「ワークフロー」という言葉はビジネスで頻繁に用いられていますが、その定義や目的があいまいな方も少なくないのではないでしょうか?

ワークフローは、業務の流れを明確にし、効率的に作業を進めるための仕組みです。しかし、日本特有の紙ベースのワークフローには、問題点が多く存在します。それらを解決するためには、ワークフローシステムの導入が有効です。

本記事では、ワークフローとは何か、その重要性や目的、ワークフローシステムの導入メリット、そして選び方について、簡単にわかりやすく解説します。

ワークフローとは

ワークフローとは、業務についての一連のやりとりの流れのことを指します。組織の中で行われる大抵の業務には「誰がどのようにスタートし、判断や処理をし、完了させるのか」という流れが存在します。この流れそのもの、または図式化したものをワークフローと呼びます。

ワークフローのそもそもの定義

ワークフローは、組織の中で複数人が関わる業務を、ルールや慣習などあらかじめ決められた流れに沿って処理すること、またその流れを図式化したものを指します。

たとえば、管理部門による消耗品の発注業務では、担当者から申請が上がり、所属部署の上長、部門長、経理部長などの承認を経て、最終的に決裁に至ります。

ワークフローの重要性とその役割

ワークフローは、業務効率化のための重要な要素です。ワークフローを明確に定義し、適切に運用することで、円滑な企業運営、スピーディーな意思決定などに繋がります

業務の中には、内容や金額など条件によって判断をする人や人数・ステップなど、流れが複雑に変化するものもあります。ワークフローの定義が曖昧だと、「誰に申請すべきか」「どの書類を提出すべきか」が不明確となり、業務全体に遅延が生じることになります。

また、ワークフローを明確に定義することで、ルールに沿った手続きが行われ、誰がいつ申請して、誰が承認したのかが追跡できるため、不正や情報漏洩のリスクを軽減できます。

ワークフローシステムとは

ワークフローシステムは、業務の流れを自動化・電子化するためのシステムです。インターフェースとなるのは電子化された申請フォームで、申請~承認~決裁の一連の流れをオンライン上で行います。

ワークフローシステムによる、適切な管理・運用については、以下の記事も併せてご覧ください。

紙のワークフローが抱える問題点

ワークフローシステムによらない、従来の紙ベース運用のワークフローには、以下のような問題点があります。

  • どの申請書を使うべきか、誰の承認が必要かわからない
  • 申請書の作成が手間
  • 承認権者が不在だと業務が滞る
  • 紙代・印刷代・保管スペースが必要

ワークフローには、申請内容によって申請書や承認ルートが異なるものも多くあります。紙のワークフローでは、どの申請書を使うべきか、誰の承認が必要かなどを都度調べる必要があり、時間と手間がかかります

申請書はその都度一から作成しなければならず、記載に不備があると、差し戻しとなり再度作成する必要があります。また、承認権者が不在だとそこでフローがストップしてしまい、業務全体が滞ります。

さらに、紙ベースのワークフローでは、申請書の紙代や印刷代、物理的な保管スペースが必要で、業務のコストを増加させる要因となります。

ワークフローシステム導入のメリット

ワークフローシステムを導入することで、紙ベースのワークフローの問題点を解消できる、以下のようなメリットが得られます。

  • ワークフローの可視化
  • 業務・意思決定のスピードアップ
  • コスト削減
  • 内部統制の強化
  • 多様な働き方に対応可能

なお、システム導入のメリットを実現するための機能については、以下の記事も併せてご覧ください。

ワークフローの可視化

ワークフローシステムを導入することで、業務の流れが可視化されます。業務ごとに作成すべき申請書や承認者、ルートが一目でわかるため、調べる手間がなくなります。

また、申請後もシステムの画面上から承認プロセスの進捗状況をいつでも確認できるため、業務の承認状況を把握し、必要な対応を行うことができます。

業務・意思決定のスピードアップ

ワークフローシステムでは、以前の申請データをコピーすることで、一から申請書を作成する必要がなくなります。記載漏れやミスがあったとしても、該当箇所だけ修正してスムーズな最新性が可能です。

