ワークフローシステム導入を検討するに当たって、自作するという選択肢を考えていらっしゃる方も少なくないのではないでしょうか?

ワークフローシステムを自作することで、自社の業務にベストフィットしたシステムを構築でき、コスト削減も図れます。一方で、高度な知識やスキルを求められることも多く、そのハードルは高いと言えるでしょう。

この記事では、ワークフローシステム自作のメリット・デメリットやExcelなどを用いた自作方法などについて、わかりやすく解説します。

ワークフローシステム自作とは?

ワークフローシステム自作とは、企業が自社の業務フローに最適化したシステムを自ら設計し、構築することを指します。これにより、既存のワークフローシステムではカバーできない独自の業務フローやニーズに対応することが可能となります。

ただし、自作には専門的な知識や技術が必要となるため、そのメリットとデメリットを理解した上で検討することが重要です。

ワークフローシステムとは

ワークフローシステムとは、企業の業務フローをデジタル化し、業務の進行状況を一元管理するシステムのことを指します。

具体的には、申請、承認、決裁などの業務プロセスを自動化し、業務の効率化を図ることにより、タスクの進行状況が明確になり、業務の遅延やミスを防ぐことができます。

ワークフローシステムの基本的な機能としては、申請書の作成、承認ルートの設定、承認状況の一覧表示、承認通知の送信などがあります。これらの機能を活用することで、業務の進行状況を一元管理し、業務のスムーズな進行が可能になります。

ワークフローシステムを導入するメリット

ワークフローシステムを導入することで、申請から承認、決裁までの一連の流れが自動化されるため、手作業によるミスを防ぎつつ、業務の図ることができます。また、業務の進行状況を一元管理することで、業務の進捗を把握しやすくなり、業務の遅延を防ぐことができます。

さらに、紙ベースの業務をデジタル化することにより、ペーパーレス化を進めることができ、紙代や印刷代、物理的な保管スペースなどのコストを削減できます。

ワークフローシステムを自作するメリット

ワークフローシステムを自作する場合、既存のシステムを利用するケースと比較して、以下のようなメリットがあります。

  • 自社に最適なシステムを構築できる
  • コストを抑えることができる
  • 情報漏えいを防止できる

自社に最適なシステムを構築できる

ワークフローシステムを自作することで、自社のビジネスニーズに完全にフィットしたシステムを構築することが可能です。既存のシステムでは、提供元が用意した機能やデータの範囲内で設定・運用する必要があり、どうしても限界を感じる場面が出てきます。

対して、自作のワークフローシステムの場合は、自社の業務フローをそのままシステムに落とし込むことができ、既存製品でカバーできない独自の業務フローやニーズに対応することができ、業務効率化を更に進めることができます。

コストを抑えることができる

自作のワークフローシステムでは、既存製品を導入する際に発生するライセンス費用を削減することが可能です。また、システムの運用・保守に必要なコストを自社でコントロールすることができるため、長期的な運用コストを見積もりやすくなります

情報漏えいを防止できる

自作のワークフローシステムでは、自社のセキュリティポリシーに完全に合わせたセキュリティ対策を行うことが可能であるため、情報漏えいを防止することができます。また、データの管理を自社で行うことにより、データの取り扱いについての自主性を確保できます。

ワークフローシステムを自作するデメリット

ワークフローシステムを自作することには多くのメリットがありますが、それと同時に以下のようなデメリットも存在します。自作を検討する場合は、これらのメリット・デメリットのバランスを見極めながら判断することが重要です。

  • 高度なスキルを持った人材が多く必要
  • トラブルが起きてもサポートを受けられない
  • システムの拡張性に制限がある

高度なスキルを持った人材が多く必要

ワークフローシステムを自作するには、プログラミングスキルだけでなく、データベース設計やネットワーク、セキュリティなど幅広い知識が必要です。これらの知識・スキルを持つ人材を多数確保できなければ、ワークフローシステムの自作は難しいでしょう。

また、自作のワークフローシステムを運用・保守するためには、システムに関する知識を持った人材を長期的に育成することが必要です。新たな技術トレンドに対応するための研修なども必要となります。

