「連続休暇を取得しやすい環境を整えたいが、業務に支障が出ないか不安…」「従業員の満足度を高めるために休暇制度を見直したい」——そんな悩みを抱える企業の労務管理者や事業主の方は多いのではないでしょうか?

連続休暇は、従業員のワークライフバランスを向上させ、モチベーションや生産性を高める有効な手段の一つです。しかし、適切な管理ができなければ「特定の従業員しか取得できない」「業務が滞る」といった問題が発生する可能性もあります。

本記事では、連続休暇の法的な位置づけや、導入のメリット・デメリットとその対策、スムーズな運用のための具体的な導入ステップをわかりやすく解説 します。また、連続休暇に関してよく寄せられる質問についても回答していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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連続休暇とは

連続休暇とは、概ね5日以上の長期にわたって取得する休暇のことを指します。有給休暇(年次有給休暇)を利用して取得する場合や、企業独自の休暇制度として設けられるケースがあります。

労働基準法では、年次有給休暇に関する規定はありますが、「連続休暇」という言葉やその定義はありません。連続休暇は、企業が従業員のワークライフバランスを支援し、リフレッシュを促進するために設ける福利厚生制度の一つとして位置づけられます。

連続休暇とリフレッシュ休暇の違い

連続休暇は、主に有給休暇を活用して取得するまとまった休暇を指すのに対し、リフレッシュ休暇は企業が独自に付与する特別休暇の一つを指します。

項目連続休暇リフレッシュ休暇
定義土日祝日、有給休暇などを利用して連続で取得する休暇企業が独自に付与する特別休暇
取得方法労働者の自由(ただし時季変更権あり)企業がルールを定める
給与有給休暇を利用する場合は有給、それ以外は企業の規定による企業により異なる
企業の義務有給休暇の5日取得義務あり企業の任意

日本における連続休暇の取得状況

連続休暇の法的な定義がないため、統計データはありませんが、年次有給休暇の取得状況からある程度類推は可能です。

厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」によると、年次有給休暇の取得率は62.1%(前年比2.8ポイント増)、労働者1人平均取得日数は10.9日(前年比0.6日増)と、いずれも過去最高となっています。

このことから、連続休暇の取得も増加傾向にあることは予想されますが、フランスやドイツなどのヨーロッパ諸国では連続休暇の取得が義務付けられていることと比較すると、決して国際的には高い水準にあるとは言えないでしょう。

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連続休暇のメリット

連続休暇を導入することは、企業と従業員双方に多くのメリットをもたらします。特に企業にとっては、以下のようなメリットが期待できます。

  • 従業員満足度向上による定着率の安定
  • リフレッシュ効果による生産性向上
  • 企業イメージ向上による採用力強化

従業員満足度向上による定着率の安定

連続休暇を導入することで、従業員の満足度が向上し、離職率の低下につながります。適切な休暇制度を設けることは、企業にとって人材の流出を防ぎ、安定した労働環境を確保するために不可欠です。

連続休暇により、従業員は旅行や趣味、家族との時間など、プライベートな活動を充実させることができます。また、仕事から離れることで、心身の疲労を回復し、ストレスを軽減することができます。

企業が従業員の休暇取得を奨励することで、従業員は企業への信頼感や愛着心を高めます。働きやすい環境は、従業員の離職意向を低下させます。

リフレッシュ効果による生産性向上

従業員が適切に連続休暇を取得することで、精神的・身体的なリフレッシュが可能となり、結果的に業務の生産性向上が期待できます。

長期休暇により、脳がリフレッシュされ、情報処理能力や問題解決能力が向上します。リフレッシュすることで、仕事への意欲が再び高まり、積極的に業務に取り組むことができるようになります。

適切な連続休暇を確保することで、従業員の健康維持と生産性向上を同時に実現できます。企業は、業務への影響を最小限に抑えながら、休暇取得を推進する仕組みを構築することが求められます。

