「解雇」は会社から一方的に雇用契約を終了させる行為ですが、実は細かく分けると4種類もの解雇が存在します。そもそも解雇は、どのようなケースで認められるのでしょうか?また、それぞれの解雇にはどのような違いがあるのでしょうか?

この記事では、4種類の解雇について、その特徴や適用する際の注意点などをわかりやすく解説します。解雇による労使トラブルを防止するためにも、ぜひ参考にしてみてください。

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解雇とは

解雇とは、会社側から一方的に無期雇用契約、あるいは有期雇用契約を途中で終了させることを指します。解雇は労働者の意思とは関係なく、会社からの一方的な意思表示のみで成立します。ただし、その解雇の有効性はまた別問題です。

会社からではなく労働者からの申し出による雇用契約の終了は自主退職となりますが、形式的には自主退職であっても、会社からの強い働きかけにより、退職を申し出ざるを得ない状況であった場合は、解雇と判断される場合があります。

雇い止めとはどう違う?

解雇と混同しやすい言葉として「雇い止めがあります。雇い止めとは、有期雇用契約の満了をもって、更新することなく契約を終了させることを指します。

雇い止めを行うためには、あらかじめ有期雇用契約を更新しない旨が明示されていない限り、期間満了の30日前までには有期契約労働者に対して、雇い止めを予告しなければなりません。

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解雇には4種類ある

法律などで明確に定義・分類されているわけではありませんが、一般的に解雇には以下の4種類あるとされています。

  • 普通解雇
  • 整理解雇
  • 懲戒解雇
  • 諭旨解雇

普通解雇

普通解雇とは、広い意味では懲戒処分によらない、一般的な解雇を指します。さらに狭い意味で、次にご紹介する会社都合による「整理解雇」以外の解雇を「普通解雇」と呼びます。主な解雇理由としては、労働者の能力不足や勤怠不良、規律違反などが挙げられます。

普通解雇を行うには、就業規則に解雇の事由を列挙しておく必要があります。また、解雇日の30日前までに解雇予告を行うか、予告に代えて30日分の解雇予告手当の支払いが必要です。

整理解雇

整理解雇とは、経営不振や業務縮小など、会社側の都合により人員削減を目的として行われる解雇で、いわゆる「リストラ」のことを指します。整理解雇を行うためには、以下の4つの要件が必要とされます。

  • 人員削減の必要性
  • 会社の解雇回避努力
  • 人選の妥当性
  • 従業員への協議・説明

広い意味では整理解雇も普通解雇の一種であり、一般的には就業規則において、普通解雇の事由として他の事由と併記する形で「整理解雇する場合がある」旨を記載します。

懲戒解雇

懲戒解雇とは、労働者の重大な契約不履行や不法行為などに対して、懲戒処分として行われる解雇のことです。

懲戒処分の中では最も重い制裁であり、重大な犯罪行為や会社に多大な損失を与えた場合に限り、認められます。また、懲戒処分として就業規則への規定も必須となります。

労働基準監督署長の除外認定を受けることにより、解雇予告及び解雇予告手当なしで即時解雇も可能となります。退職金については、会社の規定に従うことになりますが、一般的には不支給もしくは大幅減額となることが多くなっています。

諭旨解雇

諭旨解雇とは、懲戒解雇に該当する事由があるものの、それまでの功績や本人の反省度合いなどを酌量して処分内容を軽減した解雇のことを指します。つまり、解雇の理由そのものは、懲戒解雇と同じということになります。

一般的には本人から退職願を提出させ、提出を拒否した場合に懲戒解雇に切り替えることになります。退職金制度がある場合は、懲戒解雇よりも寛大な措置が取られるのが一般的で、全額または一部減額した上で支払われることが多くなっています。

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一般的な解雇手続き

一般的に、解雇は以下の手順に従って進めます。必要な手続きや確認を怠ると、不当解雇となる可能性があるため、注意しましょう。

  1. 退職勧奨
  2. 解雇の妥当性の確認
  3. 解雇方針・内容の共有
  4. 解雇理由の整理
  5. 解雇の通知
  6. 退職手続き

退職勧奨

横領などの重大な不法行為により懲戒解雇に該当するケース以外では、基本的に退職勧奨から行います。勤怠不良などの場合は比較的軽微な懲戒処分により改善を促し、それでも改善が見られない場合に労働者から退職するように促します

この退職勧奨に応じた場合は、自己都合退職にはならず、基本的に解雇予告もしくは解雇予告手当が必要となります。

解雇の妥当性の確認

労働基準法などに定める解雇制限事由に該当していないか、不当解雇ではないかなどを確認します。解雇制限とは、業務上の傷病のために休業する期間とその後30日間、及び女性従業員の産前産後休業期間とその後30日間について原則的に解雇が禁止されていることを指します。

また、妊娠・出産を契機とした解雇、育児休業や介護休業を取得したあるいは取得しようとしたことを契機とした解雇も禁じられています。

上記のような解雇制限に該当しないか、行おうとしている解雇がどの種類の解雇に当たり、必要な要件を満たしているかといった確認が必要です。

解雇方針・内容の共有

直接の上司や人事担当者などと、対象者の解雇についての情報を共有します。ただし、解雇が確定していない段階で、社内全体への周知は避けましょう

解雇理由の整理

部署の上長や同僚などから解雇の原因となった事由についてヒアリングを行い、本人に解雇理由を説明できるよう整理します。解雇理由が曖昧のまま解雇を断行してしまうと、あとから不当解雇であるという主張がなされる可能性が高くなります。

勤怠不良であれば勤怠データ、業務命令違反であれば発行済の指示書など、裏付け証拠の収集も重要です。

解雇の通知

解雇日や解雇理由を記載した「解雇通知書」を作成し、本人に交付します。一般的には、これをもって解雇の通知とされるため、少なくとも解雇予定日の30日前まで通知するか、解雇予告手当の支払いが必要です。

解雇予告手当について

解雇予告手当とは、30日前までの解雇予告に代えて、あるいは解雇予告と併用する形で支払う手当のことです。

具体的には、30日に足りない日数分の手当を支払うことになり、たとえば解雇予定日14日前に予告した場合は残り16日分の手当が必要です。また、30日分の解雇予告手当を支払えば即日解雇可能です。

解雇予告手当の金額は、「平均賃金」を用いますが、月給制と日給・時給制で計算方法が異なる点に注意しましょう。詳しくは、以下の記事にて解説していますので、併せてご覧ください。

退職手続き

解雇であっても、退職手続きの基本的な流れは、自己都合退職の場合に沿って進めます。「退職証明書」や「離職証明書」の発行が必要か、本人に確認します。

雇用保険・社会保険の資格喪失手続きなどが必要で、併せて入社時に預かっていた雇用保険被保険者証や年金手帳などを、従業員に返却します。また、会社から貸与していた社員証や鍵、備品などを返却してもらい、社内アカウント情報も削除します。

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解雇の種類を整理して、トラブルを避けましょう

解雇は労働者の身分を失わせる行為であり、種類を問わず要件が厳格です。トラブルにも発展しやすいため、必要な手続きを踏んでから解雇処分を下す必要があります。また、「どの解雇に該当するのか」「要件を満たしているか」など、事前確認はしっかり行いましょう。

労働者に解雇に至った経緯を説明できないと不当解雇を主張され、訴訟に発展する可能性があり、会社の主張が認められない場合は解雇が無効とされてしまいます。トラブルを回避するため、解雇の種類・要件・手続きの流れを正確に理解しておくことが重要です。

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