テレワークを導入するにあたって、「従業員の労働時間把握や残業管理はどうしたらいいの?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、テレワークにおける残業や中抜けの扱い方や勤怠管理について、わかりやすく解説しています。ぜひご参考にしてください。
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テレワークという新しい働き方
テレワークは、時間や場所を有効活用できる柔軟な働き方。そのため、子育てや介護と仕事が両立しやすくなるとともに、ワークライフバランスを充実させることにもつながります。
多様な人材が仕事で能力を発揮しやすくなる新しい働き方として、政府も積極的に推進しているのです。
テレワークとリモートワークの違い
テレワークは英語で「telework」と表記し、「tele=離れたところ」と「work=働く」を組み合わせた造語です。言葉の通り、オフィスから離れたところでネットワークを活用して働くことをテレワークと言います。
似たような言葉で、最近よく耳にするようになったリモートワーク。リモートワークは英語で「remotework」と表記し、「remote=遠隔・遠い」と「work=働く」を組み合わせた造語です。遠くで働くという意味から、テレワークとリモートワークはほぼ同じ意味と考えていいでしょう。
このように、テレワークとリモートワークに明確な線引きはありませんが、テレワークの方が古くから使われている言葉であり、政府もテレワークという表現に統一しているため、本記事でもテレワークと表現します。
混同されがちな在宅勤務について
新型コロナウィルスの影響により、外出自粛や出勤率の削減といった方針が打ち出される中、急速に普及しているのが在宅勤務。在宅勤務は言葉通り、従業員の自宅で仕事をすることです。
リモートワークやテレワークは、インターネット環境があれば働く場所の指定はないことが多いのに対して、在宅勤務は自宅で働くことをピンポイントに指します。
企業によっては公共施設やカフェで仕事をすることで、情報漏洩・感染症のリスクがあるとし、在宅勤務のみ認めているケースもあるようです。
テレワークでも残業代を払う義務がある
それでは実際にテレワークを導入するとしたら、残業の扱いはどうなるのでしょうか。
結論からお伝えすると、テレワークで働く場合でも、出社して働く場合と同じく労働基準法が適用されます。そのため、企業は時間外労働を行なった従業員に対して、残業代を支払わなくてはいけません。
その他、深夜残業や休日労働についても、通常業務と同じく割増賃金を支払う義務があります。また、テレワークでも最低賃金が適用されますので、自宅で作業してもらう場合でも都道府県ごとの最低賃金を厳守しましょう。
時間外労働、深夜労働、休日労働
基本的に、1日8時間もしくは週40時間の法定労働時間を超える労働は時間外労働(法定外残業)となり、25%の時間外割増賃金を加算した賃金を支払う必要があります。
また、法定労働時間を越えていなくても、所定労働時間を超える労働(法定内残業・所定外残業)に対しては、超過時間分の基礎賃金を支払う必要があります
なお、時間外労働と割増賃金については、変形労働制やフレックスタイム制、裁量労働制など、さまざまな例外規定があります。こうした制度のもとでテレワークを運用する際は、以下の記事を参考にしてみてください。
深夜22時から翌5時までの労働に対しては、25%の深夜割増賃金が発生します。この深夜割増賃金は、労働時間数と関係なく「労働時間帯」に着目した制度であるため、先に挙げたフレックスタイム制や裁量労働制においても、同じように適用されます。
また、法定休日に労働が発生した場合は、35%の休日割増賃金を加算した賃金の支払いが必要となります。法定休日とは、週1日もしくは4週に4日確保すべきとされる休日のことで、週休二日制の会社の場合は、片方が法定休日、もう片方が所定休日となります。
残業時間を把握する方法
2019年4月の働き方改革関連法施行により、企業には「労働時間の客観的な把握」が義務付けられました。そして、この義務はテレワークであっても同じように必要とされます。
毎日出社して働いていれば、従業員が残業しているかどうか分かりますし、声かけもしやすいでしょう。しかし、テレワークをしていると、残業の実態がつかみにくいという課題があります。
そんな企業が、従業員の残業時間を把握するために取り組んでいる方法には、どんなものがあるのか具体的に見ていきましょう。
残業管理はあらかじめ決めておく
残業時間を把握する方法として、最もポピュラーな方法は「業務日報」です。業務日報を活用すれば、管理者と従業員の間で、労働時間・残業時間・業務内容の情報共有ができます。
他にも、テレワークで残業を行なう場合は、メール・チャットツールのやり取りで、客観的記録を残す方法もあります。