トラブルが起きてもサポートを受けられない

自作のワークフローシステムでは、システムにトラブルが発生した場合に外部のサポートを受けることが難しいため、自社でサポート体制を構築する必要があります。既存製品の場合は、提供元でサポート体制が整っているため、この点もデメリットと言えるでしょう。

システムの拡張性に制限がある

自作のワークフローシステムでは、使用する技術や開発環境による制約があります。開発部門で対応できる特定のプログラミング言語やフレームワークの機能に依存することになるため、システムを拡張しようとしても、実現できる機能が制限される可能性があります。

ワークフローシステム自作の方法

ワークフローシステムを自作するには、主にExcel、Googleフォーム、オープンソースを利用する方法があります。

Excelで自作する方法

Excelを利用したワークフローシステムの自作は、手軽に始められる方法の一つです。ただし、自動化できる部分が少ないというデメリットもあります。

Excelは多くの企業で広く利用されているため、UIに慣れている従業員が多く、導入がスムーズに進められます。また、紙に出力しやすいため、紙ベースのワークフローを電子化する初期段階では有効なツールとなります。

ただし、実装できる機能がExcelの機能に限定されるため、高度な自動化を実現することが難しいというデメリットがあります。

Googleフォームで自作する方法

Googleフォームは、簡易的なフォームの作成が簡単であるため、手軽にワークフローシステムの自作を始めることができます。Excel同様、多くの企業で日常的に利用されているため、従業員も馴染みやすいでしょう。

ただし、メール通知などの高度な機能を実装するためには、Google Apps Scriptなどのスクリプトが必要となる点には注意が必要です。

オープンソースを使って自作する方法

オープンソースのワークフローシステムを利用することで、複雑なワークフローの設計や通知の自動化など、ExcelやGoogleフォームでは実現が困難な高機能なシステムの自作が可能となります。

ただし、サーバーの設定や高度なプログラミングスキルを持つ人材を、ある程度確保することが必要となります。

ワークフローシステム自作の注意点

ワークフローシステムを自作する際には、以下の5つのポイントに注意を払うことが重要です。

  • 業務を洗い出す
  • コストと人的リソースを洗い出す
  • 必要な機能を整理する
  • 最初から完璧なシステムを目指さない
  • 従業員の使いやすさを重視する

業務を洗い出す

まず最初に、システムを導入する目的となる業務を詳細に洗い出すことが必要です。業務の流れ、関連するタスク、関係者の役割など、業務に関わる全ての要素をリストアップすることにより、システムが対応すべき業務項目とその要件を明確にすることができます。

コストと人的リソースを洗い出す

続いて、システム開発に必要なコストと人的リソースを洗い出します。具体的には、開発費用、運用費用、保守費用、必要なスキルを持つ人材の確保などが挙げられます。こうした要素を明確にすることで、開発プロジェクトの予算とスケジュールを適切に設定できます。

必要な機能を整理する

基本的にシステム開発においては、必要な機能を明確に整理することが必要になります。これは、業務要件を満たすための機能だけでなく、ユーザビリティを高めるための機能も含まれます。機能を整理することで、システムの設計と開発の方向性が明確になります。

最初から完璧なシステムを目指さない

システム開発においては、最初から完璧なシステムを目指すのではなく、最小限の機能を持つプロトタイプを作成し、その後、フィードバックを元に改善を重ねていくほうが、失敗するリスクが少なくなります。

従業員の使いやすさを重視する

従業員が使いやすいシステムを構築することで、生産性を向上させ、システムの導入と運用をスムーズに進めることができます。

具体的な要素としては、直感的な操作性、明瞭なインターフェース、十分なトレーニングとサポートなどが挙げられます。

ワークフローシステム自作が難しい場合は既存システム導入も

ワークフローシステムの自作は、自社のニーズに合わせてカスタマイズできる利点がありますが、一方で膨大な時間と専門的な知識やスキルを持つ人材を大量に必要とします。これらの条件をクリアできない場合は、既存のシステムを導入することも一つの選択肢となります。

既存システムを選定する際は、自社ニーズとのマッチング、使いやすさ、サポート体制などを比較ポイントにすると良いでしょう。また、ワークフローシステムの選定比較サイトを活用することで、短時間で効率的に自社に最適なシステムを見つけることができます。