる勤怠管理では煩雑な計算が必要な、フレックスタイム制や変形労働時間制といった勤務形態にも、システム側の設定により柔軟に対応できます。

紛失リスクがない

システム上に労働関係の書類をまとめて管理できます。保存期限前に書類を破棄して、法令違反になる事態を避けられます。仮に誤ってデータを消去したとしても、バックアップからの復元が可能です。

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タイムカードに代わる勤怠管理方法としては、勤怠管理システムの導入がおすすめです。タイムカードが抱えるさまざまな問題を一気に解決して、業務効率化やトータルコストの削減など、多くのメリットが期待できるでしょう。

しかし、現在市場には、実に多くの勤怠管理システムが販売されています。それぞれ、想定している従業員規模や備える打刻方法、機能の豊富さなどに違いがあり、何を基準に選べばよいのか分からないという事業主の方も多いかと思われます。

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