勤怠管理で中抜け時間をどう処理するのかは、就業規則できちんとルール化しておく必要があります。具体的な方法としては、「休憩時間とする」「時間単位年休とする」の2パターンです。

同じ「中抜け」でも、出社中の中抜けとテレワーク中の中抜けでは、管理方法が異なってきます。この記事では、中抜けに対する適切なルール設定と、運用上の注意点について解説します。

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中抜けとは

「中抜け」とは、勤務時間中に一旦労働から離れ、再度労働に戻るまでの時間を指します。

従来は、時間帯による繁閑の差が激しい飲食業や宿泊業などで主に使われ、これらは事業主都合の中抜けでした。しかし、近年はワークライフバランスやテレワークなどの影響で、家事や育児を理由とした労働者都合の中抜けが増加しています。

勤怠管理における中抜けのルール設定

労働基準法において中抜けに関する規定はありません。そのため、中抜けをどう取り扱うかは、各社が就業規則等でルールを定め、周知する必要があります。

中抜けの取り扱いには、大きく2つの考えがあります。1つは休憩時間として取り扱い、あわせて所定労働時間の変更をおこなうというものです。もう1つは時間単位年休として取り扱う方法です。

中抜けを休憩時間とする場合

中抜けの時間帯を休憩時間として取り扱う場合、所定労働時間に対して実際の労働時間が中抜けをしている時間の分だけ短くなってしまうので、その分を始業時刻の前倒しまたは終業時間の後ろ倒しをして対応します。

例えば、所定労働時間が8時間の会社で、昼休みの休憩時間以外に2時間私用で中抜けが発生したとします。その場合、終業時間を2時間後ろ倒しすることで、所定労働時間の8時間を確保します。

中抜け時間が長すぎると、後ろ倒しにした終業時刻が深夜労働にかかり、深夜労働割増賃金が発生する可能性があります。そのため、中抜け時間の上限を設定して深夜労働の発生を抑制するのが無難です。

なお、中抜け中の時間は休憩時間に該当するため、自由利用の原則から業務を命じることはできませんが、あくまでも会社の管理下にある拘束時間であることは変わりません。

中抜けを時間単位年休とする場合

中抜けを時間単位年休として取り扱う場合は、中抜け時間はあくまでも休暇に該当するため始業・終業時間の変更が発生しません。

時間単位年休の制度を導入するには、対象者や1日の時間単位年休の時間数や日数について労使協定を結び、就業規則で定めておく必要があります。また、取得日数については、年間5日が上限となります。

時間単位年休の取得単位はあくまでも時間単位で、分単位での取得は認められていません。そのため、40分間の中抜けが発生した場合でも、付与する時間単位年休は1時間分として扱う必要があります。

なお、「半日単位の年休」は、1日の所定労働時間を前半・後半に区切ってどちらかを有給休暇として扱うものであり、再び業務に戻ることを前提とする中抜けとしては利用できません。

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勤怠管理における中抜けの注意点

勤怠管理の実務上、中抜けをどう取り扱うかには注意すべきポイントがいくつかあります。適正に勤務実態を把握し、勤怠管理に反映させるためにも、以下の点に注意をしてください。

テレワークにおける中抜け

テレワーク中は、子どもの送り迎えや家事、通院などを理由とした中抜けが発生しやすくなります。このこと自体は、ワーク・ライフ・バランスを重視した柔軟かつ多様な働き方の推進という点ではよい影響があるもので、やみくもに禁止すべきものではありません。

しかし、テレワークという特性上、いつ中抜けが発生していつ戻ったのかを管理しにくいことも事実です。テレワーク中の中抜けを認めるにあたって、勤務時間の考え方などについて労使間で確認しておく必要があります。

また、「中抜けが発生する場合は朝チャットで報告する」「実際に中抜けをするとき、戻った時にはチャットやメールで周囲に報告をする」といった運営上の細かいルールメイクをしておくことをオススメします。

残業時間中における中抜け

残業時間中に中抜けをした場合は、勤務時間中の中抜けの場合と違って時間単位年休として取り扱うことはできません。

残業時間(法定外労働時間)は、本来労働義務のなかったところに臨時に発生した労働時間という意味合いがあります。よって、本来の労働義務を免除した上で賃金を保障する有給休暇が成立する余地がなく、当然時間単位年休の対象ともなりません。

そのため、残業時間中の中抜けについては、すべて休憩時間として取り扱うこととなります。テレワークの普及により、今後こういうケースも多く発生する可能性があり、取り扱いには注意が必要です。

フレックスタイム制における中抜け

フレックスタイム制とは、清算期間と呼ばれる期間の総労働時間の枠の中で、労働者に労働日や労働時間を委ねる制度です。そのため、基本的には中抜けも労働者の自由であり、中抜け時間を総労働時間としてカウントしなければよいだけ、という考え方になります。

ただし、フレックスタイム制でも必ず労働しなくてはならない「コアタイム」と呼ばれる時間帯を設定している場合は、コアタイム中の中抜けの取り扱いを決めておく必要があります。

家庭の都合や通院などの都合で頻繁に中抜けが発生することがわかっている労働者については、フレックスタイム制の対象とすることで管理負担は軽減される可能性があります。

中抜け中における移動時間の扱い

中抜け時間に通院をするような場合で、その移動時間を中抜け時間として取り扱うかについては、移動中に使用者の管理下にあったかがポイントになります。

例えば、移動中にメールで業務報告などをおこなっていた場合には、使用者の管理下にあると考えられるので労働時間に該当します。そのため、移動時間は中抜け時間とカウントすることはできません。

どこまでが労働時間でどこからが中抜け時間に該当するかの判断・管理が難しくなるようであれば、中抜け時間中については業務上の連絡や指示をすることは控えるとよいでしょう。

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中抜けは、勤怠管理システムで管理する

中抜け時間は、休憩として扱うのか時間単位年休として扱うのかによって対応が異なります。休憩時間として扱う場合は、始業・終業時刻の変更をともなうため、労働時間の管理が煩雑になります。

一方で、時間単位年休とする場合は、取得実績を管理し、年間上限日数を超過しないよう管理する必要があります。さらに、残業時間中の中抜けの場合には、時間単位年休ではなく休憩として扱わなくてはなりません。

このように複雑な管理が必要な中抜け時間も、勤怠管理システムを導入することで、イレギュラーな勤務形態や有給管理が楽におこなえるうえに、スマートフォン打刻などでテレワークにも柔軟に対応できるようになります。

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