「プラチナえるぼし」は、女性の活躍を推進する企業の証「えるぼし」マークの上位認定版です。その認定基準は非常に厳しく、認定企業は2022年12月時点で、わずか30数社に留まっています。

では、この厳しい基準をクリアして取得することで、どんなメリットがあるのでしょうか?また、取得するためには、どんな取り組みが必要なのでしょうか?

この記事では、プラチナえるぼしの認定基準や認定企業の取り組みについて。わかりやすく解説します。

勤怠管理システムでお困りのあなたへ
・今よりも良い勤怠管理システムがあるか知りたい
・どのシステムが自社に合っているか確認したい
・システムの比較検討を効率的に進めたい

勤怠管理システムを見直したい方は、ヨウケンをご活用ください。無料でご利用できます。

プラチナえるぼしとは

プラチナえるぼしとは、女性の活躍推進について、一定の基準を満たした企業を認定する「えるぼし」取得企業の中でも、特に優良な企業を認定する制度です。2020年6月より、既存のえるぼし認定マークの上位認定版として、創設されました。

プラチナえるぼしを取得するには、えるぼしマーク取得に必要な5つの評価項目をすべて満たさなければなりません。女性管理職の比率向上や非正規から正社員への雇用転換など、キャリアアップを望める環境の整備が求められます。

プラチナえるぼしに認定されるまでのハードルは高く、2022年12月時点で、えるぼし認定企業が2,000社を超えているのに対して、プラチナえるぼし認定企業数は34社に留まっています。
参照:女性活躍推進法に係る認定状況|厚生労働省

えるぼしとは

えるぼしとは、女性のキャリアアップなどの活躍推進について、一定の基準を満たした企業を認定する制度で、認定基準達成度に応じて3段階の認定マークがあります。

「えるぼし」の「L」には「Lady(女性)」「Labour(働く)」「Laudable(称賛)」「Lead(手本)」など、さまざまな意味が込められています。

えるぼし制度の根拠法令である「女性活躍推進法」は、労働人口低下を受け、働く意欲のある女性がその能力を十分に発揮できる社会を実現することを目的に、2016年に制定されました。

「プラチナくるみん」とどう違う?

似た名前の制度に「プラチナくるみん」がありますが、こちらは、次世代育成支援対策推進法に基づいて、子育て支援に積極的な企業を認定する制度である「くるみん」の上位認定版です。

2022年4月に改正が行われ、「トライくるみん」と不妊治療支援への取り組みを認定する「プラス」制度が新設されると同時に、「プラチナくるみん」の認定基準が引き上げられ、取得へのハードルがより高くなりました。

勤怠管理システムの検討でお困りのあなたへ
・システム検討時に注意すべき点を整理したい
・システムにより効率化できる点を整理したい
・システムの運用で注意すべき点を整理したい

勤怠管理システムを見直したい方は、ヨウケンをご活用ください。無料でご利用できます。

プラチナえるぼし認定のメリット

プラチナえるぼしに認定されることで、以下のようなメリットが得られます。

  • えるぼしよりも企業イメージアップ効果が大きい
  • 優秀な人材が確保できる
  • 公共調達や公庫融資で優遇措置が受けられる
  • 行動計画の策定・届出が免除される

えるぼしよりも企業イメージアップ効果が大きい

取得した「プラチナえるぼし認定マーク」は、自社の商品やサービスに付けることができるため、女性が働きやすい職場として、取引先や顧客にアピールできます

既にお伝えしたように、2022年12月時点の取得企業はわずか34社しかないため、通常のえるぼしよりも希少アピール効果が大きいと言えます。

優秀な人材が確保できる

プラチナえるぼし認定企業であることを求人情報に掲載することで、キャリア志向が強い女性労働者やワークライフバランスを重視する女性労働者の応募数アップにつながり、優秀な人材とのマッチング率も高くなります。

また、在籍している従業員のエンゲージメントが向上することで、生産性アップや離職防止にもつながります。

公共調達や公庫融資で優遇措置が受けられる

国や地方公共団体が実施する、総合評価落札方式や企画競争による公共調達において、加点評価が受けられます。この加点評価は、えるぼしを取得することでも受けられますが、プラチナえるぼしの場合は、より大きな加点評価が受けられます

また、日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金(企業活力強化貸付)」を、通常よりも低金利で利用できます。

行動計画の策定・届出が免除される

プラチナえるぼしに認定中は、一般事業主行動計画の策定・周知・公表・届出が免除されます。一般事業主行動計画とは、女性労働者の活躍に関する現状や課題を可視化した上で、改善に向けた措置をまとめた計画書です。

