「勤怠管理」とは、簡単に言えば「出勤と退勤の管理」ですが、もちろん単に「出勤・退勤の記録を取る」だけではその目的は果たされません。
勤怠管理は法律遵守、生産性向上、労働者保護の観点から非常に重要であり、その方法も手書きから専用の勤怠管理システムを利用したものまでさまざまです。
この記事では、勤怠管理の目的から方法ごとのメリット・デメリット、最適な勤怠管理システムの選び方までを、わかりやすく解説します。
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勤怠管理とは
勤怠管理とは、従業員の出勤・退勤の時間や休日、残業時間を記録し、管理することを指します。企業の重要な業務の一つであり、適切な勤怠管理は企業の生産性向上や法令遵守に欠かせない要素です。
人事労務担当者はこれらのデータを基に給与計算、労働条件の整備、健康管理などの業務を行います。
勤怠管理の目的
企業が勤怠管理を行うのは、従業員の労働状況を正確に把握し、公正な給与計算を行うためです。また、その他にも労働生産性の向上や法令遵守、従業員の健康状態の管理などが目的として挙げられます。
2019年より施行された働き方改革関連法案により、それまでは給与計算や法廷帳簿作成のための付随義務に過ぎなかった労働時間の把握が、正式に法的義務として明記されることになりました。
勤怠管理の対象
勤怠管理の対象は従業員全員で、内容には出勤・退勤時間、休憩、休暇、残業の記録が含まれます。全従業員の労働時間を正確に把握することで、労働基準法における適切な労働環境が確保できます。
正社員はもちろん、有期契約社員やパート・アルバイト、派遣労働者も当然ながら勤怠管理の対象となります。また、労働基準法における労働時間や休憩、休日の既定が適用されない管理監督者などについても、健康保持の観点から一定の勤怠管理が求められます。
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労働基準法における勤怠管理のルール
労働基準法は、労働者の権利と企業の義務を定めており、具体的には労働時間の上限や休憩の付与、休日の付与などが勤怠管理と大きく関わってきます。
労働時間と休憩時間
労働基準法では、労働時間は1日8時間、週40時間が上限と定められており、これを「法定労働時間」と呼びます。法定労働時間を超える労働は原則違法となります。
法定労働時間を超えて労働させるためには、「時間外労働及び休日労働に関する労使協定」いわゆる「36協定」の締結・届出が必要です。また、「36協定」の有無に関わらず、法定労働時間を超える労働に対しては、割増率25%以上の割増賃金が発生します。
なお、映画演劇業や接客娯楽業など、一定の事業で常時10人未満の労働者を使用する事業場は「特例措置対象事業場」と呼ばれ、週の法定労働時間が44時間とされています。
休憩時間については、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩付与が義務付けられています。また、休憩には労働時間の「途中に」全従業員「一斉に」与え「自由に」利用させなければならないという三原則があります。
なお、法定労働時間・時間外労働については、労働時間を年や月単位で考える変形労働時間制や管理監督者に関する例外があります。
労働時間は1分単位で管理が必要
労働時間は1分単位で記録・管理する必要があり、労働時間の計算を簡略化するために、時間外労働・深夜労働・休日出勤などの時間を切り捨てることは、「賃金全額払の原則」に反して認められません。
就業規則などに「30分未満の時間は切り捨てる」などと定めていても、労働基準法の規定が優先されるため、無効な定めとなります。また、このような規定や運用は、労働基準法違反として労働基準監督の是正勧告対象となり、悪質と判断された場合は罰則も科されます。
法定休日
労働基準法では、原則的に週に少なくとも1日の休日を付与しなければならないと定められており、これを「法定休日」と呼びます。なお、業態などにより週1日の付与が難しい場合は、例外的に4週を通じて4日という付与も認められています。
ところで、1日の所定労働時間8時間の事業場では週に5日勤務した時点で、週の法定労働時間40時間に達してしまいます。そこで、法定休日とは別に休日(「所定休日」と呼びます)を設けて週休2日とすることで、法定労働時間を超過しないように調整しているのが一般的です。
36協定と残業時間
36協定は、法定労働時間を超える時間外労働(残業)や休日出勤について、労働者と使用者の間で結ばれた協定です。この36協定を労働基準監督署に届け出て、就業規則などにも時間外労働や休日労働に関する規定を定めて初めて、これらを命じることが可能になります。
ただし、36協定を締結・届出したからと言って、無制限に時間外労働が認められるわけではなく、労働基準法では明確に上限が定められています。
具体的には、月45時間・年間360時間というのが原則の上限になります、また、臨時的な特別の事情により、原則の時間を超えて労働させる必要がある場合は、36協定に特別条項を設けることで、さらなる時間外労働を命じることができますが、その場合も以下の上限があります。
- 時間外労働と休日労働との合計時間は、月100時間未満及び年720時間未満
- 月45時間を超える回数は年6回まで
- 時間外労働と休日労働の合計が2~6ヶ月平均で80時間以内
深夜労働
労働者の健康維持の観点から、22時から翌5時まで時間の労働は深夜労働として定義されており、満18歳未満の年少者や妊産婦のうち請求のあった労働者については、深夜労働が禁止されています。
また、深夜労働が認められる労働者に対しても、時間外勤務・休日勤務の割増賃金とは別に深夜割増賃金(1.25倍)を支払う必要があります。
深夜割増賃金に関しては、通常の時間外割増賃金が適用されない裁量労働制の対象労働者や管理監督者についても適用されるため、注意が必要です。
欠勤
本来労働する義務がある日に病欠などの自己都合で労務の提供がなかった場合は、欠勤として扱い賃金を控除することになります。
欠勤の場合、時給制・日給制であれば単に欠勤分の給与を支払わなければ済みますが、月給制の労働者であれば就業規則等に定めに応じて欠勤控除の計算をする必要があります。
