次世代認定マーク(愛称「くるみん」)制度は、2022年4月に改正が行われました。
今回の改正では、これまでの認定基準が見直され、新たに「トライくるみん」が新設されました。また、不妊治療と仕事との両立に関する「プラス」制度も新設されました。
この記事では、くるみんを取得するとどんなメリットがあるのか、最新のくるみん認定基準はどう変わったのか、などについてわかりやすく解説します。
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くるみん(次世代認定マーク)とは
「くるみん」マークとは、仕事と子育ての両立支援に取り組む企業が、一定要件を満たすことで取得できる認定マークのことです。
少子化対策の一環として、仕事と子育ての両立を支援する企業を増やして、子育て世代が働きやすい環境を整えることを目的に制度化されました。「次世代育成支援対策推進法」を基に、厚生労働省が制度を管轄しています。
次世代育成支援対策推進法とは
次世代育成支援対策推進法は、くるみん制度の根拠法令です。当初は2014年3月までの時限立法でしたが、改正により2025年3月まで延長されています。2015年に続き、2022年4月にも改正され、この改正でくるみん制度が大幅に見直されました。
本法において、常時雇用する従業員が101人以上の企業は、「一般事業主行動計画」の策定・届出・公表・従業員への周知が義務づけられています。なお、従業員規模100人以下の企業はこれらの措置を講じるよう努めることとされており、努力義務にとどまっています。
くるみんマークを付けることができるもの
認定を受けたくるみんマークは、以下のような商品やサービスに使用することが認められています。なお、上位の「プラチナくるみん」以外は、マークの色を変更することはできません。
- 商品又は役務
- 商品、役務又は一般事業主の公告
- 商品又は役務の取引に用いる書類又は通信
- 一般事業主の営業所、事務所その他事業場
- インターネットを利用した方法により公衆の閲覧に供する情報
- 労働者の募集の用に供する広告又は文書
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くるみんマーク取得のメリット
くるみんマークを取得することにより、以下のようなメリットが得られます。
- 子育てサポート企業であることをPRできる
- 優秀な人材を採用・確保できる
- 生産性が向上する
- 公共調達における加点評価が受けられる
子育てサポート企業であることをPRできる
さまざまな商品やサービスにくるみんマークを付けることで、対外的に「子育て支援に積極的な企業」としてアピールできます。これにより、取引先や顧客などからのイメージアップにつながることが期待できます。
優秀な人材を採用・確保できる
優秀な人材を確保しやすくなる点も、くるみんマークの取得によって得られるメリットです。仕事と子育ての両立を重視する求職者が増えている現在において、大きなアピール材料となり、求人活動を有利に進められます。
また、エンゲージメント向上により出産や育児による離職者が減少し、社内キャリアを積んだ経験豊富な人材の流出を防止できる点もメリットです。
生産性が向上する
認定マーク取得に向けた取り組みの中で業務の効率化が行われることで、生産性が向上します。また、会社が子育てに理解があるという安心感から、仕事に対するモチベーションアップにもつながります。
公共調達における加点評価が受けられる
国や地方公共団体が実施する、総合評価落札方式や企画競争による公共調達において、優遇措置が受けられます。
具体的には、「ワーク・ライフ・バランス等の推進に関する指標」に示された基準に従い、くるみんのグレード(種類)などに応じた一定の加点が得られることになっています。
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くるみんの認定基準はどう変わった?
