本記事では、「休暇」について、どのような種類があるのか知りたいとお悩みの方に向けて、法定休暇と特別休暇(法定外休暇)について分かりやすく解説しています。企業が一般的に取り入れている休暇や日数の一覧もまとめています。会社ごとに定めている休暇や名称、有給や無給などは異なる部分は、勤務先の就業規則を確認してください。
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法定休暇と特別休暇の違い
法定休暇とは
法定休暇とは法律で定められた休暇のことで、企業は従業員から請求があった場合は必ず法定休暇を与える義務があります。例えば、法定休暇の代表である年次有給休暇は、勤続年数や所定労働日数に応じて付与される有給休暇であり、賃金を保障しながら労働が免除されます。
労働基準法や育児・介護休業法といった法律で定められた休暇にも、「有給」ではなく「無給」の休暇があります。 そのため、企業の判断によって、有給にするか無給にするかを決められます。
特別休暇(法定外休暇)とは
特別休暇(法定外休暇)とは、企業が独自に定めた休暇であり、法律上、絶対に与えなければいけない義務はありません。例えば、リフレッシュ休暇や結婚休暇などは法定外休暇であり、これらは企業独自の福利厚生として用意された休暇です。
法的な義務がない休暇なので、それを有給にするのか無給にするのかは、企業が自由に決めることができます。
休暇と休業の違いは、法律上は明確な定義はありません。どちらも「本来労働義務のある日の労働が免除される」ものですが、「休暇」が時間単位・半日単位・1日単位で取得するものであるのに対して、「休業」はそれよりも長い単位つまり最短1日から数ヶ月にわたって連続して取得すること多いという特徴があります。
法定休暇の一覧
それでは法定休暇について、それぞれの概要を解説します。どんな時に取得するお休みなのか、ざっくりと理解を深めていただき、より詳しい制度内容を知りたい方は、リンクよりそれぞれの解説記事をご覧ください。
年次有給休暇(労働基準法第39条)
年次有給休暇とは、賃金を保障しながら所定労働日の労働が免除される制度のことです。「年次」とあるように、1年ごとに一定の日数が与えられます。年次有休、年休、有休、有給休暇などと略称で呼ばれることも多い休暇です。
入社から継続して6ヶ月勤務し、全労働日の8割以上出勤していれば、10日間(フルタイム社員の場合)の休暇が与えられ、1年経過するごとに取得できる休暇が増えます。勤続年数に応じて1年で最大20日まで付与されます。
生理休暇(労働基準法68条)
生理休暇は、生理日の就業が著しく困難な女性が請求したときに、与えられます。雇用形態や勤務形態を問わず、すべての女性労働者が取得可能で、就業規則や労使協定により、生理休暇を取得できる労働者の範囲を制限することは認められません。
日数については、上限・下限ともに法に規定はなく、請求があったらその都度付与されるものとされています。就業規則等で取得可能日数や月ごとの取得回数に上限を設けることは認められません。
取得単位は1日単位に限らず、従業員の希望に応じて半日単位または時間単位での取得も認められます。
妊娠休暇・通院休暇(男女雇用機会均等法第12条)
妊娠中の従業員から健康診査の要望があった場合、企業側は移動時間を含めて通院時間を十分に確保する義務があります。妊娠週数に応じて、回数は異なります。全日/半日/時間で取得できるのか、有給・無給は企業の判断に委ねられています。
産前産後休業(労働基準法68条)
産前産後休業とは、出産の前後において取得できる休暇のことで、正確には産前休業と産後休業に分かれています。産休と呼ばれることも多いです。
産前休業は出産予定日の6週間前(双子以上の多胎妊娠の場合は14週間前)から利用できる制度です。本人から請求があれば必ず取得させる必要がありますが、本人が産前休業を希望しない場合は強制的に休ませる制度ではないため、直前まで就業してもらっても違法とはなりません。
一方で産後休業については、出産日翌日から8週間が経過するまでは、原則的に就業は認められません。産前休業とは異なり強制力があるため、本人が産後休業を希望していないことを理由に就業させることはできません。
