休暇制度のひとつである半休。日頃、気軽に午前休や午後休を使っていても、制度内容について正しく知っている方は少ないのではないでしょうか。

この記事では、「半休とはどのような制度なのか」「半休の定義や対応方法」「有給休暇との違い」「法的な決まりや労働基準法との関係」などを、わかりやすく解説しています。半休制度を導入するメリットやデメリットも整理しているので、ぜひご参考にしてください。

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半休とは

半休とは半日休暇の略です。年次有給休暇のうち半日単位で取得するもの(以下、半日単位年休)を指す場合と、会社独自の休暇制度として定められたものを指す場合があります。

このうち、半日単位年休については、当然ながら時季変更権などの年次有給休暇の基本的なルールが適用されます。ただし、半日単位年休を導入するかどうかについては、法に規定されていないため、必ずしも設けなくても差し支えありません。

また会社独自の半休制度については、運用方法や内容は会社ごとに決められますが、従業員にとって公平な制度になるように配慮することが大切です。会社によって、午前に半休を取得した場合と、午後に半休を取得した場合で、休暇の時間が異なる場合もあります。

厚生労働省は半休に関して、「企業は労働者に半日単位で付与する義務はない」「半日単位で付与することを禁止しない」としています。

年次有給休暇とは

有給休暇は、正式には「年次有給休暇」と呼び、取得した日の賃金を保証しながら一定の日数の休暇を付与する制度です。

入社から6か月間継続して勤務し、全労働日における出勤率が8割以上である労働者に対して10日分(フルタイム正社員の場合)付与されます。その後は基準日から1年毎に継続勤務年数や所定労働日数に応じた日数が付与されることになります。

時間休との違い

時間休(時間単位年休)は、年次有給休暇を取得しやすくするために、2010年4月の改正労働基準法によって導入された制度です。労働者は、1日単位ではなく、労使協定で定めた時間単位で、年間5日を限度に有給休暇を取得できます。

対して、半休は労使協定が締結されていない場合でも取得可能で、法定の取得日数制限などもありません。それぞれ別の制度であるため、半日単位の有給休暇を取得しても、時間単位の有給休暇の残り時間数に影響はなく、両者は併用可能です。

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半休の時間計算

半休の時間計算は通常、午前または午後のいずれかを休む形で行われますが、企業によっては所定労働時間を2等分する方法も用いられます。以下に、所定労働時間 9:00〜18:00(休憩12:00〜13:00)の企業を例にして解説します。

なお、休憩時間はそもそも労働義務のない時間であるため、労働を免除する休暇が成立する余地はなく、休暇の時間は休憩時間を除いた時間でカウントする必要があります。

午前と午後で分ける

多くの企業で採用されている最もシンプルな方法です。従業員が理解しやすく、シフト制の企業とも相性が良いですが、午前と午後の労働時間が異なる場合、公平性に欠ける可能性があります。

■午前半休/9:00〜12:00(3時間)
■午後半休/13:00〜18:00(5時間)

所定労働時間を2等分する

従業員全員が同じ時間分の半休を取得できるため、公平性が高いといえます。ただし、所定労働時間が7.5時間などという場合は時間が細かくなったり、シフト制の企業ではシフトの時間と合わなかったりといったデメリットもあります。

■前半休/9:00〜14:00(休憩除いて4時間)
■後半休/14:00〜18:00(4時間)

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半休のメリット・デメリット

ここでは、半休制度のメリット・デメリットについて解説します。

半休のメリット

半休制度のメリットは、従業員のワークライフバランスを充実させることで、満足度向上につながることです。

夕方からスポーツ観戦や映画鑑賞へ行くために半休で帰ったり、家族の用事や買い物で午前に半休を使えたりと、メリハリをつけて働くことができます。

また業務上、丸1日休むことは難しくても、半休であれば取得しやすくなる人も多いはず。心理的なハードルを減らすことで、遠慮してなかなか休暇を取得しない人も、半日なら取得しやすくなる可能性があります。

このように、従業員にとって働きやすい環境を整えると、離職率も低くなり、優秀な社員が会社に定着してくれるようになります。また、働きやすい職場であるイメージが広がると、新卒で良い人材が入ってきたり、他の同業他社から転職で入ってくることもあるでしょう。