くるみんマークの認定を受けるためには、以下の10の基準を全て満たすことが必要です。なお、2022年4月の改正により一部基準が引き上げられています。
- 一般事業主行動計画を策定したこと
- 行動計画の計画期間が2年以上5年以下であること
- 策定した行動計画を実施し、計画に定めた目標を達成したこと
- 行動計画の外部への公表・従業員への周知を適切に行っていること
- 計画期間において、男性従業員が育児休業等を一定割合以上取得していること
- 計画期間において、女性従業員が育児休業等を一定割合以上取得していること
- 未就学児に関する制度を設けていること
- 計画期間の最終年度の労働時間について、一定基準を満たしていること
- 労働環境改善措置について、具体的な目標を定め実施していること
- 重大な法令違反がないこと
1. 一般事業主行動計画を策定したこと
雇用環境の整備について、行動計画策定指針に照らし適切な一般事業主行動計画を策定したことが必要です。一般事業主行動計画とは、従業員が仕事と子育ての両立が見込める職場環境の整備をどのように進めていくか、一つにまとめた計画のことです。
行動計画には、行動計画策定指針の「一般事業主行動計画の内容に関する事項」「1 雇用環境の整備に関する事項」の、以下に示された1項目以上が盛り込まれていることが必要です。
- 妊娠中の労働者及び子育てを行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立等を支援するための雇用環境の整備
- 働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備
2. 行動計画の計画期間が2年以上5年以下であること
次世代育成支援対策推進法は、2025年までの時限立法であるため、行動計画の計画期間を2年以上5年以下に定め、法が施行されている期間内に計画の策定・提出が必要です。
3. 策定した行動計画を実施し、計画に定めた目標を達成したこと
達成目標に応じて、以下の書類の提出が必要です。
目標 | 必要書類 |
---|---|
制度導入 | 就業規則、社内周知資料など |
数値目標 | 育休の取得状況が確認できる書類など |
制度の周知や情報提供 | 周知年月日がわかる社内周知資料など |
意識啓発 | 社会周知資料、研修実施通知・結果など |
4. 行動計画の外部への公表・従業員への周知を適切に行っていること
行動計画策定日から3ヶ月以内に、社内に通知、外部に公表する必要があります。社内通知方法としては、「事業場内の見やすい場所への掲示」「メール送信」「社内ネットワークに掲載」などがあります。
また、外部公表方法としては、「自社ホームページへの掲載」「厚生労働省が運営する『両立支援のひろば』への掲載」などがあります。
5. 計画期間において、男性従業員が育児休業等を一定割合以上取得していること
以下のいずれかを満たすことが必要です。この基準は、2022年4月改正により目標数値が引き上げられました。
- 計画期間中の男性従業員の育児休業等取得率が10%以上であり、その割合を厚労省の「両立支援のひろば」で公表していること
- 計画期間中の男性従業員の育児休業等取得率および企業独自の育児目的休暇制度利用率が、合わせて20%以上であり、その割合を「両立支援のひろば」で公表し、かつ育児休業等を取得した者が1人以上いること
なお、2022年10月スタートの「出生時育児休業(産後パパ育休)」は、育児休業にカウントします。
6. 計画期間において、女性従業員が育児休業等を一定割合以上取得していること
計画期間中の女性従業員の育児休業等取得率が75%以上であり、その割合を厚労省の「両立支援のひろば」で公表していることが必要です。2022年4月改正により、「両立支援のひろば」への公表が要件に追加されました。
7. 未就学児に関する制度を設けていること
3歳から小学校就学前の子どもを育てる労働者について、以下のような措置を講じていることが必要です。
- 育児休業に関する制度
- 所定外労働の制限に関する制度
- 所定労働時間の短縮措置または始業時刻変更等の措置に準ずる制度
「始業時刻変更等の措置」には、フレックスタイム制や時差出勤制度などが該当します。
8. 計画期間の最終年度の労働時間について、一定基準を満たしていること
計画期間の終了日の属する事業年度において、次のいずれも満たしていることが必要です。
- フルタイムの従業員等の法定時間外・法定休日労働時間の平均が、各月45時間未満であること
- 月平均の法定時間外労働60時間以上の従業員がいないこと
認定申請時にすでに退職している労働者や、労働時間の適用除外である管理監督者は、カウントしないので注意しましょう。
9. 労働環境改善措置について、具体的な目標を定め実施していること
