「4週8休」は医療系や介護系の事業場でよく採用されている勤務体制ですが、「週休2日制」とはどう違うのでしょうか?また、「4週8休」を導入するメリット・デメリットには、どのようなことがあるのでしょうか?
この記事では、事業主や労務管理者の方向けに、「4週8休」導入のポイントや変形労働時間制との関係などについて、わかりやすく解説します。
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「4週8休」とは
4週8休とは、4週間のうちに8日の休日を確保する制度で、いわゆる「変形休日制」として導入されるのが一般的です。
労働基準法では、原則的に週1日以上の休日付与が義務付けられています。ただし、業態などにより週1日の休日付与が困難である場合は、4週を通じて4日の休日付与も認められており、これを「変形休日制」を呼びます。
4週8休は介護施設や病院など、勤務時間が変則的になりやすい事業場で多数採用されている制度です。上記の業種は一般的な会社員と異なり、夜間や土日の出勤も珍しくありません。不規則な勤務体系に対応するため、休日の付与も変形休日制を採用しています。
「週休二日制」とどう違う?
「週休二日制」とは、年間を通じて月に1回以上は休日2日の週がある制度を指します。「第1週のみ週休2日で、他の週は週休1日」「基本的に週休2日だが、最終週のみ週休1日」など、さまざまなパターンが考えられます。
また、「完全週休二日制」は、年間を通じて必ず週2日の休日が確保されている制度を指します。土日休みのように休日が固定されているパターンと、シフトにより週ごとに休日となる曜日が変わるパターンがあります。
「週休二日制」でも「完全週休二日制」でも、原則的な「週1日以上の休日」は確保されています。対して「4週8休」は、4週という期間トータルでみた場合の休日数は「完全週休二日制」と同じですが、休日が1日も無い週が発生しうる点で、違いが生じます。
「4週8休」の年間休日数は?
4週8休の年間休日(365日の場合)は、計算式「365日 ÷ 28(7日 × 4週)× 8日」で、104~105日になります。これは「完全週休二日制」の年間休日数とほぼ同じ日数ということになります。
なお、会社が別途定める夏季休暇や年末年始休暇がある場合は、105日より多くなることがあります。
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「4週8休」を導入するメリットとデメリット
4週8休を導入した場合のメリット・デメリットを下記にまとめました。
「4週8休」を導入するメリット
メリットとしては、まず労働生産性の向上が期待できる点が挙げられます。後ほど詳しく解説しますが、4週8休は「変形労働時間制」と併用されるのが一般的で、業務の繁閑に応じて週の所定労働日数や1日の所定労働時間が変動します。
よって、業務にメリハリがつきやすく、無駄な労働時間が発生しにくくなり、全体の生産性が向上します。
毎週決まった土日休みよりも、上記のような働き方を好む労働者も少なくないため、求人の際にも一つのアピールポイントとなり得ます。
また、従業員にとっては、相対的に三連休や平日休みが増える可能性があり、レジャー施設などの混雑を避けられるというメリットもあります。
「4週8休」を導入するデメリット
デメリットとしては、規定の整備が必要になる点が挙げられます。変形休日制や変形労働時間制の導入には就業規則への規定が必要で、変形労働時間制は対象期間によってさらに労使協定の締結が必要となる場合もあります。
また、シフト表や休日カレンダーの作成など、労務管理の負荷が大きくなります。さらにシフトによっては「休み無しで10連勤」などのようなケースも発生するため、過重労働に陥りやすい点もデメリットと言えるでしょう。
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「4週8休」導入のポイントと注意点
4週8休を導入するに当たっては、以下のような点に注意しましょう。
- 「4週8休」の導入手続きの流れ
- 導入前に把握しておくべきポイント
- シフト管理や残業管理のポイント
- 「4週8休」と変形労働時間制
「4週8休」の導入手続きの流れ
まずは「変形休日制」の導入が必要なのか検討します。先にご紹介したように、変形休日制は原則的な週1日以上の休日付与が困難である場合に、例外的に認められる制度です。よって、週に必ず1日は休日が確保できるのであれば、変形休日制は不要ということになります。
変形休日制が必要である場合は、労働基準法の規定に基づいて、就業規則に制度を規定します。就業規則には変形休日制を採用する旨に加えて、その「起算日」も定めておく必要があります。
起算日は特定の日付でなければならず、たとえば「2023年4月1日より起算する」のように定めます。この場合は「4/1~4/28」「4/29~5/26」などの各サイクルで8日ずつの休日を設定することになります。
変更後の就業規則は、労働基準監督署に変更届を提出し、事業場内の労働者に周知しておきましょう。
導入前に把握しておくべきポイント
年間休日を何日にするかを明確化しておくことが重要です。4週8休の年間休日は104~105日が最低ラインで、祝日の扱いや特別休暇の付与によって大きく変動します。
祝日を休日扱いとし、夏季休暇や年末年始休暇を数日間休日とした場合、年間休日は120日以上となります。近年は、ワークライフバランスやプライベートの時間を重視する労働者が少なくありません。
離職率低下や求人への応募率を高めるためにも、一つの目安として120日前後の年間休日を確保しましょう。また、有給休暇の取得状況にも注視しなければなりません。
2019年の働き方改革関連法施行にともない、年10日以上有給休暇を付与される労働者は、5日以上の休暇取得が義務化されました。取得対象者が5日間の有給を取得できなかった場合、未達成1人につき30万円の罰金が科せられる可能性があるため、注意しましょう。
週3日以上勤務している労働者は、取得義務化の対象となる可能性が高いため、取得状況を細かく管理しなければなりません。
シフト管理や残業管理のポイント
シフト表は早めに作成し、従業員へ周知することが重要です。また、急病などによるシフト変更に柔軟に対応できるよう、代替要員も含めてできる限り人員には余裕を持たせましょう。
また、法定労働時間を超える残業や休日労働を命じるには36協定が必要ですが、36協定を締結・届け出していても、残業時間には上限が設定されており、この上限規制は「4週8休」であっても変わりません。
「4週8休」と変形労働時間制
4週8休は週の法定労働時間を超過する可能性が高く、変形労働時間制と並行して運用するのが一般的です。
変形労働時間制は、業務の繁閑に応じて週の所定労働日数や1日の所定労働時間を変動させる制度です。変形労働時間が適用される場合、対象期間内の週平均労働時間が法定労働時間内に収まっていれば、原則の法定労働時間を超過しても時間外労働扱いになりません。
なお、並行して運用するのが一般的とは言え、4週8休と変形労働時間制はそれぞれ独立した別の制度であり、特に1サイクルが4週間と1ヶ月(または1年)と異なる点に注意が必要です。
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「4週8休」は、メリットとコストのバランスが重要
4週8休はメリットも十分望める制度である一方、従業員への負担が大きい制度です。場合によっては1週間休日が確保できない場合もあります。シフト勤務や交代勤務を導入している場合、体内時計を整えるのが難しく、疲労が蓄積しやすくなります。
また、4週8休は週の法定労働時間を超える可能性が高く、変形労働時間制との併用が前提です。労使協定の締結・就業規則の整備・労働基準監督署への提出などをしなければなりません。簡単に導入できる制度ではないため、事前に準備を重ねておくことが重要です。
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