ただし、産後6週間が経過した従業員が職場復帰を希望した場合は、医師が差し支えないと認めた業務に限って、就業が認められます。
雇用形態や雇用期間による取得要件はなく、パートやアルバイト、管理監督者などすべての女性従業員が取得可能です。
産前産後休業は、その他にもさまざまなルールがあります。出産手当金や社会保険料の免除など、詳細を知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
子の看護休暇(育児介護休業法第16条)
子の看護休暇は、小学校入学前の子どもがケガや病気をした場合、通院や看病などを理由に取得できる休暇のことです。取得日数は年間5日で、未就学児を2人以上養育している場合は最大10日まで取得可能です。
2021年1月の改正法施行により、それまで1日単位もしくは半日単位のみ認められていた子の看護休暇が、時間単位で取得可能になりました。
介護休暇(育児介護休業法第16条)
介護休暇とは、要介護状態になった両親や兄弟などをサポートするため、事業主に申し出ることにより取得できる休暇です。取得可能日数は1年度につき5日までで、対象となる要介護家族が2人以上の場合は、10日まで取得可能です。
2021年1月からは、子の看護休暇と同様に、時間単位での取得も可能となりました。似た名前の制度に「介護休業」がありますが、取得日数や公的収入保障などに違いがあります。
出生時育児休業(育児介護休業法第5条)
出生時育児休業とは、従業員が子どもの出生から8週間以内に、最大4週間まで取得できる育休制度です。現行の「パパ休暇」制度に代わって、2022年10月からスタートする新制度です。
「子供の出生から8週間以内」という期間が、女性労働者の産後休業と時期が重なることから、「男性版産休」などと呼ばれることもあります。
分割取得できる点や、休業期間中の就業が一部認められる点が、大きな特徴となっています。
育児休業(育児介護休業法第5条)
育児休業とは、子どもを育てるために1歳になるまで連続して取れる休業のことです。基本的には、雇用形態や性別を問わず取得が可能です。
取得期間は、女性従業員であれば産後休業終了翌日から、男性従業員であれば出産予定日から1歳になるまでの間で、申し出た期間分取得することになります。
育児休業期間中は公的経済支援として、「育児休業給付金」と「社会保険料の免除」が受けられます。
介護休業(育児介護休業法第11条)
介護休業とは、要介護状態になった両親や兄弟などの介護のため、事業主に申し出ることにより取得できる休業のことです。対象家族1人につき通算93日、3回まで分割して取得可能です。
絵画休業期間中は公的経済支援として、「介護休業給付金」が受給できますが、育児休業と異なり社会保険料は免除されません。
裁判員休暇(労働基準法第7条)
裁判員休暇は、裁判員として選出されて参加する場合、必要な日数・時間取れる休暇です。法定休暇として明記されているわけではありませんが、労働者の「公民権の行使」を保障した労働基準法第7条を根拠に認められるとされています。
裁判員に専任されると、仕事を理由として辞退が難しいため、裁判員として職務に応じて労働を免除する必要があります。また、裁判員休暇ではなく「公職就任休職」として、ある程度まとまった期間休職させる会社もあります。
なお、裁判員休暇が有給か無給かは企業の判断に委ねられています。
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特別休暇の一覧
ここからは特別休暇(法定外休暇)について、それぞれの概要を解説します。冒頭にお伝えしたように、特別休暇は企業独自の福利厚生なので、独自の運用ルールで様々な休暇を採用している企業もあります。
その中でも、本記事では夏季休暇や結婚休暇など、多くの企業や従業員にとって参考になりそうな休暇を選んで解説しています。実際に特別休暇を取得する際には、就業規則を確認して対応してください。
夏季休暇
夏季休暇とは、8月のお盆休みに取得できる休暇のことです。企業によって7月や9月にずらして取得する取り組みをしていることも。夏季休暇は、有給休暇を消化する対応にしているケースや、有給休暇とは別で特別休暇として与えられるケースがあります。
年末年始休暇