ただし、メール・チャットで労働時間を報告することに慣れていない従業員も多いため、フォーマットや送信頻度など、あらかじめルールを決めておくことが大切です。
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テレワークによる長時間労働対策事例
テレワークは、「通勤時間の削減」「ワークライフバランスの充実」といったメリットが期待される一方で、管理者と従業員が離れていることで管理が行き届かないことも。
在宅勤務をしていると「効率的に終わらせて、早く家に帰る」という意識が薄れてしまう…といった声もあり、長時間労働を招く恐れがあることも課題です。
それでは、テレワークでの長時間労働を防ぐには、どうしたらいいのでしょうか。4つの方法をご紹介します。
時間外のメールや電話を制限する
テレワークで時間外労働が発生してしまう大きな要因として、時間外・深夜・休日のメールや電話対応が挙げられます。
離れた場所で働いているため、メールやチャットでコミュニケーションを取ることは大切です。しかし、出勤してオフィスで働いている時であれば「今日は帰ったようだから、明日また伝えよう」となるところ、メールやチャットは時間外でも気軽に送信できてしまいます。
特に、上司から部下へ時間外に連絡すると、部下は無視するわけにはいかないので、残業しながら対応してしまうこともあるでしょう。そのため、会社として「時間外・深夜・休日のメールや電話は自粛する」といったルールを決めることが大切です。
自社システムへのアクセスを制限する
テレワークを行なう場合、企業の社内システムに、自宅など外部のパソコンからアクセスすることが多いと思います。その社内システムへ、24時間いつでもアクセスできてしまうと、時間を気にせず夜遅くまで仕事を続ける要因にもなりかねません。
そこで、深夜や休日には外部から社内システムへアクセスできないように、あらかじめ設定しておくことをおすすめします。制限時間までに終わるよう、効率的に仕事へ取り組んだり、無理な業務量を抱えることを防止することにつながり、長時間労働の抑制に有効です。
テレワークでの残業を申請制または禁止にする
業務効率化やワークライフバランスの実現の観点からテレワークを導入する場合は、その趣旨を踏まえて、思い切って残業自体を原則禁止にすることも一つの方法です。
在宅勤務が続くと、仕事とプライベートの境界線が曖昧になり、時間外や休日に働いてしまうこともあるためです。
ただし、残業を原則禁止とした場合でも、残業が発生する可能性がある以上は時間外労働に関する労使協定いわゆる「36協定」の締結が必要です。また、残業許可制にする場合でも、申請ルールなどについて計画的な準備や周知徹底が必要でしょう。
また、新型コロナウィルスの影響でテレワークを導入した企業においては、従業員を順番にテレワークさせることで出勤率を減らして、職場の密を防いでいる企業もあります。
この場合、例えばテレワークが週2回あるなら「テレワークの日は残業禁止」と決めておくだけでも、労務管理が楽になります。
長時間労働に陥りそうな従業員へ個別アラート
ここまで解説したような様々な対策をとっても、長時間労働となっている従業員がいる場合は、個別に注意喚起が必要です。
具体的には、管理者が日報や勤務表を確認して、電話や面談を行なうこと。他には、勤怠管理システムの機能を活用して、時間外労働が一定の水準を超えたら、自動で警告メッセージを表示させるといった方法もあります。
テレワークにおける勤怠管理を上手にするには
ここからは、これからテレワークを導入する企業の皆様が気になるであろう、テレワークの勤怠管理について、具体例を交えて解説していきます。
残業を申請制にする
テレワークをしている従業員が残業する場合は、上司の許可を得ると決めておくことをおすすめします。部下から上司へメールや電話にて、残業をする理由や業務内容、終了予定時刻などを連絡してもらいましょう。
残業を許可制とすることにより、上司は部下の仕事の進捗状況を把握できますし、急ぎではないと上司が判断すれば残業を中止させることも可能です。
ただし、従業員数が多い企業においては、上司の電話・メール対応が煩雑になるため、連絡ルートの統一や、勤怠管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
業務報告やオンライン夕礼の活用
テレワークを導入する際は、職場の人同士のコミュニケーションの機会を意図的に作らないと、従業員が自分の仕事だけに集中してしまい、従業員同士の連携が必要な仕事が円滑に進まない場合があります。
そんな時におすすめなのが、オンライン夕礼の活用です。オンライン夕礼では、その日の業務内容やメンバーへの共有事項、残業の有無を一人ひとりに発表させることで、情報共有を効果的に行なうことができます。
あまり人数が多すぎると時間がかかってしまうため、部署単位・チーム単位など、適切な人数で行なうことがポイントです。