また、申請データは自動的に承認者へ回覧され、承認者は外出先からでも確認・承認作業が可能になります。さらに、一定時間承認が行われない場合は、承認者に自動的にアラート通知を送信されることで、フロー全体の流れがスピードアップします。

コスト削減

申請書が電子データ化されることで、ペーパーレス化によるコスト削減が図れます。具体的には、紙代や印刷代が不要となり、データもサーバ上に保存されるため、物理的な保管スペースも不要になります

内部統制の強化

ワークフローシステム導入は、コンプライアンス強化にも繋がります。申請履歴の追跡により誰がいつ誰に申請したのかが分かるため、情報流出や文書の改ざんを抑止できます

また、従業員ごとにアクセス権を設定することで、細やかなセキュリティ管理が可能になり、業務全体の安全性が大きく向上します。

多様な働き方に対応可能

クラウド型のワークフローシステムを導入することで、申請のためだけに出社したり郵送したりする必要がなくなります。そのため、リモートワークやサテライトオフィスなど、時間や場所にとらわれない多様な働き方に対応した運用が可能になります。

ワークフローシステムの選び方と注意点

ワークフローシステムを選ぶ際には、自社の業務に合ったシステムを選ぶことが重要です。また、システムの導入後も運用を続けるためには、システムの使いやすさや保守性も考慮する必要があります。

オンプレミス型かクラウド型か

オンプレミス型は自社でシステムを開発・運用するため、カスタマイズ性に優れ、セキュリティ面でも安心感がありますが、初期投資や運用コストが高くなる傾向があります。

一方、クラウド型は初期投資が少なく、運用も容易ですが、ベンダーの既存システムを利用するため、細かいカスタマイズには向いていません。どちらのワークフローシステムを選ぶかは、自社の業務やIT環境、システム部門の体制などで判断しましょう。

導入前と変わらずに運用できるか

ワークフローシステムを導入する際には、導入前の業務フローをそのまま運用できるかどうかを確認することが重要です。システムを導入しても、申請書のフォーマットや運用が大幅に変わってしまい、かえって業務が滞ってしまっては本末転倒です。

システムの中には、既存のExcelなどの申請書フォーマットを取り込める製品もあるため、こうした機能を利用して、スムーズに移行できるようにしましょう。

複雑なワークフローでも柔軟に設定できるか

複雑なワークフローでも柔軟に設定できるかどうかを確認することも重要です。特に規模の大きな企業の場合は、決裁権者に到達するまでの承認ルートが非常に複雑であるのが一般的です。

また、承認ルートには、ルートの本数や決裁権者に到達する条件などによって、さまざまなタイプがあり、これらを柔軟に設計できるのかも重要です。なお、承認ルートについては、以下の記事も併せてご覧ください。

誰でも直感的に操作できるか

誰でも直感的に操作できるかどうかを確認することも重要です。いかに多機能な製品であって、UIが分かりづらく操作性が悪くては、システムが十分に活用されない可能性があります。お試し期間がある製品であれば、積極的に利用して使用感を確かめておきましょう。

他システムと連携できるか

自社で既に利用しているグループウェアや勤怠管理、給与計算などのシステムがある場合は、こうしたシステムと外部連携できると、より効率的に運用を回すことができます

APIでシームレスに連携できる製品、CSVデータのインポート・エクスポートにより連携する製品など、連携方法も異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。

ワークフロー改善が業務効率化のカギ

ワークフローは、業務の流れを明確にし、効率的に作業を進めるための仕組みですが、旧来型の紙ベースのワークフローには、問題点が多く存在します。それらを解決するためには、ワークフローシステムの導入が不可欠です。

ワークフローシステム導入により、業務の可視化・スピードアップ、コスト削減、内部統制強化など、多くのメリットを享受できます。ただし、ワークフローシステムを導入する際には、自社の業務に合ったシステムを選ぶことが重要です。

そこで、ワークフローシステムの比較選定サイトを活用することをおすすめします。比較サイトでは、自社の要件を選ぶだけでマッチ率の高い製品を簡単に見つけ出すことができます。ぜひ、ワークフローシステムの比較サイトを活用し、業務の効率化と改善を図ってください。