半休のデメリット

半休制度のデメリットは、管理が煩雑になることです。半日分の給与控除計算や、休暇の残数の確認など、これまでなかった業務が発生するため、勤怠管理の担当部署・担当者の負担が大きくなります。

半日の定義を午前と午後で区切ると、勤務時間が長い時間帯と短い時間帯が出てきて不公平感が生じてしまうことも。そうならないように、時間単位で取得できるようにすることも可能ですが、そうなるとさらに計算がややこしくなります。

最も有効な対策は、勤怠管理システムを導入することで、管理を自動化することです。給与控除の計算の自動化はもちろん、有給休暇の残数や有効期限のアラートを、自動で従業員へお知らせする機能など、便利なシステムが多数リリースされています。

どうしてもアナログな方法で管理せざるを得ない場合は、人事部の負担や上司の管理など、社内運用のルールをしっかり考えておきましょう。

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半休制度導入・運用のポイント

半休を導入・運用するうえで、注意すべきポイントについてお伝えします。

就業規則に明記する

半休は時間休のように労使協定の締結を必要としませんが、従業員への周知徹底、トラブル防止のためにも就業規則等への明記が必要です。

規定する内容としては、以下のような事項が挙げられます。

  • 対象従業員:全員か、特定の部署・条件を設定するか
  • 半休の時間:午前と午後に分けるか、所定労働時間を2等分するか
  • 取得制限:無制限とすると、年間の取得日数上限を設けるか

半休の残業の取り扱い

午前中に半日単位年休を取得後、午後から働いた場合は残業時間に注意が必要です。たとえば午前中4時間の半日単位年休に取得した後に、午後2時から出勤した場合で考えます。

年次有給休暇は「取得した時間分は働いたものとみなして賃金が発生する」とも言えるため、前半休の4時間と合わせて、実労働時間が4時間を超えた時点で1日の所定労働感8時間を超過し残業代が発生するのかというと、そうではありません。

労働基準法の労働時間は、「実労働時間主義」をとっているため、その日の実労働時間が法定労働時間を超えない限り、基本的には時間外労働に対する割増賃金は発生しません

ただし、後半の勤務が深夜に及び22時を超えた場合は、深夜労働に対する深夜割増賃金が発生するため、注意が必要です。

また、所定の休憩時間以降に後半の勤務が開始となる場合は、労働時間が6時間を超えた時点で45分以上の休憩が必要となる点にも、注意が必要です。

フレックスタイム制や裁量労働制の半休

フレックスタイム制は、始業時間及び終業時間の設定を労働者に委ねる制度です。このうち、必ず出勤すべき時間帯をコアタイム、労働者が設定できる時間帯をフレキシブルタイムと呼びます。

コアタイムについては設けないこともできる(スーパーフレックスやフルフレックスなどと呼ばれる)ため、そうなると半休制度との併用は不可能ではないものの、あまり意味がないものと言えます。

また、裁量労働制は、実郎労働時間に関係なく、あらかじめ決められた時間分労働したものとみなす制度です。たとえば、みなし労働時間が8時間と設定されていれば、たとえその日の実労働時間が5時間であっても、8時間労働したものとみなされます。

こちらも、フレックスタイム制と同様に、半休制度を併用することにあまり意味はないでしょう。

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半休についてよくある質問

Q
半休はいつからいつまで?
Q
半休は何回まで取得可能?
Q
半休が休憩時間と重なったら?

勤怠管理システムで、半休を柔軟に活用しましょう

半日休暇の制度は特に法律では会社に義務付けられてはいませんが、半日休暇を認めることで社員にとって働きやすい環境を提供することができます。

働きやすい環境は、あの会社は働きやすい会社だと言う噂が広まるきっかけとなり優秀な社員たちが集まってきます。無給扱いで導入できる休暇制度なので、会社にとっても比較的導入しやすい制度です。

また、勤怠管理システムを同時に導入することで、労務管理の負担を軽減しながら柔軟な休暇制度の導入が可能となります。「勤怠管理システムの選定・比較ナビ」をご利用いただくと、時差出勤に対応できる勤怠管理システムの中から、自社に最もマッチングするシステムを探し出せます。

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