企業が与える年間休日の平均として「120日」前後というのが、よく求人情報誌等で目にする数字です。この120日という数字は、どのような法的根拠あるいは計算方法によって導かれた数字なのでしょうか。

従業員の立場から考えると「年間休日120日」の根拠はあまり興味ないかも知れませんが、事業主や管理者の立場としては、その仕組みをしっかり押さえておく必要があります。

この記事では、年間休日の平均や計算方法、法律的な扱い方についてわかりやすくご紹介します。

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年間休日とは

年間休日とは、法定休日や祝日、年末年始休暇など、1年間で会社を休むことのできる日数のことです。

この年間休日をどのように配分して休むかは企業によって様々。毎週土日が休みの場合、シフトで週1日〜2日休みが回ってくる場合、月に6日〜8日、祝日が休みなのか出勤なのかなど、様々なお休みの取り方があります。

年間休日の定義

年間休日は、労働基準法で定められた法定休日と、会社の就業規則等で定められた所定休日の1年間の合計数を指します。法定休日と所定休日を合わせて単に「公休」と呼ぶこともあります。

法定休日は、会社が従業員へ与えなければならない休日です。労働基準法第35条において「週1日」または「4週に4日」以上の休日の付与が義務付けられています。なお、原則は「週1日」であって、「4週に4日」の法定休日は例外的な「変形休日制」と呼ばれます。

所定休日は、会社が独自に就業規則等で定めた休日で、週休2日制の場合はどちらかが法定休日、もう片方が所定休日という扱いになります。

また、祝日を休日とする場合や、決まった期間の夏季休暇や年末年始休暇がある場合も所定休日に含まれます。

厚生労働省による平成31年の就労条件総合調査によると、労働者一人平均年間休日数は約114.7日で、令和2年度調査では116日となっており、少しずつ増えていっているのが現状です。

有給休暇や年末年始休暇は含まれる?

年次有給休暇は、基本的には年間休日に含まれません。

年次有給休暇(以下「有休」)は、本来労働義務がある日の労働を賃金を保障しながら免除する制度で、基本的には、「6ヶ月継続して勤務し全労働日の8割以上の出勤率を満たした労働者」に対して付与されます。

勘違いされがちですが、要件を満たしている限りパートやアルバイトであっても、有休は付与されます。付与日数については、継続勤務年数や週の所定労働日数などによって変動します。

有休は、年間5日の取得義務があるものの、それ以上の取得については労働者に委ねられています。労働者によって年間の取得日数が異なるため、年間休日としてはカウントしないのが一般的です。

ただし、上記の5日の取得義務達成のため、労使協定により計画的に有休取得日を割り当てる「計画的付与(計画年休)」を導入している会社もあります。この場合は、計画年休に割り当てられた日を年間休日としてカウントしても差し支えありません。

有休と同じ法定休暇である子の看護休暇や介護休暇についても、そもそも取得するか否かも含めて個々の労働者によって異なるため、年間休日としては考えません。

一方で夏季休暇や年末年始休暇など、全社員が一斉に休むことのできる休暇は年間休日に含まれます。法律で付与が義務付けられていない、会社独自のこうした休暇制度を「特別休暇(法定外休暇)」と呼びます。

厳密に言えば、「最初から労働義務のない」休日と、「労働義務がある日の労働を免除する」休暇は別物です。ただし、夏季休暇や年末年始休暇は就業規則等で定める所定休日の性格が強いため、年間休日に含めて考えるのが一般的です。

よって、同じ特別休暇でも、慶弔休暇やリフレッシュ休暇などは、年間休日としてはカウントしません。

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年間休日の計算方法

年間休日は、法律で具体的な日数が定められているわけではないため、法定労働時間と法定休日から導くことになります。

計算式

まず、法定労働時間は1日8時間、週40時間と定められており、これを超えて労働させるためにはいわゆる「36協定」の締結・届出と、時間外割増賃金の支払が必要となります。

かりに、1日の所定労働時間を法定労働時間と同じ8時間とする場合、週40時間の法定労働時間に収めるためには、法定休日とは別に所定休日を1日設ける必要があります。「週休2日制」を採用している会社が多いのは、このためです。