採用した労働者における女性の割合や平均勤続年数の男女差など、様々な内容を盛り込まなければなりません。しかし、プラチナえるぼしに認定されている間は、「女性の活躍推進企業データベース」に実績や取り組みを記載すれば、計画書の策定や周知が免除されます。

勤怠管理システムの検討でお困りのあなたへ
・システム検討時に注意すべき点を整理したい
・システムにより効率化できる点を整理したい
・システムの運用で注意すべき点を整理したい

勤怠管理システムを見直したい方は、ヨウケンをご活用ください。無料でご利用できます。

プラチナえるぼしの認定基準

えるぼしは、5つの認定基準のクリア状況に応じて、3段階のマークがあり、さらにより高水準の要件を満たしている場合には「プラチナえるぼし」が受けられるという仕組みになっています。

以下の5つの認定基準のうち、「2. 継続就業」「4. 管理職比率」について、えるぼしよりも高い数値が求められます。

  1. 採用
  2. 継続就業
  3. 労働時間等の働き方
  4. 管理職比率
  5. 多様なキャリアコース

プラチナえるぼしの認定には、この5つの認定基準をすべて満たした上で、以下の要件も満たすことが必要です。

  • 策定した一般事業主行動計画に基づく取組を実施し、行動計画に定められた目標を達成したこと
  • 男女雇用機会均等推進者、職業家庭両立推進者を選任すること
  • 女性活躍推進法に基づく情報公表項目(社内制度の概要を除く)のうち、8項目以上を「女性の活躍推進企業データベース」で公表していること
  • 雇用管理区分ごとのその雇用する労働者の男女の賃金の差異の状況について把握したこと
  • 行動計画に定められた目標の下方修正や女性活躍推進法違反などに該当しないこと

1. 採用

以下のいずれかに該当することが必要です。

  1. 男女別の採用における競争倍率(応募者数/採用者数)が同程度であること
  2. 直近の事業年度において、次の①と②の両方に該当すること
    1. 正社員に占める女性労働者の割合が産業ごとの平均値(平均値が4割を超える場合は4割)以上であること
    2. 正社員の基幹的な雇用管理区分における女性労働者の割合が産業ごとの平均値(平均値が4割を超える場合は4割)以上であること

2.②の「雇用管理区分」とは、「総合職/一般職」や「営業職/事務職」など、職種や就業形態による区分であり、社内で特に設けていない場合は、この要件は不要です。

2. 継続就業

直近の事業年度において、以下のいずれかに該当することが必要です。

  1. 「女性労働者の平均継続勤務年数」÷「男性労働者の平均継続勤務年数」が雇用管理区分ごとにそれぞれ8割以上であること ※無期雇用労働者に限る
  2. 「女性労働者の継続雇用割合」÷「男性労働者の継続雇用割合」が雇用管理区分ごとにそれぞれ9割以上であること ※新卒として雇い入れた無期雇用労働者に限る

いずれも算出することができない場合は、「直近の事業年度において、正社員の女性労働者の平均継続勤務年数が産業ごとの平均値以上であること」を満たしていればよいとされています。

3. 労働時間等の働き方

雇用管理区分ごとの労働者の法定時間外労働及び法定休日労働時間の合計時間数の平均が、直近の事業年度の各月ごとに全て45時間未満であることが必要です。原則的には、以下の式にて算出します。

(各月の対象労働者の法定時間外労働 + 法定休日労働の総時間数の合計) ÷ 対象労働者数

ただし、上記で算出し難い場合は、以下の式にて算出することも認められています。

(各月の対象労働者の総労働時間数の合計 - 各月の法定労働時間の合計※)÷ 対象労働者数
※ 各月の法定労働時間の合計 = 40 × 各月の日数 ÷ 7

なお、みなし労働時間制(事業場外・裁量労働制)、管理監督者、高度プロフェッショナル制度対象者は、計算から除外します。

4. 管理職比率

直近の事業年度において、管理職に占める女性労働者の割合が産業ごとの平均値の1.5倍以上であることが必要です。また、産業ごとの平均値を1.5倍した数値によって、以下の要件も満たす必要があります。

  1. 1.5倍後の数値が15%以下の場合:管理職に占める女性労働者の割合が15%以上であること
  2. 1.5倍後の数値が40%以上の場合:「正社員に占める女性比率の8割の値」と「40%」のいずれか大きい値以上であること

5. 多様なキャリアコース

直近の3事業年度のうち、以下ア~エについて、2項目以上(従業員規模300人以下は1項目以上)の実績を有することが必要です。なお、非正社員がいる場合は必ずアを含むことが必要です。

  • ア. 女性の非正社員から正社員への転換(派遣の雇入れ含む)
  • イ. 女性労働者のキャリアアップに資する雇用管理区分間の転換
  • ウ. 過去に在籍した女性の正社員としての再雇用
  • エ. おおむね30歳以上の女性の正社員としての採用