以下のいずれかの措置について、成果に関する具体的な目標を定めて実施していることが必要です。
- 所定外労働の削減のための措置
- 年次有給休暇の取得の促進のための措置
- 短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置
計画期間前から実施されているものでも差し支えなく、また、計画期間終了時までに実施されていればよいとされています。
10. 重大な法令違反がないこと
以下の事例のような、重大な法令違反がないことが必要です。
- 男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パート・有期雇用労働法などに関して、勧告を受けた
- 労働基準法、労働安全衛生法等に違反して送検公表処分を受けた
- 長時間労働等に関する重大な労働関係法令に違反したが、是正する意思が見られない
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プラチナくるみんの認定基準
くるみんの上位認定版である「プラチナくるみん」は、PR効果や公共調達への加算割合が大きいため、認定基準もより厳しくなっています。具体的には以下のような違いがあります。
- 男性従業員が育児休業等の取得率が高く設定されている
- 労働環境改善措置について、すべて実施した上で目標を達成していることが必要
- 子を出産した女性労働者などの職場定着率が一定以上であること
- 女性労働者が活躍できる取り組みを実施していること
プラチナくるみんの認定基準については、以下の記事にて詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
新設されたトライくるみんの認定基準
「トライくるみん」は2022年に新設された新しい認定基準です。くるみんの初級認定版という位置づけで、改正前のくるみんの認定基準がそのまま適用されています。認定基準の1.~4.及び7.~10.は、くるみんと共通であるため、5.及び6.について解説します。
5. 計画期間において、男性従業員が育児休業等を一定割合以上取得していること
以下のいずれかを満たすことが必要です。
- 計画期間中の男性従業員の育児休業等取得率が7%以上であること
- 計画期間中の男性従業員の育児休業等取得率および企業独自の育児目的休暇制度利用率が、合わせて15%以上であり、かつ育児休業等を取得した者が1人以上いること
なお、「両立支援のひろば」における数値公表は、要件とされていません。
6. 計画期間において、女性従業員が育児休業等を一定割合以上取得していること
計画期間中の女性従業員の育児休業等取得率が75%以上であることが必要です。同じく、「両立支援のひろば」における数値公表は、要件とされていません。
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「プラス」マークとは
2022年4月の改正で新設された「プラス」制度とは、3種類いずれかの「くるみん」認定を受けた企業が、不妊治療と仕事との両立の取組について、一定の認定基準を満たした場合に、それぞれ「プラス」認定を追加で受けられる制度です。
認定を受けようとする「くるみん」の基準を満たした上で、以下のすべてを満たすことが必要です。
- 不妊治療のための休暇制度。及び不妊治療のために利用することができる半日単位・時間単位の有休、所定外労働の制限などの制度を設けていること
- 不妊治療と仕事との両立に関する方針、措置の内容を社内に周知していること
- 不妊治療と仕事との両立に関する研修など、労働者の理解を促進するための取組を実施していること
- 不妊治療を受ける労働者からの不妊治療と仕事との両立に関する相談に応じる担当者を選任し、社内に周知していること
くるみん認定はこれからの社会で有効
晩婚化・未婚率の上昇・労働環境の未整備などが原因で、少子化は加速しています。労働人口減少を抑えるためにも、少子化対策が急務な状況です。また、価値観の多様化に伴い、就職先にワークライフバランスを求める労働者は増えています。
くるみんマークを所得すると、子育て支援に積極的な企業としてのイメージを印象付けられます。ただし、2022年の法改正に伴い、くるみんマークの認定基準は厳しくなりました。
これからくるみんマークの取得を目指す企業は、2022年度から導入されたトライくるみんの取得から目指すのがおすすめです。トライくるみんは、2021年度版くるみんマークの認定基準が大部分で採用されています。
取得できれば、くるみんマークを取得したのと同等のPR効果が期待できます。トライくるみんやくるみんマークの取得手続きを効率的に進めるには、クラウド型勤怠管理システムの導入が有効です。
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