勤怠管理システムを導入する
クラウド上で管理できる勤怠管理システムを導入すると、テレワークの勤怠管理がとても楽になります。クラウド型の勤怠管理であれば、従業員がインターネットにつながる環境にいれば、いつでも始業開始・終了の打刻が可能です。
管理者側も、従業員の労働時間や残業時間をタイムリーに把握することができるため、長時間労働の抑制や、残業が続いている従業員へのアプローチが早期にできます。
無理のない労働環境への改善や、従業員の離職防止といった観点からも、勤怠管理システムを導入する企業が増えています。
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テレワークにおける休憩や中抜けについて
最後に、テレワークにおける休憩や中抜けの扱いについて、解説します。テレワークでも出勤して働く時と同じように、労働基準法が適用されることは先に解説した通りです。
そのため、テレワークであっても、1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、労働時間が8時間を超える場合には60分以上の休憩時間を取得させる義務があります。
在宅勤務での休憩の取り扱いについて
テレワーク中の休憩時間の管理方法としては、勤怠管理システムを導入していれば、休憩の打刻をしてもらうだけです。
勤怠管理システムを導入していない企業の場合は、休憩を適切に取得しているか分からないため、チャットツールなど記録に残る方法で、従業員から休憩の開始・終了の連絡をもらうことも一つの方法です。
なお、労働基準法上の休憩時間には「途中付与・一斉付与・自由利用」の原則があります。このうち、「休憩時間は労働時間の途中に与えなければならない」途中付与と、「休憩時間は自由に利用させなければならない」自由利用については、特に問題なく適用できると思います。
しかし、「休憩時間は一斉に与えなければならない」一斉付与については、テレワークの場合は中々難しい面があります。そこで、労使協定を締結することで、テレワークの対象者を休憩時間一斉付与の対象外とすることが可能です。
テレワーク中の中抜けについて
在宅勤務においては、家事や私用などで一定程度、仕事から離れる時間が生じやすいとされています。こうした中抜け時間についての取り扱いは、次のいずれかになります。
- 中抜け時間を休憩時間とする(中抜けの開始と終了を申告させることで、始業時間の繰り上げまたは、終了時間を繰り下げる)→就業規則への記載が必要
- 中抜け時間を時間単位の有給とする(年次有給休暇を時間単位で消化していく方法)→労使協定の締結が必要
【テレワーク時の中抜けの取扱例】
出典:厚生労働省『テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン』
テレワーク中の中抜け事例1
従業員から「テレワークの日に、銀行や役所の用事を済ませたいので、2時間くらい中抜けしてもいいか」と言われた場合、会社側はどう対応すればいいのでしょうか。
開始時間の繰り上げや、就業時間の繰り下げといった対応が考えられます。この場合、あらかじめ就業規則に規定しておく必要があります。
もしも、時間単位の有給取得や半休といった労使協定が既にあるのであれば、そちらの利用も検討してみてください。
テレワーク中の中抜け事例2
出勤率の調整や、業務の性質によって丸1日テレワークができず、午前中だけ在宅勤務をしたのち、午後からオフィスに出勤する場合。途中で出勤する移動時間は、労働時間・休憩時間どちらになるのでしょうか。
この場合は、移動が「会社の命令なのか」「労働者の都合なのか」で判断することになります。会社の都合で午後から出勤を命じられた場合は、自宅から会社への移動時間は労働時間に含まれます。
しかし、労働者が「テレワークの予定だったけど、集中できないからオフィスに行こう」と自由意志で移動する場合は、移動にかかる時間は休憩時間として取り扱うことができます。
※移動時間が、会社の指揮命令下におかれている時間かどうかは、個別具体的に判断されます。テレワークを導入する前に、あらかじめ従業員と認識のすり合わせを行なっておく方が、トラブルが少ないでしょう。
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今回は、テレワーク・在宅勤務の残業の取り扱いや、勤怠管理について解説しました。テレワークでも、時間外労働があれば残業代を支給する義務がありますし、休憩なども適切に取得させる必要があります。
勤怠管理システムを導入することで、イレギュラーな勤務形態や休憩管理が楽におこなえるうえに、スマートフォン打刻などでテレワークにも柔軟に対応できるようになります。
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