勤怠管理システムの検討でお困りのあなたへ
・システム検討時に注意すべき点を整理したい
・システムにより効率化できる点を整理したい
・システムの運用で注意すべき点を整理したい

勤怠管理システムを見直したい方は、ヨウケンをご活用ください。無料でご利用できます。

プラチナえるぼし認定手続きの流れ

プラチナえるぼしの認定を受けるには、以下の流れに沿って手続きを進めます。

  1. 一般事業主行動計画の策定・届出
  2. 女性の活躍に関する情報公表
  3. えるぼし認定申請
  4. プラチナえるぼし認定申請

1. 一般事業主行動計画の策定・届出

一般事業主行動計画とは、自社の女性従業員に関する活躍状況と課題に関して把握し、改善に向けた行動計画です。以下の3ステップに沿って策定します。

  • ステップ1:自社の女性の活躍に関する状況の把握、課題分析
  • ステップ2:一般事業主行動計画の策定、社内周知、外部公表
  • ステップ3:一般事業主行動計画を策定した旨の届出

ステップ1では、以下の基礎項目に関して必ず把握することとされています。

  • 雇用管理区分ごとの、採用した労働者に占める女性労働者の割合
  • 雇用管理区分ごとの、男女の平均継続勤務年数の差異
  • 管理職に占める女性労働者の割合
  • 労働者の各月ごとの平均残業時間数等の労働時間の状況

ステップ2では、ステップ1を踏まえて、以下の項目を盛り込んだ一般事業主行動計画を策定し、労働者に周知、外部に公表します。

  • 計画期間:2年以上5年以下
  • 目標設定:最低1つは具体的な数値目標を設定
  • 取り組み内容:目標達成に向けてどのような内容の措置が必要かを記載
  • 実施時期:取り組みを始める具体的な時期

2. 女性の活躍に関する情報公表

自社の女性の活躍に関する状況を、「女性の活躍推進企業データベース」や自社のホームページ等に公表します。公表すべき項目は、以下の項目から1項目以上選択することとされています。

女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備
・雇用管理区分ごとの採用した労働者に占める女性労働者の割合
・雇用管理区分ごとの男女別の採用における競争倍率
・雇用管理区分ごとの労働者に占める女性労働者の割合(派遣含む)
・係長級にある者に占める女性労働者の割合
・管理職に占める女性労働者の割合
・役員に占める女性の割合
・雇用管理区分ごとの男女別の職種または雇用形態の転換実績(派遣含む)
・男女別の再雇用または中途採用の実績
・男女の平均継続勤務年数の差異
・10事業年度前およびその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
・雇用管理区分ごとの男女別の育児休業取得率
・労働者の一月当たりの平均残業時間
・雇用管理区分ごとの雇用管理区分ごとの労働者の一月当たりの平均残業時間(派遣含む)
・雇用管理区分ごとの有給休暇取得率・雇用管理区分ごとの有給休暇取得率

この情報公表は、従業員規模が101人以上の事業主については義務、100人以下の事業主については努力義務となっています。

3. えるぼし認定申請

プラチナえるぼし認定を受けるためには、えるぼし認定(3段階のうちのいずれか)を受けている必要があります

4. プラチナえるぼし認定申請

「基準適合一般事業主認定申請書」に以下の書類を添付して、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に申請します。申請方法は、上記窓口に持参、郵送のほか、電子申請でも可能です。

  • 計画期間に申請年月日を含む一般事業主行動計画の写し
  • ⾏動計画の目標を達成したことを明らかにする書類、行動計画の取組内容を実施したことが分かるもの
  • 行動計画につき労働者への周知及び公表を行っていることを明らかにする書類であって、その周知及び公表した日付が分かるもの
  • 基準適合一般事業主認定申請書7の実績を明らかにする書類
  • 基準適合認定一般事業主認定申請書8の公表した日を明らかにする書類であって、公表した日付が分かるもの
  • 関係法令遵守状況報告書

勤怠管理システムの検討でお困りのあなたへ
・システム検討時に注意すべき点を整理したい
・システムにより効率化できる点を整理したい
・システムの運用で注意すべき点を整理したい


勤怠管理システムを見直したい方は、ヨウケンをご活用ください。無料でご利用できます。

プラチナえるぼし認定企業の取り組み事例

ここでは、プラチナえるぼしの認定を受けた企業事例を3つご紹介します。

  • 三井住友トラスト・ビジネスサービス株式会社
  • ちばぎん証券株式会社
  • 名古屋眼鏡株式会社

三井住友トラスト・ビジネスサービス株式会社

三井住友トラスト・ビジネスサービス株式会社は、クレジットカードや不動産などに関する手続きを代行する企業です。同社は2021年2月にプラチナえるぼしに認定されました。

