「稟議書」は、ビジネスの現場で頻繁に使われる言葉ですが、その意味や使い方、目的をしっかりと理解している人は意外と少ないのではないでしょうか?

稟議書は、単なる「書類」ではなく、企業の意思決定を支え、業務の効率化を促進し、そして組織全体のコミュニケーションをスムーズにするための重要なツールです。

この記事では、稟議書の基本的な意味からその活用方法、具体的な書き方のポイント、電子化までを簡単にわかりやすく解説していきます。

稟議書とは

稟議書は、企業や組織内での意思決定を行う際に使用される社内文書の一つです。業務を進める上での承認を得るため、または特定の事項について上層部や関係部署の判断を求めるために作成されます。

稟議書は、社内のコミュニケーションを円滑にし、業務の進行をスムーズにするための重要なツールとなっています。

稟議書の必要性・目的

稟議書は、企業内での意思決定や業務の進行において欠かせないものです。その主な目的は、業務の進行や取引、契約などの際に必要な承認や判断を、明確な形で上層部や関係者に伝え、確認・承認を得ることです。

これにより、業務の進行がスムーズになるだけでなく、後からのトラブルや誤解を防ぐ効果も期待できます。

稟議書と決裁書・起案書の違い

稟議書、決裁書、起案書は、いずれも企業や組織内での意思決定や業務進行に関連する文書ですが、それぞれの目的や使用されるシーンが異なります。

稟議書が、ある業務や取引を進めるため複数の承認者に承認を求める文書であるのに対して、決裁書はその業務や取引を最終的に承認する1名にのみ承認を求める文書になります。

また、起案書については、「起案」が新しい業務やプロジェクトの提案をするという意味があり、稟議の開始を指しますが、実質的な意味合いは稟議書と同じで、会社によって同じ性質の文書を稟議書と呼んだり、起案書と呼んだりします。

稟議書のメリット

稟議書を使用することで、企業や組織内の業務進行が大きく効率化されます。特に、大規模な組織や複数の部署が関わる業務では、稟議書の存在が業務のスムーズな進行をサポートします。

会議を開くことなく承認を得られる

会議を頻繁に開催することは、時間やコストの面で非効率的です。稟議書を使用することで、必要な情報を文書としてまとめ、関係者に提出することで、迅速に承認を得ることが可能となります。これにより、業務の遅延を防ぎ、効率的な業務進行を実現します。

全体の流れが把握できる

稟議書には、業務の内容や目的、関連する資料など、詳細な情報が記載されています。これにより、関係者は業務の全体像を把握しやすくなり、適切な判断や対応が可能となります。

検証と改善により内容の濃い意思決定が可能

稟議書を使用することで、業務の内容や進行状況を定期的に検証することができます。これにより、業務の改善点や課題を明確にし、より質の高い意思決定を行うことができます。

稟議書のデメリット

稟議書には多くのメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。適切な運用や管理を行わないと、業務の効率化どころか、逆に業務の遅延やトラブルの原因となる可能性もあります。

作成に時間と労力がかかる

稟議書を作成する際には、関連する情報や資料を集め、それをもとに文書を作成する必要があります。特に、複雑な業務や大規模なプロジェクトの場合、この作業には多くの時間と労力がかかることがあります。

承認までに時間がかかる

稟議書を提出した後、関係者や上層部の承認を得るまでに時間がかかることがあります。特に、多くの部署や人々が関わる業務の場合、全員の承認を得ることが難しく、業務の遅延の原因となることもあります。

責任の所在が不明確になる恐れがある

稟議書には多くの情報や資料が記載されていますが、それにより責任の所在が不明確になることがあります。特に、複数の部署や人々が関わる業務の場合、誰がどの部分の責任を持つのかが曖昧になることがあります。

稟議書の書き方

稟議書を効果的に活用するためには、その書き方が非常に重要です。適切な書き方をすることで、業務の進行をスムーズにし、関係者とのコミュニケーションを円滑にすることができます。

稟議書の記入必須項目

稟議書は申請する内容によってテンプレートやフォーマットが異なることが多いですが、基本的に以下のような項目は、どの稟議書においても必須項目となっています。

  • 部署/氏名
  • 起案日/決裁希望日
  • 件名:プロジェクト名などを記載します
  • 内容
  • 目的
  • 備考:特筆すべき事項や添付書類等があれば、こちらに記載します
  • 承認欄

稟議書のテンプレート・例文

稟議書を効果的に活用するためには、その書き方が非常に重要です。特に、初めて稟議書を作成する場合や、業務の内容が複雑な場合、テンプレートや例文を参考にすることで、効率的に文書を作成することができます

書き方のポイント・注意点

稟議書を作成する際のポイントや注意点は、業務の内容や目的を明確にすること、関係者や上層部に対しての説明や説得力を持たせること、そして、必要な情報や資料を正確に記入することです。

これらのポイントを意識することで、業務の進行をスムーズにし、関係者とのコミュニケーションを円滑にすることができます。

また、稟議書には法的に定められた保存期間がないため、会社が独自に保存期間を定めて管理する必要があります。紙媒体の稟議書の場合は、物理的な保管スペースや検索しやすい整理方法も同時に考えておく必要があります。

稟議書の電子化とワークフローシステム

近年、多くの企業や組織で稟議書の電子化が進められています。これには、業務の効率化やコスト削減、リモートワークの普及など、さまざまな背景があります。

稟議書を電子化するメリット

稟議書を電子化することで、業務の効率化やコスト削減、リモートワークの普及など、さまざまなメリットがあります。特に、大規模な組織や複数の部署が関わる業務では、電子化により業務の進行が大きく効率化されます。

稟議書の電子化の進め方

稟議書の電子化を進める際には、いくつかのステップがあります。具体的には、現状の業務フローの確認や、電子化に必要なシステムの導入、関係者への周知や研修などが必要です。適切なステップを踏むことで、効果的に稟議書の電子化を進めることができます。

まとめ

稟議書は、企業や組織の意思決定を円滑に進めるための重要なツールです。その必要性や目的、メリット・デメリット、そして書き方について解説しました。特に、現代のビジネスシーンでは、稟議書の電子化が進められ、業務の効率化やコスト削減が期待されています。

しかし、電子化する際のシステム選定は非常に重要です。適切なワークフローシステムを導入することで、業務のスピードアップやミスの削減、リモートワーク対応などのメリットを享受できます。