企業イメージ向上による採用力強化

連続休暇制度を整備することで、企業の働きやすさが向上し、求職者にとって魅力的な企業として認知され、結果として優秀な人材の採用につながります。

近年、求職者は、給与だけでなく、ワークライフバランスを重視する傾向にあります。リクルート社の「2023年 就職・転職市場レポート」 では、求職者が企業を選ぶ際の要因として、「ワークライフバランスが取れるか」が80%以上の人にとって重要視されています。

連続休暇制度は、「従業員を大切にする企業」というイメージを社会にアピールすることができ、競合他社との差別化を図り、優秀な人材を獲得しやすくなります。

連続休暇制度を導入していることを、積極的に情報発信することが重要です。採用ホームページや求人広告などで、連続休暇制度をアピールポイントとして強調することができます。

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連続休暇のデメリット・注意点

連続休暇の導入には、従業員の満足度向上や生産性の向上といったメリットがある一方で、「業務の属人化による取得の偏り」「調整不足による現場の混乱」といったデメリットに注意する必要があります。

業務の性質や従業員規模によっては、このデメリットの影響を大きく受けることになるため、メリットとの比較検討が特に重要となります。

業務の属人化による取得の偏り

業務が特定の従業員に依存している企業では、一部の従業員が休暇を取りにくくなり、連続休暇の取得に偏りが生じる可能性があります。

業務内容や手順が特定の人しかわからない状態になっていると、他の人が代替することができません。担当者が不在の間にトラブルが発生することを懸念し、休暇取得をためらってしまうことがあります。

また、属人的な業務は、短期間での引継ぎが難しく、休暇取得の妨げになります。専門知識や特殊なスキルが必要な業務や、複雑なシステムやツールを使用している場合は属人化しやすい傾向にあります。

こうした属人化を解消するためには、以下のような対策が考えられます。

  • 業務手順をマニュアル化し誰でも対応できるように業務を標準化する
  • 複数人で業務を担当し情報共有を密にするチーム制を導入する
  • 実務を通して他の従業員に業務を教えるOJT(On-the-Job Training)を実施する

調整不足による現場の混乱

連続休暇を導入する際、事前の調整が不十分だと、現場が混乱し業務が滞るリスクが高まります。その結果、急な対応が求められる従業員の負担が増え、業務効率が低下する恐れがあります。

休暇取得前に、十分な引継ぎが行われないと、残された従業員は何をすればよいかわからず、対応が遅れる可能性があります。また、休暇取得者の業務をカバーできるだけの、十分な人員がいない場合、他の従業員の負担が過剰になります。

休暇取得者と他の従業員との間で、情報共有や連携が不足すると、業務に支障が生じる可能性があります。繁忙期に連続休暇を取得する場合は、特に注意が必要でで、休暇中に緊急の対応が必要になった際に、誰がどのように対応するのかを、事前に決めておく必要があります。

こうした調整不足による現場の混乱を防ぐためには、以下のような対策が考えられます。

  • 早めに連続休暇の取得を申請し、周囲が準備する時間を確保する
  • 担当業務の内容や進捗状況、注意点などをまとめた引継ぎ書を作成する
  • 休暇取得者の業務を代わりに行う担当者を明確にする
  • 休暇取得カレンダーを活用するなど、休暇取得者の状況をチームで把握できるようにする

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連続休暇導入の進め方

連続休暇を導入することで、従業員の満足度向上や生産性向上、企業の採用力強化が期待できます。しかし、適切な制度設計や社内調整がなければ、業務の混乱や取得の偏りなどの課題が生じる可能性があります。

そのため、以下のように計画的なステップを踏んで導入を進めることが重要です。

  1. ステップ1:現状分析と課題の洗い出し
  2. ステップ2:自社に合った制度設計と目標設定
  3. ステップ3:就業規則の改定と社内周知
  4. ステップ4:取得状況のモニタリングと改善

ステップ1:現状分析と課題の洗い出し

連続休暇の導入に向けて、まず自社の現状を把握し、休暇取得に関する課題を明確にすることが重要です。業務の特性や従業員の働き方を考慮し、どのような休暇制度が適しているかを分析する必要があります。