元々、従業員の9割が女性従業員だった一方、管理職はほとんど男性従業員が担っていました。会社合併をきっかけにプロパーの女性管理職育成に注力します。

階層別や育児休業者を対象にした研修を積極的に開催し、職場復帰後のキャリアプランが描きやすくなりました。また、正社員への転換制度や19パターンに及ぶ短時間勤務制度を導入し、多様な働き方に対応できる環境を整えました。

様々な取り組みの結果、同社の女性管理職比率は2022年12月時点で65.9%を誇ります。
参照:三井住友トラスト・ビジネスサービス株式会社
https://www.smtbs.jp/women/

係長を含めた22名は短時間勤務を利用しており、様々な働き方をイメージしやすくなっています。そして、プラチナえるぼし取得後は、ワークライフバランスを重視する学生からの応募が増加し、優秀な人材を獲得しやすくなりました。

ちばぎん証券株式会社

ちばぎん証券株式会社は、2021年8月に千葉県の企業として初めてプラチナえるぼしに認定されました。同社は女性管理職を20%以上にすることを目標に掲げました。2018年に15.1%だった女性管理職比率は、約3年後の2021年3月に21.2%まで伸びました。

同社は社内研修に加え、外部セミナーへも女性従業員に参加を命じ、スキルアップへの意欲を高めます。また、キャリアビジョンを具体的に描けるよう、長年活躍する女性従業員をロールモデルに設定して意見交換会を開催します。

様々な取り組みの結果、3年間で女性管理職比率が6%以上高まりました。また、2021度の新入従業員比率は2016年度と比べると、17%も高まりました。採用活動でも大学側からセミナーの要請を受ける機会が増え、優秀な人材を獲得できる可能性が高まっています。

同社は子育て支援にも積極的で、プラチナえるぼしを取得する前には、プラチナくるみんも取得しています。今後もワークライフバランス推進に向けた取り組みへ意欲的な姿勢を見ており、今後の動向が注目されます。

名古屋眼鏡株式会社

名古屋眼鏡株式会社は、名古屋市で眼鏡の卸売りを手掛けている企業です。2020年に東海三県の企業として初めてプラチナえるぼしを取得しました。同社は計画期間中に女性管理職を35%にする目標を掲げました。

元々、同社は結婚や出産を機に退職する女性従業員が多い企業でした。しかし、出産後も仕事を続けたい女性従業員の存在をきっかけに、職場環境の整備に取り組みます。ノー残業デーや在宅勤務を導入し、育児と仕事が両立しやすい環境を整えました。

結果、プラチナくるみんに認定され、自社のイメージアップに成功します。次に同社はプラチナえるぼし取得に向け、女性従業員が活躍しやすい環境整備に取り組みます。育休復帰後の働き方を具体的に描けるよう、出産後の体調維持に関する勉強会を開催しました。

また、女性管理職登用小チーム制の導入をおこない、女性管理職やロールモデルの増加を目指しました。結果、女性管理職の割合は35%を達成し、出産・育児・介護による離職率は0%となりました。

プラチナえるぼし取得は、大きなアドバンテージ

女性労働者が活躍しやすい環境整備に取り組む企業が増えてきました。しかし、他の国々と比較すると、明らかに環境整備は遅れています。えるぼしでもPR効果が望めますが、さらに要件が厳しいプラチナえるぼしを取得できると、大幅なイメージアップが期待できます。

しかし、育休取得率向上や残業時間削減など、プラチナえるぼし取得までのハードルは高いです。認定基準に設けられている労働時間などの定量的な要件を満たすには、勤怠管理システムの活用が欠かせません。

勤怠管理システムを導入することで、労働時間・残業時間・有給休暇の取得状況など、従業員一人ひとりの勤怠データを自動で集計できます。システムには常に最新の内容が反映されており、いつでも最新の状況を確認できます。

また、クラウド型の場合、全体的にコストを抑えられる点も魅力です。予算の確保が厳しい企業も十分導入を検討できます。

「勤怠管理システムの選定・比較ナビ」をご利用いただくと、必要な要件を満たしている勤怠管理システムの中から、自社に最もマッチングする製品を探し出せます。低コストでハイスペックな機能を搭載している勤怠管理システムを多数扱っている点も、嬉しいポイントです。

プラチナえるぼし取得に向け、勤怠管理システムの導入を検討している方は、勤怠管理システムの選定・比較ナビを是非ご利用ください。

勤怠管理システムでお困りのあなたへ
・今よりも良い勤怠管理システムがあるか知りたい
・どのシステムが自社に合っているか確認したい
・システムの比較検討を効率的に進めたい

勤怠管理システムを見直したい方は、ヨウケンをご活用ください。無料でご利用できます。