年末年始休暇とは、大晦日やお正月といった年末年始の時期に取得できる休暇のことです。夏季休暇と同様、企業によって有給消化とする場合と、特別休暇として全従業員に付与する場合があります。
結婚休暇
結婚休暇とは、従業員本人が結婚する場合に取得できる休暇のこと。企業によって詳細は異なりますが、新婚旅行や新生活の準備を想定して、5日~7日程度の連休を取得できるケースが一般的です。
忌引休暇
忌引休暇は、従業員本人の配偶者や身内に不幸があった場合に取得できる休暇のこと。一般的には、従業員本人との続柄に応じて、1日~7日程度の休暇を与えることが多いです。
リフレッシュ休暇
リフレッシュ休暇とは、勤続年数が長い従業員が取得できる休暇のこと。企業によって詳細は異なりますが、3日~7日程度の休暇を10年・20年といった節目の年に取得できるケースが多いです。
アニバーサリー休暇
アニバーサリー休暇は、従業員や家族の誕生日や結婚記念日などに取得できる休暇のことです。アニバーサリー休暇は、メモリアル休暇と呼ばれることもあります。
似たような休暇で誕生日(バースディ)休暇がありますが、誕生日休暇の場合、従業員本人の誕生日1日だけが対象となるケースが多いため、家族の様々な記念日に取得できるアニバーサリー休暇を取り入れる企業が増えているようです。
妊娠休暇(通院休暇)
妊娠休暇とは、妊婦自身やお腹の中の赤ちゃんの健康のため、妊婦中に体調が悪い時などに使える休暇のことです。つわり休暇と呼ばれることもあります。
法定休暇の項で解説した「妊娠休暇(通院休暇)」に、プラスアルファする形で導入していることが多いようです。
私傷病休暇
私傷病休暇とは、仕事以外でのケガや病気により、勤務できない従業員が、回復するまで取得できる休暇のこと。業務上のケガや病気ではないため、一般的に無給となるケースが多いです。
私傷病休暇の場合は、一定要件を満たすことで健康保険から「傷病手当金」が支給される可能性があります。
サバティカル休暇
サバティカル休暇とは、ある程度継続勤務年数のある労働者に対して、1ヶ月以上から1年程度の長期休暇を与える休暇のことです。元々はヨーロッパで広く利用されていた制度ですが、近年は日本企業でも、労働者のワークライフバランスの向上や、働き方の多様化を実現させる意味で注目されています。
ボランティア休暇
ボランティア休暇とは、ボランティア活動への参加を希望する労働者に対して、その活動時間を確保するため与える休暇のことです。基本的に有給としながらも、一定日数を超えた場合は無給とする制度が多く見られます。
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特別休暇制度の導入状況
ここまで、法定休暇と法定外休暇(特別休暇)にはどんな種類があるのか、一覧でご紹介しました。それでは、法的な義務がない特別休暇は、実態として企業にどれくらい取り入れられているのでしょうか。厚生労働省の『令和2年就労条件総合調査』の結果をもとに、特別休暇の導入状況を見ていきます。
特別休暇のある企業は58.9%
早速データを見てみると、特別休暇制度を取り入れている企業は58.9%。前回の平成31年調査では59%だったため、わずかに減少しています。
従業員規模が大きくなるほど、特別休暇を採用している割合は高くなります。しかし、1,000名以上の大企業でも、特別休暇制度がない企業が23.6%もあることは驚きました。
くわしく内容を見てみると、多くの企業が採用している印象だった夏季休暇でさえ、50%に満たない実態が浮き彫りに。昨年の調査結果と比較して、増加傾向だったのは、1週間以上の長期休暇です。用途を指定しない連休を特別休暇として取り入れ、従業員数の多様性を尊重する時流が反映されているのかもしれません。
出典:厚生労働省『令和2年就労条件総合調査』
勤怠管理システムで、さまざまな休暇に対応可能
休暇制度は、会社に付与が義務付けられる法定休暇と、法に規定がない特別休暇があります。このうち、特別休暇については、会社によってさまざまな制度やルール設定が考えられ、柔軟な制度設計や運用が求められます。
勤怠管理システムを導入することで、さまざまな休暇制度に応じて柔軟に勤怠管理ができるため、従業員の積極的な制度利用に繋がります。
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