育児休業は子供の養育を目的とした休暇制度で、原則子どもが1歳になるまで(最大で2歳になるまで延長可)取得可能です。2025年4月からは新たな給付制度が開始されるなど、その重要性は益々高まっています。
また、これに先立って2022年度にも育休関係の改正法が施行されています。この改正では、取得期間は変わらないものの、分割取得が可能となったり、有期契約社員の取得要件も緩和されたりといった大きな変更がありました。
この記事では、事業主・労務管理担当の方向けに、育児休業を取得する従業員への適切な対応を、改正法の内容を踏まえながら解説します。
勤怠管理システムでお困りのあなたへ
・今よりも良い勤怠管理システムがあるか知りたい
・どのシステムが自社に合っているか確認したい
・システムの比較検討を効率的に進めたい
勤怠管理システムを見直したい方は、ヨウケンをご活用ください。無料でご利用できます。
育児休業とは
育児休業とは、会社員として働く方々が育児に専念するため、子どもが1歳になるまで休暇を取れる制度です。基本的に、雇用形態や性別を問わず取得が可能です。
通常は、女性従業員は産後休業終了翌日から、男性従業員は出産予定日から1歳になるまでの間で、申し出た期間分取得することになります。
なお、一般的に「育休」とは、育児・介護休業法が定める「育児休業」のことを指しますが、会社が独自に設ける「育児休暇」を合わせて「育休」と呼ぶこともあります。
育児休業を取得できる条件は?
基本的には、日雇い労働者以外であれば、勤務形態や雇用形態に関わらず、取得可能です。ただし、有期契約労働者については、以下の要件を満たす必要があります。
- 子どもが1歳6カ月になる日までに雇用契約が終了することが明らかでないこと
なお、2022年3月までは「同一の事業主に過去1年間以上、雇用されていること」という要件もありましたが、現在は削除されています。
有期契約労働者の育児休業取得要件が緩和
2022年4月1日より、有期契約労働者の育児休業取得要件から「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件が削除されました。ただし、労使協定により「引き続き雇用された期間が1年未満」の労働者を対象外とすることは可能となっています。
育児休業の申請期限
原則的には休業開始1か月前と定められています。育児休業に伴い他の従業員への負担が増えないよう、業務体制の再整備が必要だからです。スムーズな引継ぎが行われるよう、余裕を持った育児休業の申請を従業員へ周知しておくと良いでしょう。
なお、休業開始前1ヶ月を切った時点で申請があった場合は、会社は申請日から1ヶ月の範囲内で開始日を指定することができます。もちろん、従業員の便宜を図って、希望通り取得させても差し支えありません。
育児休業の延長は可能?
以下の要件に該当する場合に限り、育児休業期間を「子どもが1歳6ヶ月にもしくは2歳に達するまで」延長可能です。
- 育児休業対象の子どもが1歳(2歳まで延長する場合は1歳6ヶ月)に達する日において、労働者本人または配偶者が育児休業をしている
- 「保育所に入所できない」「子どもを養育予定だった配偶者が病気や死亡などで養育が難しくなった」などにより、子どもが1歳もしくは1歳6カ月を超えても休業が特に必要である
また、上記を満たさなくても、両親ともに育児休業を取得する場合は、「パパママ育休プラス制度」の利用により、1歳2カ月に満たない期間まで延長可能です。
なお、育休の延長制度を逆手に取って、自治体に対していわゆる「育休延長狙い」の保育所入所申込みが問題化したことを受け、2025年4月からは延長申請手続きに「本人の申告書」提出が追加されるなど、要件が厳格化されています。
勤怠管理システムの検討でお困りのあなたへ
・システム検討時に注意すべき点を整理したい
・システムにより効率化できる点を整理したい
・システムの運用で注意すべき点を整理したい
勤怠管理システムを見直したい方は、ヨウケンをご活用ください。無料でご利用できます。
育児休業期間中の経済的支援
育児休業期間中は「ノーワーク・ノーペイの原則」に従って無給であることが一般的なので、経済的不安を抱えず安心して育児に励めるよう、国から経済支援が受けられます。具体的には「育児休業給付金」や「出生後休業支援給付金」、「社会保険料の免除」がこれに該当します。
育児休業給付金
育児休業給付金は、原則的に養育している子が1歳になる日の前日までの育児休業期間中に支給されます。また、育児休業期間の延長があった場合は、延長期間に応じて支給されます。1ヶ月あたりの支給額は以下のとおりです。
休業開始時賃金日額 × 支給日数(原則30日)× 67%(育児休業開始から6か月経過後は50%)