現状の休暇取得状況や、従業員のニーズを把握することで、より効果的な制度設計が可能になります。また、制度導入によって生じる可能性のある問題点を事前に把握し、対策を講じることができます。

具体的な分析項目は以下のとおりです。

  • 従業員の年次有給休暇の取得状況(取得率、取得日数など)
  • 業務の繁閑の状況
  • 従業員の年齢構成、勤続年数
  • 従業員の休暇取得に対する意識やニーズ

ステップ2:自社に合った制度設計と目標設定

企業ごとに業務内容や人員配置が異なるため、自社の特性に合った連続休暇制度を設計する必要があります。導入の目的を明確にし、どのような制度が最適かを検討しましょう。

目標を設定することで、制度導入の効果を測定し、改善につなげることができます。制度設計のポイントは以下のとおりです。

  • 対象者: 全従業員を対象とするか、勤続年数などの条件を設けるか
  • 取得日数: 何日間の連続休暇を認めるか
  • 取得時期: いつでも取得可能とするか、特定の期間に限定するか
  • 申請方法: どのような方法で申請するのか(書面、オンラインなど)
  • 給与: 連続休暇中の給与をどうするか(有給とするか、一部有給とするか、無給とするか)

最初は短期間の連続休暇から始め、徐々に日数を増やしていくことも考えられます。また、試験的に導入し、効果を検証することも有効です。

ステップ3:就業規則の改定と社内周知

制度を円滑に運用するためには、就業規則に明確なルールを定め、従業員に理解してもらうことが不可欠です。ルールが曖昧だと、取得率が向上せず、制度が形骸化する恐れがあります。

就業規則に記載することで、制度の法的根拠を明確にし、労使間のトラブルを防止します。また、制度の内容や申請方法などを従業員に周知することで、制度の利用を促進します。

具体的な就業規則への記載事項は以下のとおりです。

  • 連続休暇の定義
  • 対象者
  • 取得日数
  • 取得時期
  • 申請方法
  • その他(給与の取り扱いなど)

従業員向けの説明会を開催し、制度の内容を詳しく説明することも有効です。制度の詳細を社内ポータルサイトで公開し、全社員がアクセスできる環境を整備することも有効です。

ステップ4:取得状況のモニタリングと改善

制度を導入した後も、取得状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて改善を行うことが重要です。制度が形骸化してしまうと、本来の目的を果たせなくなるため、定期的な評価が求められます。

制度導入の効果を把握し、目標達成度を評価します。取得状況が低い場合、その原因を分析し、改善策を検討します。以下のようなモニタリング項目を活用しながらPDCAサイクルを回し、制度をより効果的なものにしていきます。

  • 連続休暇の取得率
  • 取得日数
  • 取得時期
  • 取得者の属性(部署、年齢層など)
  • 従業員満足度

定期的に従業員アンケートを実施し、制度に対する意見や要望を収集しましょう。また、管理職や現場の従業員から、直接意見を聞くことも重要です。

連続休暇についてよくある質問

連続休暇について、よく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。

Q
連続休暇は会社の義務?
Q
連続休暇は何日まで取得させる?
Q
生理休暇を2日連続で取得させることは可能?

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勤怠管理システムを活用して実効性のある連続休暇制度を構築しましょう

連続休暇制度は、適切に導入・運用することで、従業員の働きがいを高め、企業の成長に貢献する有効な施策です。しかし、制度設計や運用には注意が必要です。特に、業務の属人化の解消や、休暇取得時の業務調整は、制度導入の成否を左右する重要なポイントとなります。

連続休暇制度の導入・運用には、従業員の休暇取得状況の正確な把握と管理が不可欠です。手作業での管理は煩雑でミスも起こりやすいため、勤怠管理システムの導入がおすすめです。

勤怠管理システムを導入することで、従業員の休暇申請・承認のオンライン化、休暇取得状況のリアルタイム把握、自動集計などが可能になり、労務管理業務の効率化に大きく貢献します。

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