日本の有給取得率は、国際的に長年低い水準にとどまっていました。しかし、2019年4月より年間5日の有給取得が義務化により、近年は改善傾向にあります。
この記事では、有給取得率の最新の平均値やランキング、具体的な計算方法などについて、わかりやすく解説します。自社の有給取得率を算出して、平均と比べてどのくらいの位置にあるかの参考にしてみてください。
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日本の有給取得率の平均は?ランキングも改善傾向
我が国の有給取得率は、長年低い水準に留まっていましたが、2019年度より一定の従業員に対する年間5日以上の有給取得が義務づけられたことにより、最新(令和5年就労条件総合調査)の統計によると、平均取得率は62.1%と過去最高を記録しました。
内訳を見ると、従業員規模1,000人以上の企業は65.6%、30~99人の企業は57.1%となっており、大企業ほど高い傾向にあります。
また、オンライン旅行通販会社エクスペディアが行っている「有給休暇の国際比較調査2022年版」では、比較16国中14位とまだまだ下位ではあるものの、最下位は脱して改善傾向にある状況です。
年次有給休暇の付与要件
年次有給休暇は、入社から6か月間継続して勤務し、全労働日における出勤率が8割以上である労働者に対して付与されます。この「全労働日」と「出勤率」の関係については、このあともう少し詳しく見ていきますが、以下の記事からもご覧いただけます。
付与日数は、1年目のフルタイム労働者であれば原則10日で、2年目以降は継続勤務年数に応じて増えていきます。また、フルタイム労働者以外の労働者についても、週所定労働日数によって、以下のように比例付与されます。
週所定 労働日数 |
1年間の 所定労働日数 |
継続勤務年数(年) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5以上 | ||
フルタイム | 10 | 11 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 | |
4日 | 169日~216日 | 7 | 8 | 9 | 10 | 12 | 13 | 15 |
3日 | 121日~168日 | 5 | 6 | 6 | 8 | 9 | 10 | 11 |
2日 | 73日~120日 | 3 | 4 | 4 | 5 | 6 | 6 | 7 |
1日 | 48日~72日 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 | 3 |
出勤率について
出勤率は、「出勤日 ÷ 全労働日」で算出しますが、以下のような取り扱いがあります。
【全労働日及び出勤日から除外する日】
- 使用者責任による休業日
- 休日労働した日
- 正当なストライキなどの争議行為により労務が終日無かった日
- 不可抗力により休業した日
- 休職期間
【全労働日および出勤日に含める日】
- 業務上の傷病により療養のために休業する日
- 産前産後休業した日
- 育児休業または介護休業を取得した日
- 年次有給休暇を取得した日
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有給取得率の計算方法
有休休暇取得率の計算方法は、法律で明確に定められているわけではありませんが、雇用関係助成金の申請資料などに掲載されている計算式に従うのが一般的です。
全従業員の有給取得日数計 ÷ 全従業員の有給付与日数計 × 100(%)
なお、前年度からの繰越分は、取得日数に含めますが、付与日数には含めません。
取得日数として計算できる有給休暇
有給取得率を計算する際に取得日数としてカウントするのは、労働基準法第39条に定める「年次有給休暇」のみです。会社が独自に定める夏季休暇や慶弔休暇などの特別休暇(法定外休暇)は、たとえ有給扱いであっても計算には含めません。
半日単位と時間単位の有給休暇
時間単位年休は取得率の計算に含めません。2019年4月から義務化された年間5日以上の有休取得について、半日単位年休は0.5日としてカウントできますが、時間単位年休はカウントに含めないこととされています。
よって、取得率の算定にあたっても、同じく半日単位年休は0.5日取得としてカウントし、時間単位年休はカウントしないことになっています。
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有給取得率の計算について、よくある質問
有給取得率の計算について、よく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。
- Q有給取得率が100%を超えることがある?
- Q途中入社や途中退職があった場合の有給取得率は?
- Q買い取った有給休暇は、取得したものとして計算できる?
有給休暇の取得率計算は勤怠管理システムがおすすめ
有給取得率は、特に公表が義務付けられている指標ではありません。しかし、高い取得率を実現して公表すれば、「働きやすいホワイト企業」と印象付けられます。イメージアップによって、求人への応募率向上や市場での優位性獲得につなげられます。
有給取得率の計算式は単純である一方、全従業員分の取得率を算出する場合、エクセルでは正確性と効率性の担保が困難です。正確かつスピーディーに計算をするには、勤怠管理システムの導入が有効となります。
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