つまり、1日の所定労働時間8時間の会社における年間休日数を計算する場合は、週2日の休日が何週分あるのかを計算すればよいということになります。

よって、計算式は「365日 ÷ 7 × 2 」で端数を繰り上げて「105日」というのが、最低年間休日数となります。

もちろん、週休1日制の場合はこの計算式も変動します。なお、週休1日で週の労働時間を40時間に収めるためには、1日の所定労働時間を6時間40分以下に設定する必要があります。

具体的に週1日制の年間休日の計算は、年に何週あるかを見ればよいため、単純に365を7で割って52日もしくは端数切り上げで53日というのが最低年間休日数となります。

なお、こうした計算式で導かれるのはあくまでも通常の労働時間制が適用されている場合のみであり、繁閑によって1日及び週の所定労働時間が変動する変形労働時間の適用労働者の場合は、個別に計算する必要が有ることに注意が必要です。

年間休日120日の場合

年間休日120日の場合は、1年間の52週で週休2日制の場合105日となり、さらに国民の祝日が16日あるため、足して121になります。

つまり、年間休日120日というのは、週休2日制を基本として、国民の祝日も所定休日とするという運用になります。

年間休日110日の場合

年間休日110日の場合、週休2日制でなおかつ5日ほど別途休日を与えるとことになります。

具体的には、夏季休暇もしくは年末年始休暇として5日ほど定めているケースが、これに該当するでしょう。

年間休日105日の場合

年間休日105日の場合は、週休2日制でその他の祝日などは休みにならず、年末年始休暇や特別休暇もないという運用になります。

法律上は問題ありませんが、福利厚生という面から考えるとあまり好ましいとは言えないでしょう。

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年間休日の平均はどれくらい?

厚生労働省による令和2年の就労条件総合調査の資料により、休日の平均がどのくらいなのかがデータとして集計されています。

平均日数

令和2年度の労働者一人平均年間休日数は116日です。割合としては102から110日の間が32.7%と最も高く、その次に多いのは120から129日が28.9%でした。

また社員の人数で考えると、社員の人数が1000人以上の大企業においては年間休日日数が120日から129日の企業が48.88%とおよそ半数の企業が120から129日与えており、その次に多いのは100日から109日で22.5%です。

また社員の数が1000人以上の大企業の労働者一人平均年間休日数は120.1日と全体の平均よりも4日間ほど多い数値となっています。

一方で、社員の人数が30人から99人の会社は企業の平均休日日数は108.3日であり、与えている年間休日で最も多いのは102から110日の34.7%でした。

また30人から99人の社員が少ない企業では61日の年間休日を与えている企業が2.1%いました。

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年間休日と労働基準法

年間休日の具体的な日数は労働基準法には定められてはいませんが、休日そのものと労働基準法の関係について見ておきましょう。

祝日について

祝日は、「国民の祝日に関する法律」に規定された、過去の歴史的な出来事や公式行事を記念して制定されている日です。労働基準法は祝日については何も言及していないため、取り扱いは会社の任意とされています。

法定休日が確保されている限り、祝日を休日とする義務はありませんが、一般的には所定休日としている会社が多くなっています。

法定休日に労働させたら?

まず、法定休日に労働させるためには、「休日労働に関する労使協定(36協定)」の締結・届出が必要となります。36協定に基づかない休日労働命令は違法であり無効となります。

法定休日の労働(法律上の「休日労働」)に対しては、割増率35%を加算した休日割増賃金を支払う必要があります。そして、この休日割増賃金は、36協定の締結の有無に関わらず必要となります。

違反した場合の罰則

労働基準法の休日に関する規定に違反した場合は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

具体的には、以下のような事例が違反に該当します。

  • 36協定を締結・届出することなく休日労働させた
  • 36協定に定めた日数を超えて休日労働させた
  • 休日労働に対して、適正な休日割増賃金が支払われていない

違反発覚後はまず労働基準監督署から是正勧告が出され、即座に罰則が科される可能性は低いですが、労働基準監督署の調査への協力を拒んだり、是正勧告後も改善が見られなかったりと悪質と判断された場合は、罰則対象となります。

年間休日の管理は勤怠管理システムで

年間休日は、法律ではっきりと日数が決まっているわけではありませんが、週の所定労働時間などから最低年間休日数を導き出し、福利厚生の面から年末年始休暇なども考慮して適切に設定する必要があります。

勤怠管理システムを導入することで、最適な年間休日数はどのくらいかが分かるだけでなく、従業員個々の有休などの取得状況も、リアルタイムで把握できるようになり、休日・休暇の管理が楽になります。

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