勤怠とは、出退勤状況や労働時間、休日などの勤務状況を指す言葉です。一言で勤怠管理といっても、管理対象となる項目は多岐にわたります。

この記事では、人事担当者の方向けに、勤怠管理の必要性から、管理項目、管理方法、注意点などをわかりやすく解説します。

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勤怠とは?

勤怠とは、言葉の意味としては「仕事に励むことと怠けること」を指しますが、一般的には「出勤・退勤の状況、労働時間・休憩時間・休日・休暇などの勤務状況」という意味合いで使われます。

勤怠管理はなぜ必要?

企業が勤怠管理を行うのは、従業員の勤務状況を正しく把握するためです。

勤務状況を把握することで、正しく給与を支払うことができ、従業員の健康管理の面でも、過重労働を防ぐことができます。

2019年より施行された働き方改革関連法案により、それまでは給与計算や法廷帳簿作成のための付随義務に過ぎなかった労働時間の把握が、正式に法的義務として明記されることになりました。

勤怠業務で管理すべき内容とは?

一口に勤怠管理と言っても、企業として管理すべき項目は多岐に渡ります。

出退勤

出勤時間・退勤時間を記録し、その日の勤務時間として管理します。

勤怠管理における出退勤とは、会社ごとに定められた就業規則上の始業・終業時間と必ずしも一致しません。

たとえば、就業規則上の始業時間前または終業時間後であっても、管理者の指揮命令下に置かれていると判断できる時間がある場合には、労働時間としてカウントする必要があります。

労働時間と休憩時間

労働時間とは、拘束時間から休憩時間を除いた時間を指すため、休憩時間の定義も重要となります。

休憩時間は、労働時間に応じて付与すべき長さが決められており、労働時間が6時間以上8時間以下の場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上付与しなければなりません。

また、休憩時間は「労働時間の途中に」「一斉に取得させ」「自由に利用させる」必要があり、これに反する場合は休憩時間として認められません。

そのため、たとえば昼休憩中にオフィスで食事を取りつつ電話番を命じたような場合は、使用者の指揮命令下にあるとして休憩時間とはみなされず、別途休憩時間を与える必要があります。

時間外労働

労働基準法によって、労働時間は原則1日8時間・週40時間までとされています。
これを「法定労働時間」と言い、企業が就業規則等で定める「所定労働時間」とは異なるため、注意が必要です。

法定労働時間を超えて労働させるする場合は、「時間外・休日労働に関する協定届」(いわゆる36協定)を締結し労働基準監督署に届出なくてはなりません。

また、36協定締結の有無に関わらず、法定時間外労働に対しては法定の割増率(基本的には1.25倍)に応じた割増賃金が必要となります。

なお、法定労働時間・時間外労働については、労働時間を年や月単位で考える変形労働時間制や管理監督者に関する例外があります。

休日

労働基準法では、週1日もしくは4週につき4日の休日を与える必要があり、これを「法定休日」と呼びます。
企業が就業規則等で定める「所定休日」とは異なるため、注意が必要です。

法定休日に労働させるためには36協定の締結・届出が必要であり、別途休日割増賃金(1.35倍)を支払わなくてはなりません。

「休暇」とは本来労働する義務がある日に労働を免除される日のことを示す一方、「休日」とはそもそも働く義務のない日のことを示しています。

休日に勤務が休日割増賃金が必要となる法定休日に該当するかどうかは、あらかじめ休日と出勤日を入れ替える「振替休日」なのか、休日出勤後に別途休日を取得する「代休」なのかによって異なります。

深夜労働

労働者の健康維持の観点から、22時から翌5時まで時間の労働は深夜労働として定義されており、満18歳未満の年少者や妊産婦のうち請求のあった労働者については、深夜労働が禁止されています。

また、深夜労働が認められる労働者に対しても、時間外勤務・休日勤務の割増賃金とは別に深夜割増賃金(1.25倍)を支払う必要があります。

深夜割増賃金に関しては、通常の時間外割増賃金が適用されない裁量労働制の対象労働者や管理監督者についても適用されるため、注意が必要です。

欠勤

本来労働する義務がある日に病欠などの自己都合で労務の提供がなかった場合は、欠勤として扱い賃金を控除することになります。

欠勤の場合、時給制・日給制であれば単に欠勤分の給与を支払わなければ済みますが、月給制の労働者であれば就業規則等に定めに応じて欠勤控除の計算をする必要があります。

なお、無断欠勤をした場合であっても、就業規則等に罰則対象となる旨を定めていなければ、当然に処罰することができないため、注意が必要です。

年次有給休暇

年次有給休暇とは、労働基準法第39条で定められている、賃金の支払い対象となる休暇のことです。

年次有給休暇は、雇入開始から6ヶ月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、週の所定労働日数・所定労働時間に応じた日数分付与されます。

入社日や勤務形態によって、付与のタイミングや付与日数が異なるため、従業員ごとに正確に把握しておく必要があります、

また、2019年の働き方改革法案成立により、企業は従業員に対して最低でも年5日の有給を取得させることが義務化されたため、取得状況については特に気を配る必要があります。

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勤怠管理の方法とは?

