「忙しくて休憩を与えられなかったので、休憩時間分の賃金を支払った」という話は珍しくありませんが、これは違法です。どうしても既定の時間に休憩できなかった場合は、別の時間に休憩を与える必要があります。
また、会社として休憩を与えているつもりでも、労働者が勝手に休憩返上しているケースもあります。このような「休憩時間が取れなかった場合」の対処法はケースによって違ってきますので、個別に検討していきましょう。
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休憩時間が取れなかったら違法?罰則は?
会社は労働基準法が定める原則に従って、労働者に休憩を与えなければなりません。休憩時間は、労働時間に応じて下記のとおり定められています。
- 労働時間8時間を超える場合は1時間
- 労働時間6時間を超える場合は45分
- 労働時間6時間以内の場合は必要なし
必要な休憩時間が与えられていない場合は、労働基準法違反に問われ6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
正社員、パート・アルバイトの区別に関係なく休憩時間は必要
労働基準法の規定では、休憩時間は勤務時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間与えなければならないとされています。
この休憩時間の規定は、正規・非正規、有期・無期などの雇用形態に関係なく適用されるため、パート・アルバイトであっても、正社員と同じように勤務時間に応じた休憩時間を与えなければなりません。
休憩時間は賃金に置き換えできない
休憩時間は、本来労働してはいけない時間です。仮に、休憩時間に働いていたことで労働時間が増えた場合は、会社は残業代を支払わなければなりません。例えば、休憩時間の直前で大口得意先から連絡があり、対応に追われて休憩時間が取れなかった時間分は、賃金として支払うがあります。
しかし、残業代を支払ったことで休憩付与の義務が免除されるわけではありません。そもそも休憩時間には賃金の発生する余地がないため、賃金で補填するという考えは認められません。
休憩付与の義務を果たすためには、別の時間帯に休憩を与える必要があります。つまり、休憩時間の穴埋めは、別の休憩時間によってのみ可能ということです。
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3つのケースで考える「休憩時間が取れなかった場合」の対処法
休憩が取れない典型的なケースとして考えられるのが、以下の3つです。
- 業務の都合上どうしても既定の時間に取れなかった場合
- 交替制の休憩だが人員不足で休憩が取れなかった場合
- 労働者が自主的に休憩を取らなかった場合
ケースに応じて対処法は異なるため、以下で詳しく解説します。
業務の都合上どうしても既定の時間に取れなかった場合
休憩時間中に取引先の対応をした、システム障害の緊急作業が入ったなど、どうしても決まっている休憩時間内に休憩が取れないケースがあります。
休憩時間は「一斉付与」の義務があり、本来は特定業種や労使協定を締結していない限り、例外なく一斉に休憩を与えなければなりません。
突発的に発生する上記のようなケースでは、終了時刻までのどこかの時間帯で、別途、決められた時間分の休憩を与えることになります。
ただし、翌日以降に休憩時間を繰り入れて付与することは認められません。たとえば、休憩時間1時間が取れなかったため、その日は休憩を与えず翌日の休憩時間を2時間とするという措置は、付与義務を果たしたことにはなりません。
交替制の休憩を与えていたが人員不足で休憩が取れなかった場合
職場の人員不足が理由で、休憩時間に抜けたくても抜けられないケースも多く存在します。しかし、要員の確保と人員配置は使用者の責任であり、現実に休憩が取れていない以上は、使用者の義務を果たしているとはいえません。
本ケースにおいても、使用者は改めて別の時間帯に休憩を与える必要があります。「休憩が取れなかった」という訴えに対して「休憩は取るように命じていた」と、付与義務を果たしていたと主張する使用者も少なからず存在します。
しかし、実際に休憩が取れていなければ違法であり、そもそも人員不足が常態化しているようであれば、早急に休憩が取れるだけの要員を確保しなければなりません。
労働者が自主的に休憩を取らなかった場合
使用者側が休憩付与義務を十分果たしていたにも関わらず、労働者が自主的に休憩を取らなかった場合は、使用者はその責任を逃れることができます。
労働者が、特に緊急性がないにもかかわらず、大口得意先の案件なので早く仕上げたいと、昼休みの休憩をとらずに作業するケースが一例です。
「休憩を取るように」指示があり、かつ業務上差し迫った状況でもないにもかかわらず、労働者が勝手に休憩を返上した場合、使用者は休憩付与の義務を十分に果たしていると言えます。
本来は使用者が、適宜休憩を取るように指示・指導する必要がありますが、外勤の労働者など管理の行き届かないケースもあり得ます。このように、自主的に休憩を返上する労働者に対しては、休憩時間分の賃金支払いを拒否できるばかりか、懲罰対象とすることも可能です。
休憩時間分の賃金を請求した場合は拒否できる
労働者が正当な理由なく、休憩の指示・指導に従わず休憩時間を返上して労働した場合は、休憩時間分の賃金支払いを拒否できます。
自主的な返上による賃金の請求が認められるのは、休憩指示に従うことで現実の業務に支障が出る場合、または使用者が自主的な返上を黙認していた場合のみです。
よって、使用者が休憩時間を取るように労働者に指示・指導徹底しており、現実に休憩が可能な状況であった場合は、休憩時間分の賃金を支払う必要はありません。
就業規則で罰則を設けることも可能
正当な理由なく使用者の休憩指示・指導に従わず、休憩返上を繰り返す労働者に対しては、懲罰対象とすることが可能です。
ただし、懲罰対象とするためには、あらかじめ就業規則の罰則事項として、下記のように具体的に記載しておく必要があります。
第〇条(休憩違反に対する懲戒)
正当な理由なく、休憩の指示・命令に従わず休憩時間に労働したときは、情状に応じ、訓戒、けん責、減給に処する。
「休憩時間が取れなかった」を無くすために、勤怠管理システム導入を
突発的な業務などによりイレギュラーな休憩が発生した場合は、Excelなどの手動での勤怠管理では対応しきれません。変形労働時間制やフレックスタイム制などの多様な残業時間管理と同様に、労働者が休憩時間を取っているかどうかの把握は、全社で一括管理する必要があります。
勤怠管理システムを導入することで、休憩の一括管理が可能になり、 休憩時間の代替付与にもフレキシブルに対応できます。
また、交替休憩制の導入や、休憩に必要な人員配置の分析にも勤怠管理システムが有効です。「休憩時間が取れなかった」というケースを無くすためにも、ぜひ勤怠管理システムの導入を検討してください。
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