なお、無断欠勤をした場合であっても、就業規則等に罰則対象となる旨を定めていなければ、当然に処罰することができないため、注意が必要です。
年次有給休暇の取得義務
年次有給休暇(有休)は、雇入開始から6ヶ月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、週の所定労働日数・所定労働時間に応じた日数分を付与しなければなりません。
入社日や勤務形態によって、付与のタイミングや付与日数が異なるため、従業員ごとに正確に把握しておく必要があります、
また、2019年の働き方改革法案成立により、企業は年間10日以上の有休が付与される従業員に対して、最低でも年5日の有休を取得させることが義務化されたため、取得状況については特に気を配る必要があります。
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勤怠管理の方法とメリット・デメリット
実際に勤怠管理、特に労働時間を管理する方法は大きく分けて以下の4パターンがあり、従業員規模や勤務形態によって適切な管理方法は異なります。
- 出勤簿への手書きによる管理
- タイムカード打刻による管理
- エクセルによる管理
- システムによる管理
出勤簿への手書きによる管理
出勤簿に従業員が手書きで出勤・退勤時間、休暇取得状況を記録する原始的な方法です。企業には、適切な労務管理の遂行を目的として出勤簿の備え付け・保管が義務付けられています。
従業員数が少ない会社の場合は、システム等の導入費用も不要で簡単にできる点がメリットです。
一方で、手書きの場合は給与計算のために入力内容を転記する必要があり、人事担当者の負担が大きいことや数字の読み間違えや転記ミスのリスクがあることがデメリットです。
また、厚生労働省は勤怠管理においては労働時間を客観的に記録することを求めていますが、手書きによる管理は自己申告となるため客観性が担保できません。
よって、従業員に対して正しい労働実態を申告するように十分な説明を行うこと、必要に応じて実態調査を行うこと、正しい労働時間の申請を妨げないことなどの配慮・対応が必要です。
タイムカード打刻による管理
出勤時および退勤時に、職場に設置しているタイムカードレコーダーに各自のタイムカードを挿し、時刻を打刻する方法がタイムカード打刻による管理です。タイムカードによる勤怠管理をする会社は減りつつありますが、中小企業では依然として採用率の高い勤怠管理方法です。
手書きに比べると手間なく簡単に打刻時間を記録でき、タイムカードレコーダーを購入すればあとはタイムカードを用意するのみなので、導入コストも比較的安く抑えることができます。
一方で、給与計算のためにタイムカードに打刻された時刻を転記する作業負担と転記ミスのリスクがあります。また、タイムカードレコーダーは職場に設置されているため、実際に出社する必要があり、営業の直行直帰や在宅勤務を行っている場合には不向きです。
エクセル入力による管理
会社が用意した所定のエクセル様式に従業員が各自で出勤・退勤時刻を入力する方法です。導入・運用のコストがほとんどかからない、時間外労働時間等の集計が自動でできる、データなので転記ミスが起きにくい、といったメリットがあります。
一方で、手書きの勤怠管理と同様に自己申告で入力をすることになるため、虚偽申告や改ざんができてしまい、客観性・正確性に欠けるというデメリットがあります。
勤怠管理システムによる管理
モバイル端末や生体認証、ICカードなどさまざまな打刻方法により勤怠データを記録する方法です。企業にとって勤怠管理の重要性が増し、従業員の働き方も多様化しているなかで注目されている方法です。
働く場所を問わず打刻が可能で、生体認証などを活用して不正・改ざん防止に活かせるなどのメリットがあります。
また、システムによっては時間外労働や有給休暇取得状況に応じたアラート通知を発信したり、入力内容を給与計算システムに自動連携したりといった機能もあり、業務効率向上に繋がります。
一方で、導入時の比較検討に時間を要する、導入・運用のコストが他の方法に比べて大きい、といったデメリットがあります。
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勤怠管理システムの選び方のポイント
勤怠管理の手段はいくつかありますが、もっともオススメなのが勤怠管理システムによる方法です。ここからは、勤怠管理システムの選び方のポイントをお伝えします。
従業員規模による選び方
管理対象となる従業員規模によって、選ぶべきシステムが変わってきます。たとえば、大企業向けのシステムでは、大量の従業員データを一括管理できる能力や、多様な就業形態に対応する高度な機能が求められます。
一方の中小企業向けのシステムでは、基本的な勤怠管理機能を有しつつ、利用規模に応じた料金設定や手軽な導入・運用が可能であることが求められます。大企業向けの豊富な機能は、持て余してコスト高となる可能性があります。
自社の規模や業務内容に応じて必要な機能を洗い出し、それに合致したシステムを予算と突き合わせながら選択することが重要です。
業種による選び方
業種によっては、シフト管理や打刻方法など特別な機能を必要とする場合があり、ニーズに応じたシステムを選ぶことが重要です。
たとえば、小売・サービス業であれば、シフト表の作成支援機能が必須になりますし、建設業であれば現場にとらわれない打刻機能、運送業であればGPS対応、といった具合です。
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将来性のあるシステムによる勤怠管理がオススメ
勤怠管理は、労働基準法の遵守、労働生産性の向上、従業員の健康管理、人件費の削減などを実現する上で、非常に重要です。厚生労働省は、企業に対して従業員の就業状況を正確に把握するための手段として、勤怠管理システムなどによる客観性を担保できる方法を推奨しています。
打刻方法、導入・運用コスト、他システムとの自動連携範囲など、自社に必要な要件は何かをよく検討したうえで最もマッチする勤怠管理システムを導入することで、コンプライアンスの面だけでなく、生産性向上というメリットも享受することができます。
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