実際に勤怠管理、特に労働時間を管理する方法は大きく分けて以下の4パターンがあり、従業員規模や勤務形態によって適切な管理方法は異なります。

  • 出勤簿への手書きによる管理
  • タイムカード打刻による管理
  • エクセルによる管理
  • システムによる管理

出勤簿への手書きによる管理

出勤簿に従業員が手書きで出勤・退勤時間、休暇取得状況を記録する原始的な方法です。
企業には、適切な労務管理の遂行を目的として出勤簿の備え付け・保管が義務付けられています。

従業員数が少ない会社の場合は、システム等の導入費用も不要で簡単にできる点がメリットです。

一方で、手書きの場合は給与計算のために入力内容を転記する必要があり、人事担当者の負担が大きいことや数字の読み間違えや転記ミスのリスクがあることがデメリットです。

また、厚生労働省は勤怠管理においては労働時間を客観的に記録することを求めていますが、手書きによる管理は自己申告となるため客観性が担保できません。

よって、従業員に対して正しい労働実態を申告するように十分な説明を行うこと、必要に応じて実態調査を行うこと、正しい労働時間の申請を妨げないことなどの配慮・対応が必要です。

タイムカード打刻による管理

出勤時および退勤時に、職場に設置しているタイムカードレコーダーに各自のタイムカードを挿し、時刻を打刻する方法がタイムカード打刻による管理です。

タイムカードによる勤怠管理をする会社は減りつつありますが、中小企業では依然として採用率の高い勤怠管理方法です。

手書きに比べると手間なく簡単に打刻時間を記録でき、タイムカードレコーダーを購入すればあとはタイムカードを用意するのみなので、導入コストも比較的安く抑えることができます。

一方で、給与計算のためにタイムカードに打刻された時刻を転記する作業負担と転記ミスのリスクがあります。

また、タイムカードレコーダーは職場に設置されているため、実際に出社する必要があり、営業の直行直帰や在宅勤務を行っている場合には不向きです。

エクセルによる管理

会社が用意した所定のエクセル様式に従業員が各自で出勤・退勤時刻を入力する方法です。

導入・運用のコストがほとんどかからない、時間外労働時間等の集計が自動でできる、データなので転記ミスが起きにくい、といったメリットがあります。

一方で、手書きの勤怠管理と同様に自己申告で入力をすることになるため、虚偽申告や改ざんができてしまい、客観性・正確性に欠けるというデメリットがあります。

システムによる管理

モバイル端末や生体認証、ICカードなどさまざまな打刻方法により勤怠データを記録する方法です。

企業にとって勤怠管理の重要性が増し、従業員の働き方も多様化しているなかで注目されている方法です。

働く場所を問わず打刻が可能で、生体認証などを活用して不正・改ざん防止に活かせるなどのメリットがあります。

また、システムによっては時間外労働や有給休暇取得状況に応じたアラート通知を発信したり、入力内容を給与計算システムに自動連携したりといった機能もあり、業務効率向上に繋がります。

一方で、導入時の比較検討に時間を要する、導入・運用のコストが他の方法に比べて大きい、といったデメリットがあります。

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勤怠管理の注意点

勤怠管理の手段はいくつかありますが、勤怠管理をするうえで共通して注意すべき点があります。

勤怠状況が悪い従業員への対処法

「労働時間の深刻に虚偽がある」「無断欠勤が多い」などいわゆる問題社員がいた場合、処分の基準を決めておかないと適切な対処ができません。

何も対応しないままでは、周囲の従業員からの不満も募り、職場全体の士気に影響しかねません。

とはいえ、勤怠不良を理由に処分をするには、あらかじめ就業規則等に罰則対象となる旨と処分内容を定めておく必要があります。

勤怠不良を理由にいきなり減給処分を課すことは難しく、まずは改善を求めるなどの段階を踏むことになります。

また、減給処分を課す場合であっても、減給範囲は1回につき「1日の賃金の半額まで」、総額「1か月の賃金の10分の1まで」に収める必要があります。

残業時間と生産性のジレンマ

現在は働き方改革が進められ、いかに生産性高く効率的に業務を行うかが重要視されるようになっています。

その結果、能力や業務効率が高く、残業時間を削減できた従業員よりも、同じ業務量で時間をかけて残業をした社員のほうが収入が多くなるというジレンマが発生してしまいます。

これを解消するために、「残業を許可制にして残業をなるべくさせないようにする」「生産性の高低を賞与時の査定に反映させる」といった対応をとることで、不公平感を軽減させることをお勧めします。

将来性のあるシステムによる勤怠管理がオススメ

厚生労働省は、企業に対して従業員の就業状況を正確に把握するための手段として、勤怠管理システムなどによる客観性を担保できる方法を推奨しています。

打刻方法、導入・運用コスト、他システムとの自動連携範囲など、自社に必要な要件は何かをよく検討したうえで最もマッチする勤怠管理システムを導入することで、コンプライアンスの面だけでなく、生産性向上というメリットも享受することができます。

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