従業員にミスや不手際があり、何らかの処分を課す時に「始末書」を書かせる会社も少なくないのではないでしょうか?

始末書は単なる「反省の証」としてだけではなく、組織の健全な運営やトラブルの未然防止のための大切なツールとして位置づけられています。しかし、その取り扱いには法的な背景や従業員の権利、そして企業の内部統制が絡み合っており、適切な対応が求められます。

この記事では、始末書の定義やその目的、そして会社が従業員に始末書を書かせる場合、どのような点に注意すべきなのかについて、わかりやすく解説します。

始末書とは

始末書は、従業員が業務上ミスや不手際を犯した場合に、懲戒処分の一環として提出させる書類です。処分対象となった行為の詳細な報告に加えて、本人の反省の弁や改善策などが記載されるのが一般的です。

始末書の目的

始末書は、従業員が業務上のミスやトラブルを起こした際に、その事実関係や原因を明確にし、今後の再発防止を図るための文書です。この文書にはいくつかの重要な目的があります。

始末書を書くことで、社員自身が自らのミスや行為を反省し、その原因や背景を深く理解することが期待されます。これにより、同じミスを繰り返さないようにする教育的な効果があります。

始末書は、社員に自らの行為の重大性や影響を自覚させるツールとしても機能します。自らのミスや行為を文書に記載することで、その責任を真摯に受け止める姿勢が求められます。

また、始末書は発生した問題やトラブルの事実関係を正確に記録するためのものでもあります。これにより、将来的なトラブルや裁判などの際に、証拠として利用することも考えられます。

始末書と反省文の違い

始末書と似た文書に「反省文」がありますが、両者には形式や内容、目的などで異なる点がいくつかあります。

始末書は、発生した問題やミスの事実関係、原因、再発防止策などを具体的に記載するものです。一方、反省文は、自らの行為や考えを深く反省し、その思いを文字にするものです。

始末書は、主に業務上のミスやトラブルに対する対応として使用されることが多いです。反省文は、自らの行為や考えを深く反省するためのツールとして、より私的なシーンで使用されることが考えられます。

始末書と労働基準法の関係

始末書は、特に労働基準法などの法令で定義されているような文書ではありません。ただし、労働基準法に規定する懲戒処分の内容として、就業規則などに記載されることがあります。

労働基準法には、始末書の取り扱いや懲戒処分に関する明確な規定はありませんが、懲戒解雇や減給などの懲戒処分を行う際の手続きや条件に関する規定が存在します。

始末書は、懲戒処分の一環として取り扱われることが多いです。しかし、始末書だけで懲戒解雇や減給を行うことは、法的には難しいとされています。

始末書の適切な書かせ方

始末書を書かせる際には、いくつかのポイントや注意点があります。

テンプレートを用意しておく

始末書を書かせる際には、テンプレートを用意しておくことが推奨されます。テンプレートを使用することで、始末書の書式や内容を統一することができます。これにより、始末書の品質や信頼性を高めることが期待されます。

テンプレートには、始末書に記載すべき必要事項やポイントを明記しておくことで、書き手が必要な情報を漏れなく記載することができます。

就業規則に明記する

始末書の取り扱いや懲戒処分の基準など、始末書に関するルールや手続きは、就業規則に明記しておくことが重要です。

懲戒処分の基準や手続き、条件などを就業規則に明記しておくことで、公平かつ適切な懲戒処分を行うための基準を共有することができます。反対に、就業規則に規定していない懲戒処分を課すことは認められないので、注意しましょう。

先に顛末書・報告書を提出させる

始末書を書かせる前に、顛末書や報告書を提出させることで、事実関係や背景を確認することができます。

顛末書や報告書を提出させることで、発生した問題やトラブルの事実関係を正確に整理することができます。事実関係を正確に確認することは、公平かつ適切な懲戒処分を行うための前提となります。

公平に適用する

始末書を書かせる際には、公平に適用することが重要です。始末書を書かせる際には、偏見や差別を避けることが重要です。公平に適用することで、社員の信頼やモチベーションを保つことができます。

同じ違反やミスに対して、一貫した対応をとることが求められます。これにより、社員の混乱や不信感を避けることができます。

会社が書かせる始末書でよくある質問

会社が始末書を書かせることについて、よく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。

Q
始末書の提出を強制できる?
Q
始末書の提出を拒否されたら?

まとめ

始末書は、従業員のミスや違反行為に対する教育的な効果や事実関係の確認を目的としています。しかし、その書き方や提出の強制には注意が必要です。

特に、法的背景や従業員の権利を考慮しながら、公平かつ適切に対応することが求められます。また、始末書と反省文の違いや、就業規則等との関係も理解しておくことが重要です。