就業規則上の「休憩時間」でも、実態によって労働時間とみなされ、残業代が発生する可能性があります。また、残業時間の発生に伴い、追加の休憩が必要となるケースもあります。

この記事では、「休憩自由利用の原則」の観点から、休憩時間を労働時間とみなされないためにどうすればよいのかを解説します。また、残業が発生した場合、追加で残業が必要なのかというテーマについても解説します。

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4つのケースで考える、休憩時間と残業代

休憩時間には「自由利用の原則」があり、適用除外の業種を除いて、労働から完全に解放されていなければなりません。

「自由に利用させていない」とみなされる場合は、休憩時間ではなく労働時間として扱われ、時間分の賃金だけでなく、残業代が発生する可能性があります。

休憩時間と労働時間のどちらに該当するのかについては、個別に判断が求められる場面も出てきますが、典型例として以下の4つのケースが挙げられます。

  1. 休憩時間に顧客対応や手待ち時間が発生している
  2. ランチに上司が同席し、仕事の打ち合わせをする
  3. 休憩時間が細切れ過ぎる
  4. 労働者が勝手に休憩時間を削って働いた

ケース1:休憩時間に顧客対応や手待ち時間が発生している

「手待ち時間」とは、労働者が業務時間中に手が空いたものの、労働から完全に離れずに待機している時間のことです。手待ち時間は、外見上は労働者は仕事をせずに休憩しているように見えます。

しかし、来客があったり作業が発生したりすると、すぐに対応する必要があるため、休憩しているように見えても、労働から完全に解放されているとは言えません。

使用者の一定の指揮監督下に置かれている状態であるため、手待ち時間は労働時間とみなされます。代表的な手待ち時間には、以下のようなものがあります。

  • 接客業の店番
  • 電話当番
  • 来客応対待機
  • タクシー運転手の客待ち
  • 宿直の仮眠時間

ケース2:ランチに上司が同席し、仕事の打ち合わせをする

昼休みのランチの場に上司が同席し、食事をしながら仕事の打ち合わせをする場合は、労働から解放されているとは言えず、労働時間とみなされます。

長年の慣習で無意識にやっている管理監督者も多く、また実際のランチの場で部下から「休憩中なので、仕事の話は止めてください」などとは言いづらい状況です。

会社としては、管理監督者に対して「休憩中は雑談レベルを超えるような仕事の会話は控えるように」と、周知・指導しておくのが無難です。

休憩時間も有効活用したいという狙いも理解はできますが、労働者にとっては「メリハリのない職場だ」と感じる要因にもなります。

ケース3:休憩時間が細切れ過ぎる

休憩時間は分割して与えることができますが、あまりに細かく分割された場合は、トータルでも有効な休憩時間とは認められません。

例えば、1時間の休憩を12分割して5分ずつ与えるという方法は、「労働者の心身疲労回復」という休憩の本質を失っており、認められない可能性が極めて高いです。

また、休憩時間の自由利用が著しく制限されるようになり、労働から完全に解放されているとも言えません。

1時間を分割するにしても「前後半30分ずつ」「ランチタイム45分、15時に15分」といった具合に、常識的な範囲で分割するのが無難です。

ケース4:労働者が勝手に休憩時間を削って働いた

使用者が「休憩を取るように」指示・勧奨しており、現実に休憩が取れる状況であったにも関わらず労働者が勝手に休憩返上で労働した場合は、休憩時間とみなして問題ありません。

ただし、労働者が休憩時間を返上して働いている状態を、使用者が黙認・放置していた場合は、労働時間とみなされます。

また、使用者から「休憩を取るように」指示・勧奨はあったものの、来客対応など現実的に休憩を取れる状況に無かった場合も、労働時間とみなされます。

本ケースの場合、勤怠管理システムで一律に休憩時間を差し引く設定にしておき、どうしても休憩できなかった労働者のみ、別途休憩を取らせてからデータ修正する方法をおすすめします。

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残業で休憩が必要になった場合の効果的な与え方

残業に伴う休憩が問題になるケースは、以下の3つがあります。

  1. 所定労働時間6時間以内で、もともと休憩時間がなかったが、残業が発生したことで休憩時間が必要になった
  2. 所定労働時間8時間以内で、法定の休憩時間45分を与えていたが、残業が発生したことでさらに15分の休憩時間が必要になった
  3. 法定の休憩時間1時間を与えていたが、労働時間が8時間を超えた時点で任意で休憩を与えるべきか

以下ではケース3について解説します。ケース1、ケース2についての詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。

休憩時間が残業時間の削減につながることも

法定外の休憩付与が、残業時間の削減につながることもあります。

労働基準法では、長時間労働の場合でも1時間以上の休憩を付与する義務はありません。
よって、残業時間が1時間程度に収まるのであれば、そのまま残業させても問題はありません。

ただし、ある程度長時間の残業が見込まれる場合は、残業に入るタイミング近辺で任意の休憩を与えることで、結果的に残業時間の削減につながる可能性があります。

例えば、所定労働時間9時~18時、休憩時間12時~13時の事業場で残業が発生し、そのまま休憩なしで終業時刻が21時になったケースで考えてみます。

最終的に3時間の残業が発生していますが、長時間の連続勤務による疲労の蓄積や集中力の低下で作業効率が落ち、3時間かかったとも考えられます。

そこで、18時~18時30分の間で30分の休憩時間を設け、心身のリフレッシュを図ります。休憩の効果により、仮に2時間半で残業が終了できたとすれば、同じ21:00の終業時刻でも残業時間は30分削減できたことになります。

もちろん、法定外休憩の効果は、労災事故などの防止の観点でも有効といえます。こうした人為的な運用はシステマティックとは言えませんが、生産性向上には効果を発揮する場合があります。

残業絡みの休憩トラブルを無くすために、勤怠管理システム導入を

勤怠管理システムは、休憩時間のように原則一律に取り扱うべき事項の管理には、特に導入効果を発揮します。

また、残業に突入した時点で休憩が必要になれば、自動的に休憩時間を計上してくれる機能を備えた勤怠管理システムもあります。「残業時間に合わせた適切な休憩時間の設定」のためにも、勤怠管理システム導入を検討してはいかがでしょうか。

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