休業開始時賃金日額とは、「育児休業開始前6か月間の総賃金額を180で割った金額」で、支給申請時に提出する「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」に記載されている額をもとに算出されます。
なお、会社から休業中に賃金が支払われた場合は、「休業開始時賃金日額 × 支給日数の80%」を超えない範囲で減額されることになります。そのため、休業中の賃金については、事前に対象従業員としっかり認識を合わせておきましょう。
支給申請手続きは、原則的に従業員からの申し出を受けて、事業主が管轄のハローワークに対して行うことになります。
出生後休業支援給付金【2025年4月新設】
2025年4月から新たに「出生後休業支援給付金」が創設されました。これは一定要件を満たすことで、休業開始時賃金日額の13%相当額が受給できる制度で、上記の育児休業給付金と合わせると、最大28日間は賃金額面の80%が受給できます。
次項でも解説しますが、育児休業期間中は社会保険料が免除になるため、約1ヶ月間は実質手取り10割で育児休業が取得できることになります。出生後休業支援給付金の支給要件は、以下のとおりです。
- 雇用保険の被保険者が、対象期間中に出生後休業(※1)を通算して14日以上取得したこと
- 被保険者の配偶者についても、対象期間中に同一の子について出生後休業を通算して14日以上取得したこと(※2)
1.出生時育児休業給付金が支給される産後パパ育休、または育児休業給付金が支給される育児休業
2.配偶者がいない、配偶者が雇用保険の被保険者でない、などに該当する場合は不要
2025年4月から「出生後休業支援給付金」を創設します|厚生労働省
社会保険料の免除
育児休業期間中は、健康保険及び厚生年金の保険料が、従業員負担・会社負担分ともに免除となります。また、育児・介護休業法の育児休業のほか、これに準じる会社独自の育休制度による休業であっても、3歳に達するまでの子の養育のための休業であれば免除対象となります。
社会保険料の免除手続きは、従業員の申し出を受けた事業主が、「育児休業等取得者申出書」を日本年金機構へ届け出ることによって行います。
なお、免除となっても健康保険の給付内容に変更はなく、将来受給可能な年金額も減額されないため、その旨を従業員に説明しておきましょう。
勤怠管理システムの検討でお困りのあなたへ
・システム検討時に注意すべき点を整理したい
・システムにより効率化できる点を整理したい
・システムの運用で注意すべき点を整理したい
勤怠管理システムを見直したい方は、ヨウケンをご活用ください。無料でご利用できます。
育児休業の期間についてよくある質問
育児休業の期間などについて、よく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。
- Q育児休業は、入社してどのくらいで取れる?
- A
育児休業は、入社後6ヶ月経過後に付与される年次有給休暇と異なり、勤続年数にかかわらず取得できます。就業規則等で、勤続年数等を取得要件とすることは認められません。
ただし、育児休業給付金を受給するためには、育児休業を開始した日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業した時間数が80時間以上の)月が12ヶ月以上あることが必要です。
よって、入社後2年を経過していなくても、育児休業は取得できますが、育児休業給付金の支給対象とはならないため、この点は従業員に事前にしっかり説明しておきましょう。
- Q育児休業の分割取得は可能?
- A
2022年10月からは、旧制度の育児休業制度において認められていなかった育児休業の分割取得が2回まで可能となりました。
また、「出生時育児休業(産後パパ育休)制度」においても、2回までの分割取得が認められるため、特に男性従業員にとってはより柔軟な育休の取得が可能となりました。
安心して育児休業を取得してもらうために勤怠管理システムを活用
2025年度からは出生後休業支援給付金という新たな支援制度もスタートし、社会的にも益々重要な制度となっています。そのため、就業規則の整備と並行して、取得しやすい職場風土づくりやフレシキブルな働き方への対応も進める必要があります。
勤怠管理システム導入で業務が効率化されることにより、さまざまな休暇制度にも柔軟に対応できるため、従業員に安心して育休を取得してもらうことができるようになります。
勤怠管理システムでお困りのあなたへ
・今よりも良い勤怠管理システムがあるか知りたい
・どのシステムが自社に合っているか確認したい
・システムの比較検討を効率的に進めたい
勤怠管理システムを見直したい方は、ヨウケンをご活用ください。無料でご利用できます。